François Boucher, after Paolo Veronese 1576-84 1750 -

 美徳は元々人間らしさ、人間としての価値を意味します。キリスト教支配における時代、「信仰」「希望」「慈愛」の三つと「正義」「賢明」「剛毅」「節制」の四つの、七つの美徳があるとされました。一方、悪徳も「吝嗇(りんしょく)」「憤怒」「淫欲」「嫉妬」「傲慢」「大食」「貪欲」の7つあり、それは「七つの大罪」と呼ばれています。双方は比較され、二構成で表現したり、美徳が悪徳を退治するという構図が描かれました。

 また。このテーマの一つとして「岐路に立つヘラクレス」というものがあります。古代ギリシアの寓話に基づいており、ギリシア神話の英雄ヘラクレスはある日、安易な安らぎと喜びの道を示す悪徳と、真の幸福につながる険しい坂道を示す美徳を象徴する女性に出会ったそうです。アニメや漫画だと葛藤する主人公の頭の中で天使と悪魔が現れ「目標を追いなさい!」「やめて遊んでしまえ!」と争うなんていうシーンがありますが、似たことだと思って構いません。ヘラクレスは眼前の誘惑に負けず、険しい道を進んだとされています。
 では、美徳と悪徳に関する絵画12点をご覧ください。

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「ロレンツォ・ロット作  1505年」
左は美徳、右は悪徳を表しています。荒廃した土地でせっせと
仕事をする子供と、豊かな土地で酒におぼれる山羊足のパン。
パンは淫欲の象徴として描かれています。
Lorenzo Lotto 1505

「Francesco Corneliani 作 1740–1815年」
こちらは左が悪徳、右が美徳。中央の人物は持っている杖が
ケーリューケイオンなので、ヘルメスかな?彼は伝令神、
商業神と考えられ、この絵画では働く者に祝福を与えている
ようです。働かざる者、食うべからず・・・。
Francesco Corneliano   (Italian, 1740–1815)

「Frans Francken (子)作   1633年」
細かくて見辛いですが、「人類の永遠のジレンマ」という作品。
人生におけるあらゆる美徳と悪徳のジレンマが神話や宗教の
人物で描かれています。天へ昇るか、地へ堕ちるか・・・。
Frans Francken (II) - Mankind's Eternal Dilemma  1633

「Paolo Fiammingo 作  1540-96年」
強そうな美徳の女性達にやられてしまった、悪徳の女性達。
右側の賢者(聖人?)達にも囲まれ、成す術もありません。
右上の女性は葛藤やバランスを象徴するコンパスと天秤を
持ち、鍋を見つめています。人間の心は闇鍋のよう…なのか。
Triumph Of The Virtues Over The Vices by Paolo Fiammingo

アンドレア・マンテーニャ作  1431-1506年」
半獣の姿をした悪徳をやっつける、武具に身を包んだ美徳の
女性。小さい天使たちも追い立てるお手伝いをしています。
Pallas Expelling Vices From Garden Of Virtue Andrea Mantegna

フィリッポ・ペドリーニ作  1763-1856年」
悪魔サタンを倒す天使ミカエルを彷彿とさせる、美徳VS悪徳。
天空(意識の浮上)は我々の領域だ!と言って、意識の奥底へと
悪徳を追いやっているのでしょうか。
Filippo Pedrini

「イタリアの工房の画家作  17世紀」
美徳の男女(女性?)二人が、悪徳の頭をふみふみしています。
悪徳が完全に屈服してしまいました・・・。
Italian School-Tuscan Allegory of Virtues overcoming Vice 17th

「ピーテル・ボエル作  1650-67年」
アニマルだらけですが、美徳と悪徳の戦いの寓意とされています。
犬は忠誠や節制、七面鳥は慈愛や正義を象徴し美徳側。
白鳥は音楽や愛、孔雀や蛇は高慢、山羊は淫欲など悪徳側に
なっています。美徳側が不利か!?
1650–67 Pieter Boel

「アンニーバレ・カラッチ作 1596年」
岐路に立つヘラクレスの絵画。私達から見て、美徳(左)、悪徳(右)
となります。彼はめちゃ迷っている顔をしていますねw
さぁ、彼の決断はいかに!?
アンニーバレ・カラッチ 1596

「ポンペオ・バトーニ作  1708-87年」
こちらのヘラクレスは、少し誘惑に負けているようです^^;
「女の子と遊ぶの楽しいし…。戦うの大変だし…」
「早く戦いなさい。さぁ、棍棒を持って」とか言っているのかな。
Hercules Crossroads between Virtue and the Vicious Pompeo Batoni

「パオロ・ヴェロネーゼ作、後にフランソワ・ブーシェが加筆  1576-84&1750年」
この物語が転じ、ヘラクレスではない人物で描かれることも
よくありました。美徳を選んだ男性ですが、悪徳が追い縋ります。
近景に描かれた像とナイフ。悪徳の行く末が匂いますね。
François Boucher, after Paolo Veronese 1576-84 1750

「パオロ・ヴェロネーゼ作  1581年」
迷うことなく美徳の女性へと従う少年。彼ならきっと「飴あげる
から、車入る?」という凶悪な輩の騙しにも気付けるはず!←ぇ
Paolo Veronese Young man between Virtue and Vice, ca. 1581

 美徳と悪徳の寓話は、イソップ寓話の「アリとキリギリス」でも語られていますね。
 夏の間に働くアリと、遊びにふけるキリギリス。貯えのないキリギリスは、冬になって食料がなくなり途方に暮れるー・・・。努力や怠慢の結果は、後になって現れる。「今日中にこれをやらなくちゃ!」と思ってパソコンを開くと、誘惑に駆られてYouTubeやネットサーフィンをしてしまい、気付いたら全然できなかった。なんてことをしてしまう私は耳が痛いですw 厳しい美徳様に付いていかなくては…。

 ストイックな姿勢、たゆまぬ努力が成功に結び付くのは確かです。ただ、根を詰めすぎて身体を壊してしまっては、元も子もありません。一番の資本は身体です。皆様もご自愛ください。
 美徳の道を歩んでいきましょう。すこーしばかりの悪徳を交えながら^^;

→ ミカエルとサタンについての絵画を見たい方はこちら
→ イソップ寓話についての絵画を見たい方はこちら


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