Joseph Wright 'of Derby' 1734–97 Two Boys with a Bladder -

 現代の子供達は何をして「遊ぶ」でしょうか。現代では自分で遊ぶ手段を考えなくても、エンターテインメントが溢れていて、遊ぶ行為は無数に存在します。テレビゲームやスマホゲーム、漫画や映画、アニメ、それ関連のおもちゃ、アミューズメントなどなど。おもちゃのパソコンが売られているのを見たり、次々と新しいゲーム機が登場したりするのを知ると「ハイテクになったなぁ・・・」としみじみ思います。かくいう私は、ポケモンとかたまごっちの世代ですw

 近世や近代に生きる子供たちは、もちろんそのようなゲーム機を持っていません。漫画もありませんし、ディ〇ニーラ〇ドもありません。YouTubeも見れないし、映画もアニメもありません。彼等は自然で手に入れた物をおもちゃにし、職人が手作りで作ったおもちゃを使い、友達や動物とたわむれ、自然の中で遊びを見出しました。今の私たちでも「懐かしい」と思えるような、昔ながらの遊び方をしていたのです。
 では、遊ぶ子供たちの絵画12点をご覧ください。

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ラモーン・バエウ作  1746-93年」
 手作り感満載の牛が暴れ、他の子がそれと闘っています。
女の子を肩車し、闘わせてあげているのにほっこりしますね。
周囲にいるのは親御さんかな?
Ramón Bayeu y Subías Boys Playing Bullfighting XVIII

「スペイン出身の画家作  1777-78年」
ぷーっと膨らませているのは、なんと豚の膀胱。
大事な家畜である豚は全ての部位が利用され、膀胱は自然の
風船として子供のおもちゃにもなったそうです。
boys Inflating A Bladder 1777-78 Spanish School

ジョセフ・ライト作  1734–97作」
こちらも豚の膀胱を膨らませる子供。血管が走っていて、
現代の私達から見たらちょっとエグイですね…。
大きく膨らんで頑丈なので、他にも鞄やクッション、楽器にも
利用されたようです。
Joseph Wright 'of Derby' 1734–97 Two Boys with a Bladder

ジョセフ・ライト作 1767-70年」
何があった!めっちゃ喧嘩してるじゃん!
「僕の風船だー!」「いや、僕のだー!」「とるなー!」
「いたーい!うえーん!」って感じでしょうかw
Two Boys Fighting over Bladder1767-70 Joseph Wright of Derby

ジョセフ・ライト作  1734–97作」
子猫(本物)とお人形さんで遊ぶ女の子たち。
皆で一緒におままごとをしてるのかな?
おままごとの歴史は古そうですね。
Joseph Wright of Derby and a Tiny Kitten with a Hat

「アドリアーン・ブラウエルとヨースト・ファン・カースベークの合作 17世紀」
4名の少女が遊んでいる風景。赤い服の子は鳥のついた棒を持ち、
黄色い子は風車のようなものを持ち、奥の子は大きな人形を
抱えています。・・・なんの遊びでしょうかw
Landscape Adriaen Brouwe figures Joos van Craesbeeck 17th

フィリップ・メルシェ作  1689-1760年」
わんちゃんに棒を持たせ「待てだぞ!」と言っている年長の
子と、いえーいとポーズを取る二人の子。「仕方ないな。
付き合ってやるか」という風なわんちゃんの目線がナイスです。
Playing Soldier by Philippe Mercier

ヨハン・バプティスト・ライター作  1813 - 90年」
兵隊のお人形を木製の馬車(大砲?)に乗せて、はいポーズ。
紐を持つ後ろの子は、はやく引っ張って遊びたそう・・・。
後ろでご両親が見守っていますね。
Johann Baptist Reiter 1813 - 1890

ハリー・ブルッカー作  1848 – 1940年」
室内で綱引きをやっちゃう子供たち。
足元の布とか滑って転びそうで、見ているこっちがハラハラ
しちゃいます。壁に突っ込んで穴開けないようにね!
Harry Brooker 1848 – 1940

フィリップ・メルシェ作  1740年頃」
コマが18世紀の西洋にあるなんて!調べてみたら、なんと
紀元前1400~2000年ほどのエジプトからコマが発掘されたとか。
想像よりはるかにコマは古かった・・・!
Philip Mercier Portrait of boy with spinning top 1740–40

「Friedrich Eduard Meyerheim 作 1808-79年」
変哲もない枝だって、子供のおもちゃに変化します。
ぶんぶん振り回して、遊んでいそうですw
お母さんは樹に隠れて、いないいないばぁしてるのかしら。
Friedrich Eduard Meyerheim  Spielende Kinder im Walde

アロイス・ハンズ・シュラム作  1864-1919年」
お人形さんを抱っこして、はいポーズ。
子供の頃は、人形やぬいぐるみをずっと抱っこして連れて歩いた
ものですよね。今でも私はぬいぐるみが大好きですw
Alois Hans Schram

 豚の膀胱を見ていたら、昔遊んだ「ポリバルーン」というおもちゃを思い出しました。
 金属のチューブからジェル状のものを出し、ストローの先に付けて慎重に膨らませていくと、薄い風船になるというもの。あまり大きくし過ぎたり、ストローから切り離すのに失敗すると、破れてしまう。匂いが独特で今でも思い出せます。通常の風船より、こちらの方をたくさん膨らませた記憶がありますw皆様もよく遊んだのかしら?

 現代の子供は「遊び」の選択肢がたくさんありますが、昔ながらの遊びもまだまだ現役です。お人形さん遊びや、コマ回し。車や汽車、友達とおいかけっこ、縄跳びに綱引きと、機械を使わない自然の中での遊びは現代でも親しまれています。そういったものは遊ぶ回数こそ減ったとしても、国や時代を超えて子供をめいいっぱい楽しませる「遊び」として、いつまでも受け継がれていくのでしょう。



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