Maerten de Vos 1597 -

 カナの婚礼(カナの婚宴)は、ヨハネの福音書に記されているイエス・キリストの最初の奇跡の物語です。
 故郷ガリラヤのカナの地で、キリスト一行は婚礼の祝宴に招かれます。結婚するのは聖母マリアの姉妹の息子。マリアは忙しく準備を行います。宴も過ぎて来た頃、葡萄酒がなくなってきてしまいました。マリアは困り、「イエス、どうしましょう」とSOSを出したので、キリストは召使いに「水がめに水をいっぱい入れて世話係のところへ持ってきなさい」と助言をしました。するとどうでしょう。ただの水が高級な葡萄酒に変わったのです!

 世話係は喜んで花婿にこう言いました。「普通、高級な葡萄酒をまず出しておいて、酔いが回って来た頃に劣った酒を出すものですが、あなたはいい葡萄酒を取っておかれたのですね!」と。弟子達はこの奇跡を目の当たりにし、キリストを深く信じたそうです。
 では、カナの婚礼に参加して水をワインに変化させるキリストの絵画13点をご覧ください。

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「中世の彩飾写本より  年代不明」
カナの地にて行われたのは、聖母マリアの姉妹の息子の結婚式。
多くの参加者がいる中でマリアは忙しく準備し、ある事に気付きます。
「まぁ、葡萄酒が足りないわ!」
The Wedding at Cana, Walters Manuscript

ヘラルト・ダヴィト作  1460-1523年」
「イエス、どうしよう」と息子に相談すると、彼は「私の時はまだ来て
いません」と謎めいたことを話しました。マリアは納得したのか、
「イエスの言うとおりにして」と召使い達に告げます。

The Marriage Feast At Cana Painting by Gerard David

フアン・デ・フランデス作  1460-1519年」
キリストは「水がめに水をいっぱい入れて、くんで世話係のところへ
持っていきなさい」と告げました。絵画ではコンパクトな水がめに
水を注いでいますね。それにしても静かな感じの婚礼の場・・・。

Juan de Flandes

フェルナンド・ガジェゴ作  1480-88年」
水がめがでっかい!!
巨大な水がめの中に次々と水を投入。手前からは上質のワインが
出ております。この出し方はビールサーバーを思わせますね。
この時代にもうこの技術が確立していたとは。
Fernando Gallego 1480-88

ハンス・ロッテンハマー作  1564-1625年」
びっしりと集った祝宴の参加者。女性の奥でキリストが「水を
入れなさい」と指示を出しております。建物や人々を見ると、
「聖書の物語」を描いたというよりも、「現代の婚礼にキリストを
挿入した」と言った感じにも思えます。
Hans Rottenhammer

ヤン・コルネリス・フェルメイエン作  1530年」
テネブリスムの光と影が織りなす婚礼。こちらの作品も
水とワインの奇跡を描かず、フランドルの婚礼の場にキリストを
招待してしまった状態ですね。キリストも楽しそうです^^
Jan Cornelisz Vermeyen 1530

アンドレア・ボスコリ作  1580-85年」 
「水を入れなさい」と指示している奥で、かなりのどんちゃん騒ぎを
やらかしている人々。「キリストの最初の奇跡」という物語なのに、
どちらかと言うと俗画に近い雰囲気の作品が目立ちます。
Wedding at Cana, 1580-85  Boscoli, Andrea

「パオロ・ヴェロネーゼ作  1562-63年」
ウォーリーならぬキリストを探せ!という状態の婚礼。
通販でこの絵画の1000ピースのパズルが売っていました。
物凄くやりがいがありそうです。
Paolo Veronese  1562-63

マールテン・ド・フォス作  1597年」
壺のデザインが全て異なりオシャレですね。王宮か、博物館か、
マイコレクションなのでしょうか。それにしても今気付いたのですが、
土足と裸足の人がおり、キリストは殆どの婚礼絵画で裸足。
何か意味があるのかしら?(ジュゼッペさん作だけサンダル履きでした)
Maerten de Vos 1597

ユリウス・シュノル・フォン・カロルスフェルト作  1794-1872年」
野外の婚礼の場で「水をかめに入れなさい」と言い、井戸の蛇口(?)
から水を入れるよう指示しています。桶かなにかでかめに水を
汲んで入れるかと思いきや、この絵画では直接注ぐのですね!
Julius Schnorr von Carolsfeld (1794-1872)

ジュセッペ・クレスピ作  1686年」
のんびりと祝宴を楽しむ人々。マリア様も水が上質なワインに
変化してほっと一息です。猫が水がめを倒しそうですよ! 
The Wedding at Cana, c.1686 Crespi, Giuseppe Maria

デニス・カルヴァルト作  1540-1619年」
最初、黄色の服の手前の女性がマリアで「黄を使うのは珍しいな」と
思ったのですが、おそらくキリストの左隣のピンクの女性がマリアと
思われます。キリスト達よ働くり召使いたちの方が目立つのは、
民衆を際立たせようという画家の配慮によるものなのかな?
Denys Calvaert

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ作  1617-82年」
お祝いムードが感じられない、静かな婚礼。
今更ですが、以前まで「カナの婚礼」を「カナさんの結婚式」だと
思っていました。カナは花嫁じゃなくて土地名なのね・・・。(恥ずかしい)
Bartolom Esteban Murillo

 聖書によるとキリストが指示したのは、2~3メトレテス分が入る水がめが6個であったと記述がありました。
 調べてみると、1メトレテスが39リットルくらいらしいので、2~3メトレテスだと約78~117リットル。水がめ6個分の総量は468~702リットルであります。
 そして日本の一般的な浴槽だと、お湯が200~250リットルほど入るそうです。浴槽で考えると468~702リットルの水は、だいたい2.3~2.8杯分となります。なので、キリストは浴槽2.5杯分くらいの水を所望していた感じになるのですね!(かなり微妙なたとえw)

 先ほどの絵画紹介ではフェルナンド・ガジェゴさん作の水がめを「でっかい!」と書きましたが、彼が一番近い表現をしていたのですね。それを丁度いいととるか、多いととるかは意見が分かれそうです。個人的には多く感じました。参加者が何名いるかは分かりませんが、宴も後半に入った時に葡萄酒を500リットル以上投入するのは凄いように感じます。100名参加だとしても、一人5リットル飲まされる羽目になるような^^; 祝宴の最初に準備しても足りるレベル・・・。「取っておいてこれから使う分」も作ったのかな。
 象徴が多い聖書の記述なので、そんな細かいところに突っ込んではいけませんね(笑)


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