
ペガサス(ペガソス)はギリシャ神話に登場する幻獣で、翼を持った天駆ける天馬です。
ペガサスは海神ポセイドンとメデューサの間より生まれたとされています。一説によると、ポセイドンとメデューサはアテネの神殿で情事を行った為にアテネの怒りを受け、メデューサは醜い怪物に変えられてしまいました。その後、英雄ペルセウスによってメデューサは首を斬り落とされ、その首の流血からペガサスとクリュサオル(黄金の剣を持つ怪物)が生じました。産まれ落ちたペガサスは天に登り、ゼウスのもとで雷鳴を運ぶという使命を与えられたとされています。
また、ペガサスは英雄ベレロポンの愛馬になったという伝説があります。ペガサスを得ようとベレロポンはペイレネの泉で苦戦しますが、夢の中でアテネから黄金のくつわを授けられ、それを使ってペガサスを手懐けることに成功します。(ポセイドンからペガサスを貰ったという説もあります) こうしてベレロポンはペガサスに乗り、キマイラを倒したり、アマゾンを討伐したりして武勲を立てました。
これで有頂天になったベレロポンは「俺はオリュンポスの一員になれるのでは!」と天へ昇っていこうとしました。「奢るな人間!」と怒ったゼウスは虻を放し、虻がペガサスのお尻をちくっと刺した為、驚いたペガサスはベレロポンを振り落としてしまいました。墜落してしまったベレロポンは足が不自由になり、一人寂しく荒野をさまよって生涯を終えたとされています。(そのまま絶命したという説もあります)
ユニコーンに並んで有名な幻獣である、ペガサスの絵画13点をご覧ください。
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「赤絵のペガサス 紀元前510年頃」
立派な翼を持ち、にやりとニヒルな表情をしたペガサス。
現代の私達では背中辺りから翼が生えていると考えますが、
この作品では前足の辺りから生えていますね。

「ポンペイの壁画 1世紀頃」
ペガサスを手懐ける為に女神アテネから授けられし黄金のくつわ。
ベレロポンは「えいっ」とばかりにペガサスに装着しています。

「テオドール・ファン・テュルデン作 1606-69年」
私達が想像するペガサスそのままと言った感じですね。
ペレロボンではなくアテネ様直々に黄金のくつわと付けようと
しています。右の少年が完全ガードで面白いですw
この作者さんはルーベンスの元で共同作業をしたとされています。

「ヨハン・ボックホルスト作 1604-68年」
上腕二頭筋が凄いアテネ様が、力づくで黄金のくつわをはめようと
奮闘中。隣でヘルメスがフォローしています。
上記の作品と非常によく似た構成ですが異なる画家の作品です。
彼もルーベンスの影響を受けたとされています。

「紀元前4世紀頃の作品」 (画像元)
ペガサスを手に入れたベレロポンは怪物キマイラを見事やっつけて
のけます。神話ではライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ
とされています。これはライオンの頭・・・なのかな?

「ピーテル・パウル・ルーベンス作 1635年」
巨匠ルーベンスもベレロポンの勇姿を下書きに残しています。
複合怪物というよりも、ほぼライオン100%に見えてしまうような・・・。

「アレクサンドル・アンドレイェヴィチ・イワノフ作 1806-58年」
数々の武勲を立てたベレロポンは、始めは彼を殺そうと企んでいた
リュキア王イオバテスより認められ、娘を差し出されます。
背後にはアテネ様がおり、絶好調だったベレロポンはあらぬことを
考えてしまったのでした。

「ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作 1696-1770年」(画像元)
奢る心が芽生えたベレロポンは「神々の一員になれるかも!?」と
ペガサスを使ってオリュンポスに登ろうとしました。しかし、
待ち受けていたのは破滅。ペガサスから落馬し、彼は不自由で
惨めな一生を送る羽目になったのでした。

「アンドレア・マンテーニャ作 1496-7年」
オリュンポス山と思われる場所に神々が楽しそうに暮らしています。
頂上にはヴィーナスとマルス、左側にヘパイストスとアポロンと
アルテミス、右側にヘルメスとペガサスがいますね。
ゼウスの使いの仕事を行っているペガサスは彼の同僚ですねw

「ピエール・ミニャール作 1679年」
一方、こちらは英雄ペルセウス。美女アンドロメダを救出する
瞬間ですが・・・傍らにはペガサスがいます。あれ?ペガサスは
メデューサの首から生まれて天へ飛びたっていったはず・・・。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作 1577-1640年」
神話によると、ペルセウスはヘルメスから翼のサンダルを授けられ、
ペガサスはいないはずです。けれど、ベレロポンとの混合による
ものか、絵画の体裁によるものか、ペガサスが描かれる作品は
かなりあります。このペガサスはぶち柄で可愛いですね^^

「ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ作 1730年」
アンドロメダを乗せてびゅーんです。天空から神々が舞い降り、
彼等を祝福してくれています。サンダルだとアンドロメダを背負う
羽目になるので、確かにこのような劇的な場面は描けませんね^^;

「フレデリック・レイトン作 1830-96年」
メデューサの生首を下げ、白馬のペガサスに乗るペルセウス。
馬に乗って登場というのは、英雄像として最もふさわしいの
かもしれません。

恥ずかしながら、最近までベレロポンという英雄を知らず、ペルセウスはペガサスに乗ってアンドロメダを助けていると勘違いしていました^^; 過去のペルセウスの記事に何も知らずに書いていました。すみません・・・。神話をよく読むとペルセウスは翼のサンダルを履いていて、ペガサスは乗っていなかったのですね。(もしかしたら諸説あるのかもしれませんが・・・)
画家がペルセウスをペガサスに乗せた理由として、メデューサをペルセウスが倒してペガサスが生まれたこと、ペルセウスとベレロポンの神話が少し似ていること、英雄像として乗馬が適していること、アテネとヘルメスが関与していること、あと、名前が似ている事があげられそうです。「pegasus」と「perseus」。ぱっと見ただけでは分からず、めっちゃ混合しました(笑)
もしかしたらこの混合が原因で、ベレロポンの影が薄くなってしまったのかもしれませんね。天に近付きすぎて破滅したイカロスのようなベレロポンをこの際に知って下されば幸いです。
→ アンドロメダを助けるペルセウスについての絵画を見たい方はこちら
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>> 飛翔天馬様へ
レイナートさんの作品、綺麗ですね^^
空駆けるペガサスも良いですが、オーロラを背景にしたユニコーンも美しい…。
なんと、今年1月~3月まで様々な会場で特別展があるんですね!
機会があれば行ってみたいです。