The Triumph of Judas Maccabeus, 1635 Rubens, Peter Paul -

 ユダ・マカバイは前2世紀頃に生きたとされる、ユダヤの民族的英雄です。旧約聖書の「マカバイ伝」に登場します。
 セレウコス朝シリアの王アンティオコス4世エピファネスはエルサレムを占領し、ユダヤ教を迫害して神殿を略奪し、偶像崇拝を強要しました。憤るユダヤの民。モデインという町に住む祭司マタティアと五人の息子達は独立を求めて蜂起しました。息子の一人がマカバイ(金杯)と呼ばれたユダで、この争いはマカバイ戦争とされました。
 蜂起の翌年にマタティアは死去し、ユダ・マカバイが反乱軍のリーダーとなってシリア軍と争いました。並々ならぬ指導力を発揮し、イスラエル側は敵を打ち倒していきます。シリアの王はリュシアスに制圧を命じて大軍を動かしますが、ユダ・マカバイはそれを退ける事に成功します。一時休戦を結んで宗教の自由を認めさせ、ユダ・マカバイはユダヤ教を復活させました。

 その後も、ユダ・マカバイは周辺の民族と争いを続けていきます。シリア王が病死すると息子が跡を継ぎ、再びユダヤ側に進行してきましたので、彼は応戦したものの、敗北して追い詰められてしまいます。しかし、シリア側の将軍がクーデターを起こした為、両者は和平を結んで事なきを得ました。それからも数回シリア側と戦いが続きます。彼はシリア側に対抗すべく、ローマと同盟関係になることにしました。
 しかし紀元前160年、シリア側は2万弱の兵に対し、ユダ・マカバイの兵は800名という圧倒的に不利な戦争(エラサの戦い)が起こります。「逃げろ!」という助言を訊かず、彼は「男らしく死のう」と敵に立ち向かっていきます。勇猛果敢に戦い、ユダ・マカバイは戦地にて命を落としました。兄弟二人は遺体を引き取り、その中の一人ヨナタンが彼の後を継いで兵を率いたそうです。 
 では、ユダ・マカバイについての絵画12点をご覧ください。

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「Harmen Jansz. Muller 作  1567年」
イスラエルの民族的英雄の代表格である、ヨシュア、ダヴィデ
ユダ・マカバイの三名。モーセの後継者であるヨシュアと
初代イスラエル王であるダヴィデは有名どころですが、
ユダ・マカバイは日本では少々マイナーかも?(それとも私だけ?)
Joshua, David and Judas Maccabeus Harmen Jansz. Muller 1567

「聖書の挿絵より  15世紀」
こちらもヨシュア&ダヴィデ&ユダ・マカバイの英雄三名。
盾にはドラゴン、竪琴、鷲(鷹?)が描かれていますね。
JOSHUA, KING DAVID & JUDAS MACCABEUS 15TH CENTURY BIBLE ART

ユリウス・シュノル・フォン・カロルスフェルトの
 書籍「Die Bibel Bildern」の挿絵より  1860年」
兵を率いるユダ・マカバイ。父親の死後、彼は指導者となり兄弟4名
と共にエルサレムの解放を目指したのです。
Judah  Die Bibel Bildern Julius Schnorr von Carolsfeld 1860

ユリウス・シュノル・フォン・カロルスフェルトの
 書籍「Die Bibel Bildern」の挿絵より  1860年」

ユダ・マカバイの幻視という挿絵。知識不足でどんなシーンなのか
詳しく言えないですが、モーセと神が出てきて剣を授けられたのかしら?
Vision of Judas Maccabee Julius Schnorr von Karolsfeld 1851-60

「ギュスターヴ・ドレ作  1832-83年」
ユダ・マカバイはゲリラ的な戦術でシリア側を圧倒し、
勝利を収める事に成功します。
Judas Maccabeus before the army of Nicanor, by Gustave Doré

ヘラルト・ファン・ホントホルスト作  1592-1656年」
ユダ・マカバイの勝利という作品。
彼等は一時休戦と、エルサレムの奪還、宗教的な自由を手に入れ、
ユダヤ教の神を信仰する事が出来るようになったのです。
The Triumph of Judas Maccabeus - Gerrit van Honthorst

フランス・フロリスの工房作  16世紀」
ユダ・マカバイの勝利。乗馬した彼が敵をなぎ倒し、
ユダヤの民達はその偉業を見つめ感嘆しているようです。
Studio of Frans Floris the Elder The triumph of Judas Maccabeus

アーネスト・ウィリアム・トリストラム作  1927年」
シリア側からエルサレムを奪い返しても、彼の戦いはまだ
続きます。周辺民族や、またのシリア側からの攻撃を凌いでいきます。

Battle Judas Timotheus Fall Maspha Ernest William Tristram 1927

「作者不詳  写本の挿絵より(フランスのモンモランシー?)」
白馬を連れ、甲冑に身を包んだユダ・マカバイ。装飾が美しく、
なんとも中世ルネサンス風の雰囲気ですね。
Montmorency Hours. Judas Maccabeus achetant le péché des morts

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1635年」
かのルーベンスもマカバイを描いています。赤マントに身を包んだ
彼は英雄然としておりますが、その周囲には死体や生首が。
戦争の犠牲と勝利の凱旋が入り混じっていますね。
The Triumph of Judas Maccabeus, 1635 Rubens, Peter Paul

Bible Historiale の挿絵より  1357年頃」
ユダ・マカバイの死。彼はローマと同盟を結んだものの、
圧倒的不利な戦争に参戦し、戦死してしまいます。
甲冑に身を包んだ彼に、ぐさぐさっと刺さる槍。
Death of Judas Maccabeus

ホセ・テオフィロ・デ・ジーサス作  1758-1847年」
こちらもユダ・マカバイの死。 戦死という状況ではなく、
囚われて処刑される寸前と言った感じです。そして隣には・・・
奥さんなのかしら?英雄の勇猛果敢な死に様というより、
戦争の悲惨さが表現されているようですね。
Death of Judas Maccabeus by José Teófilo de Jesus

 お世辞にも日本には名前があまり浸透していないと思われる、ユダ・マカバイさん。しかし、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルのオラトリオ「ユダス・マカベウス」の、第58番「見よ勇者は帰る」という曲を聴いたことがないという人はいないのではないでしょうか。学校や競技会などの表彰式で流れる、あの「ちゃーんちゃーん、ちゃちゃーんちゃーん、ちゃかちゃかちゃんちゃんちゃーん・・・」というアレです。(伝わるかな^^;)
 
 聴いた時、「この曲なのかー!」ってびっくりしました。曲は皆知っているのに、元である英雄が知られていないのは何だか残念ですね。もし次にこの曲を聴いた時は、自らの土地と宗教を守る為に奮闘した、ユダ・マカバイの勇姿と勝利の凱旋を思い出してください!





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