
オリオンはボイオティア地方に住む巨人の狩人です。背の高い偉丈夫で、一説によるとポセイドンとミノス王の娘エウリュアレーの間に生まれたとされています。
彼は恋多き男で、シーデーやメロペーという美女を愛しましたが、シーデーはヘラによって殺され、メロペーは彼の愛を拒否してしまいます。メロペーの父親によって目を抉られ、盲目となったオリオンは、暁の女神エオスと太陽神ヘリオスの力を借りて目を癒します。それからエオスや、プレイアデス七姉妹に恋をしたそう。恋多すぎですね…!
その後、彼は女神アルテミスと恋に落ちることになります。二人はクレタ島で暮らし、結婚も考えるほどでした。しかし、それに激怒したのは彼女の兄アポロン。「妹は純潔を守らねばならん。こんなどこの馬の骨とも分からん、乱暴な男は言語道断だ!」と、オリオンの元に毒サソリを放ったのです。サソリに驚き、オリオンは海へと逃げました。それを確認したアポロンはアルテミスにこう言いました。「妹よ。いくら達人の君でも、あの遠くに光るあれは射れまい」と。「そんなことは容易いわ!」と、兄の挑発に乗ってしまった彼女は、オリオン目掛けて射ってしまったのでした。こうしてオリオンは恋人の手にかかり、命を落としたのでした。
死体が浜に上がり、自分のやったことを悟ったアルテミスは、たいそう嘆き悲しみました。名医アスクレピオスに蘇生して欲しいと頼み込みますが、冥界王ハデスに反対されてしまいます。アルテミスは「ならばせめてオリオンを空に上げてください。私が夜空を走る時、彼に会えるように」とゼウスに頼み込みました。ゼウスはこれを聞き入れ、オリオンは星座となったとされています。
では、オリオンにまつわる絵画11点をご覧ください。
PR
「二コラ・プッサン作 1658年」
オイノピオン王によって盲目にされてしまったオリオン。
ケダリオンという者を肩に乗せ、彼は太陽神ヘリオスのに導きに
より、オケアノスへと到着します。そこの太陽を見た時、
オリオンの盲目は治ったのでした。

「ローマの工房の画家作 17世紀」
盲目となった巨人オリオンが彷徨うの図。足元の家を見ると、
彼がかなり巨大であることが分かりますね。ワイルドイケメン
であれば、何名もの女性との恋に巨大すぎる背丈も関係ない…!?

「ヨハン・ハインリヒ・ティシュバイン作 1762年」
女神アルテミスといちゃつくオリオン。巨人が関係なくなり、
イケメン美青年になっておりますね。この関係が気に入らない
兄アポロンは策略を練り、オリオンは命を落とします。

「ダニエル・シーター作 1685年」
アルテミスの矢で息絶えたオリオン。彼女は名医アスクレピオスに
蘇生を頼みますが、冥界王ハデスに拒否されてしまいます。
あられもない姿で倒れているオリオン…。

「ギイ=ニコル・ブルネ作 18世紀」
オリオンの死と題された作品。首に立った矢と、足元の矢筒で
表現しています。ただただ、美青年のお身体が描きたかった
だけに感じますね…^^;

「作者不詳 18世紀の挿絵」
望遠鏡を使ってオリオン座を見上げる天使さん。
この星々の形を見て、オリオンの人格や物語を想像した
昔の人のイマジネーションに脱帽です。

「作者不詳 15世紀の挿絵」
中世のオリオン座。巨人の狩人というより中世の騎士ですね^^;
剣二振りと個性的な盾を装備して、はいポーズ!

「作者不詳 1482年の挿絵」
こちらはルネサンス時代の挿絵。手持ちが棍棒になったものの、
やっぱり騎士ですね。15世紀に神話がどのように伝えられていた
のかが気になります。くるくる巻き髪がセクシーです。

「ヨハネス・ヘヴェリウスの書籍の挿絵 1687年」
中世の騎士は脱出できましたが、ギリシアの戦士という感じに
なりましたね。棍棒と盾、剣はやはり所持しています。

「作者不詳 1825年の挿絵」
現代の私達が想像するような姿になりました。こうして見ると、
棍棒と獅子の皮がヘラクレスと似通っているような。
ヘラクレスはゼウスの子で、オリオンはポセイドンの子で
生い立ちは違えども、謀略で死を迎える部分も共通点がありますね。

「イスラムの彩色写本の挿絵より 13世紀」
おりおーん!!!???

最後の中世イスラムのオリオンのインパクト、半端ないですねww
アポロンの奸計によって命を落としてしまったオリオンですが、サソリによって殺されたという説もあります。一説によると、巨人でかなり強いオリオンは力を自慢するようになり、「俺が地上のあらゆる獣を狩りつくしてやるぜ!」などと豪語していました。それを不満に思っていた女神(ゼウスの妻ヘラであったり、大地の女神ガイアだったりします)は、彼にサソリを放ちます。サソリの毒にやられ、オリオンはあっけなく命を落としてしまうのでした。
オリオン座は冬、さそり座は夏の星座。双方は決して同時に出ません。サソリが姿を現す時、オリオンはもう二度と毒にやられぬよう、そそくさと地平線の奥へと逃げていくのでしたー…。
どちらの説だったとしても、なんというか格好がつかない死に方ですね…^^;どんまい、オリオン。
PR
ギイ作、本当に美しくて何度も見ちゃいますww