Don Giovanni and magic flute KARL JOSEPH GEIGER -

 「魔笛」は1791年にモーツァルトが作曲した生涯最後のオペラです。舞台は古代エジプト。
 ある日、王子タミーノは大蛇に襲われてしまいます。夜の女王の従者三名に助けられた彼は、女王から「娘のパミーナがザラストロに誘拐された、救い出してきて」と依頼されました。タミーノはそれを引き受け、魔法の笛と鳥を捕まえる男パパゲーノと共にザラストロの神殿へと向かいました。そこでタミーノは本当の悪者は夜の女王であることを知ります。タミーノはザラストロの部下モノスタトスに捕らえられてしまったものの、タミーノとパミーナは初対面で恋に落ちてしまいます。

 ザラストロは真実の愛の為に、タミーノとパパゲーノに「沈黙の試練」を与えました。すぐに了承したタミーノに対し、渋るパパゲーノは「若い娘パパゲーナを与えよう」と言われて納得しました。沈黙を守るタミーノの元に夜の女王の従者たちが現れ、沈黙を破ろうとしますが失敗します。その頃、パミーナの元へ夜の女王が登場し、「ザラストロを刺しなさい。さもなくば縁を切る」と娘へナイフを渡しました。パミーナは悩み、ザラストロに相談すると、彼は「この神殿は復讐をしない」と諭すのでした。
 試練中で口を閉ざすタミーノにパミーナは嫌われたと思い、自害を考えます。一方、パパゲーノは老婆から変身した若い娘パパゲーナを見るや否や恋に落ちていました。しかし、「まだ早い」と彼女は神官たちによって連れ去られ、パパゲーノも自害しようとします。

 ナイフで自害しようとしていたパミーナはタミーノの元へ連れられ、誤解が解けます。二人は魔法の笛を使ってその後の試練もやり遂げました。パパゲーノも魔法の鈴を使って無事にパパゲーナと再会し、喜び合います。夜の女王は寝返ったモノスタトスと共にザラストロの神殿へ襲撃しますが、光に勝つことはできませんでした。ザラストロはイシス神とオシリス神を讃え、若きカップル達を祝福したのでした。
 では、「魔笛」の作品12点をご覧ください。


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「フランスの工房作  年代不詳」
魔笛を吹くタミーノと、花を持つタミーノ?
焼き物でできた飾り板の魔笛。装飾が美しいですね。
French School The Magic Flute

「イタリアの工房作  18世紀」
鳥を捕まえる職業のパパゲーノ。自分が鳥人間になっちゃって
いますね(笑) 彼は道化的存在で、ズルをしたりおどけたりと
人々を笑わせてくれます。
Papageno the bird-catcher Italian School 18th

「作者不詳  18世紀頃の挿絵?」
タミーノが魔笛を吹くと、森の獣たちが集まってきたという場面かな?
獣にしてはゾンビ的な人間ですけれど…。
Tamino  wild beasts Joseph and Peter Schaffer

「作者不詳  18世紀頃の挿絵?」
タミーノとパミーナが出会い愛し合ったものの、ザラストロに
試練を与えられるという場面。滝と火山噴火の双極により劇的な
演出をしていますね。
Austrian, late 18th  J. & P. Schaffer

「フランスの工房作  年代20世紀?」
魔笛のセットデザインを描いた作品。設定に忠実でザ・エジプト!
という感じですね。タミーノとかパパゲーノとか名前がイタリアなので
エジプトのイメージが未だに沸きません^^;
(タミーノとパミーナの名前がごっちゃになるのは私だけ?)
French School Set Design For The Magic Flute

カルル・フリードリッヒ・シンケル作  1815年」
夜の女王のステージセット。この作品をもとにして、舞台が作られたの
だと思います。星々が輝く青の舞台から夜の女王が登場した場面は
さぞかし壮観であったでしょうね。
Stage set for the Queen Night Karl Friedrich Schinkel 1815

ジモン・クアーリョ作  1795-1878年」
こちらも夜の女王のシーン。青の布の天幕がぶわっとなっております。
上記のカルルさんと彼は共にドイツ出身であるので、影響しあった
部分もあるのかなぁと思います。
Queen Of The Night Scene For Mozart's Magic Flute Simon Quaglio

「マルク・シャガール作  1966-67年」
幻想の画家シャガールが魔笛をモチーフにして描いた作品。
中央には魔笛を吹くタミーノ。左はパミーナで右はパパゲーノ・・・
かな?シャガールの不思議な世界観が溢れていますね。
Marc Chagall  Variation on the Theme of Magic Flute 1966-67

「マルク・シャガール作  1967年」
これまたシャガールさん。タミーノが魔笛を吹くと動物たちが寄ってきた
という場面を美しく描いています。タミーノに翼が生えたとか、
ライオンが人面とかいうツッコミを超え、「こういう世界なのだ」という
説得力のある神秘的で綺麗な作品ですね。
Marc Chagall, La flûte enchantée (Magic Flute), 1967

「オーストリア出身の画家作  18世紀」
魔笛の準備をしている劇団さん達を描いた作品。
手前は衣装の準備と音楽合わせ、後ろはセット運びで大忙し。
右側の人物はモーツァルトその人・・・なのかな?
An opera company preparing Austrian School, 18th

モーリッツ・フォン・シュヴィント作  1865-7年」
魔笛とフィガロの結婚、ドン・ジョバンニのコラボ作品。

いずれもモーツァルトが手掛けた傑作で、愛をテーマにしています。
ドン・ジョバンニは改心せずに地獄へと行ってしまいますが・・・^^;
Marriage Figaro and Don Giovanni 1865-7 Moritz von Schwind

カール・ジョゼフ・ガイガー作  1822-1905年」
ドン・ジョバンニと魔笛を創造するモーツァルトの作品。
彼等をぶわっと召喚するような構図は面白いですね。
モーツァルトに対する深い敬意が感じられます。
Don Giovanni and magic flute KARL JOSEPH GEIGER

 「魔笛」はフリーメイソンに深い関係があるとされています。フリーメイソンは中世後期~ルネサンス時代に結成されたとされる、会員同士の親睦や友愛を目的とした秘密結社です。モーツァルトも在籍していたと言われています。
 「魔笛」の設定や歌詞、音楽の中にフリーメイソンの教義や象徴が用いられており、ザラストロの神殿内は儀式
の音楽が再現されているそうです。魔笛はフリーメイソンの秘密が隠されているとも、宣伝目的であるとも囁かれており、モーツァルトは教義の秘密を漏らしてしまった為に暗殺されたとまで言われていますが、これは間違いであるようです。

 フリーメイソンの基本理念は「自由」、「平等」、「友愛」、「寛容」、「人道」の五つです。魔笛では真実の愛や正しき行い、許す心についてなどのテーマが盛り込まれています。モーツァルトはこのオペラを通じてフリーメイソンの理念を人々に楽しく伝えたかったのではないでしょうか。



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