Johann Amadeus Wink Still Life with Mouse Fruit  Flowers 18th -

 家に穴を開け屋根裏を走りまわり、穀物を食い荒らしてフンを落とす。現代でも害獣とされ、駆除の対象になってしまうネズミ。
 中世、近世のヨーロッパにおいてもネズミは忌み嫌われる存在で、不吉や死、病気の象徴として恐れられ、駆除されていました。ですが、衛生管理が良くなかった為、次々と数を増やしたネズミは家庭に当たり前のように住み着いていました。また、15世紀にネズミを獲物としていた猫が、宗教上の理由で駆除され数を減らしたことも、ネズミの増加に拍車をかけました。18世紀頃になるまで、ネズミは人々の恐怖であり続けたのです。

 中世、近世ヨーロッパを覆った病原菌ペスト(黒死病)の原因は、ネズミについた蚤とされています。ペスト菌を持つ蚤をネズミが連れて歩き、蚤が人間に吸血して感染させていったのです。ペスト蔓延の直接的な存在ではありませんが、ネズミは暗黒時代に陥れた立役者とも言えるでしょう。そんなネズミにまつわる作品を、画家の何名かが様々な視点で描いています。
 では、ネズミにまつわる絵画11点をご覧ください。

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「イギリス出身の画家作 19世紀」
タマネギの上に乗っかる二匹のネズミ。犬や猫はたまねぎを
食べると中毒になりますが、ネズミはならないそう!
ですが、たまねぎやニンニクなどのものは匂いがきついので、
あまり食べたがらないみたいです。ネズミ強し。
19th English School Still Life Mice

「ゲオルク・フレーゲルの追随者作
不思議なお野菜に囲まれ、食べ物をはむはむしているネズミ。
うしろ、うしろ!
Georg Flegel (circle)  Stillleben mit Zitronen

「ジョージ・スミス作 1713–76年」
ぐわしっ!とネズミを踏みつけている、猫さん。
卵をひっくり返して割りつつも、見事仕留めました。
カメラ目線でどこか誇らしげですね。
George Smith  (1713–76)

「Johann Amandus Winck 作 18世紀」
 果物をもぐもぐと食べるネズミ。しっぽが白くて可愛いですね。
この画家さんはネズミへの「嫌われ者」という負のイメージが
感じられませんね。
Johann Amadeus Wink Still Life with Mouse Fruit Flowers 18th

「ドミニクス・ファン・トル作 1664-5年」
ネズミの罠を持って、はいポーズの少年。
当時は冷蔵庫がない為、干し肉や飲み物は地下などで保存されて
いました。ネズミさんがいっぱい狙っていたでしょうね…。
Boy with a Mousetrap Candlelight Dominicus van Tol 1664-5

「Giacomo Francesco Cipper 作 1664-1736年」
ネズミ捕り器を使い、捕獲に成功してご満悦な男性。
なんだかネズミが空中浮遊して見えますw
猫さんが狙っていますね。これからご飯になるのかしら…。
Mouse Hunt DE BRAEKELEER Ferdinand Giacomo Francesco Cipper

「オランダ出身の画家作 18世紀」
はまってますよ!現実から目を背けていますが、あなたの指、
罠に見事にはまってますよ!
Dutch School 18th A man with his finger trapped in a mouse trap

「ルイ=レオポルド・ボワイー作 1761-1845年」
「ほら~部屋にネズミがいたぞ~ほらほら」
「うわーん!恐いよ~!」「やめて。早く捨ててきなさい」
「じゅるり…うまそう (猫)」ってな感じですかねw
Louis-Leopold Boilly The dead mouse

「フェルディナンド・デ・ブラーケレール作 
部屋にネズミが出現し、三人がかりで全力で退治中。
とっちらかってますね^^;晴れて退治できた時には、
部屋中のものが壊れてそうです…w
 The Mouse Hunt DE BRAEKELEER Ferdinand

「ジョン・エヴァレット・ミレー作  1851年」
美女が煌めくステンドグラスの前で腰を伸ばしています。
一見、とても美しい作品ですが…右下にはネズミが!
こんな絢爛な部屋にも出ちゃうのです。
John Everett Millais. 1829-1896. Mariana. 1851

「フランス・スナイデルス作 1579-1657年」
こちらはアイソーポスの「ねずみの恩返し」という寓話の作品。
ライオンに見逃してもらったネズミが、ライオンのピンチを
救うという物語です。ネズミどこだ!?と思ったら、左下の
幹の黒い部分がネズミでした!見辛い…^^;
Frans Snyders The Fable of Lion Mouse 1579-1657
 
 中世~近代のヨーロッパの生活において、ネズミは密接に結びついており、切っても切れない関係です。そんな死と疫病の象徴であるネズミを表した、2019年発売のゲームがあります。
 その名も「A Plague Tale: Innocence (プレイグ テイル イノセンス)」。14世紀のフランスが舞台で、戦争と疫病がはびこる土地で、姉弟が生き延びながら真相に迫っていくという物語です。

いつの時代でも「平和」は長く続かないものだ。
フランス王国の大地が突如揺れ始め、小さな村の静寂を破る。
門前に現れる軍隊。城壁の内側で蔓延る病。防ぎきれない疫病。
学者たちは古文書や聖書を読み漁り、必死に答えを探す。
だが、そう簡単なことではない。この疫病の原因は不明なままだ。
鋭い歯、光る眼、ねじれた尾…。
ネズミの大群の脅威は容赦なく、飢えと寒さしか感じられない。
その渦中にはユーゴとアミシア。
遺児になった姉弟には戦う道しかない――。
「A Plague Tale: Innocence」サイトより引用

イノセンス2

イノセンス

 こんな感じです。画像は公式サイトさんからお借りしました。リンクは以下に掲載します。ネズミがうっぞうぞと出てきて、正直言うと気持ち悪いです^^;集合体恐怖症(トライポフォビア)の人は、ちょっときついかもしれません…。

 私はプレイがヘタクソなので、ゲーム実況の方を通して見ましたが、とても面白かったです!うっぞうぞのネズミの気持ち悪さを補って余りある面白さでした。ネズミをけしかけて敵を倒したり、火でネズミを追い払ったり、薬品を調合して使ったりとアクション性があり頭脳も使うので、やりがいがあります。ストーリーも奥深いですし、グラフィックも綺麗&恐怖でヨーロッパの暗黒面が前面に感じられます。姉弟のやりとりも切なくもどかしく、二人を応援したくなりました!

 こちらのゲームはPS4やXBOX、steamなどで購入できます。気になった方はぜひ、見てみてくださいな~。暴力やグロテスクなシーンが含まれますので、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

 そしてなんと!!
 続編である「A Plague Tale:Requiem (プレイグ テイル レクイエム)」が10月18日に発売なのだそう!もうすぐじゃーん!と思いきや。それは現地時間であり、日本での発売はまだ未定であるそう…。残念。
 また発売されたら、ぜひやってみたいですね^^それまでにゲーム上達しなきゃ…w

→ 「プレイグ テイル イノセンス」のサイトはこちら


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