メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ダークサイドの西洋美術にまつわる絵画や展覧会、グッズ情報をご紹介。

神話・伝承

ピュラモスとティスベの絵画14点。ライオンによる誤解により絶命した悲劇の恋人たち

Pietro Bianchi, Pyramus and Thisbe, c. 1724-5 -

 ピュラモスとティスベはギリシャ神話に登場する恋人たちです。オウィディウスの「変身物語」に掲載されています。
 バビロンの街の隣人同士である二人は愛し合っていました。しかし、彼等の親は折り合いが悪く、その恋に猛反対。会う事すら許してくれず、ピュラモスとティスベは毎夜ごと壁に空いた穴から愛をささやく事しかできませんでした。月日は経ち、二人は駆け落ちをして何処か遠くで暮らそうと決心し、バビロンのはずれのニノスの墓所で落ち合おうと約束したのです。

 約束の夜にティスベは家から抜け出し、墓所へと到着します。ピュラモスはまだ来ていません。彼女が泉のほとりの桑の木の側で待っていると、恐ろしいうなり声が聞こえてきました。ティスベは慌てて逃げたものの、被っていたベールを落としてしまいます。姿を現したのは口元を血で染めたライオン。猛獣は水を飲み、ベールにじゃれついて遊んだ後に遠くへと去っていきました。

 そのタイミングでピュラモスが現れてしまいます。目に入って来たのは血まみれで引き裂かれたベール。彼はティスベがライオンに食べられたと思い込み、絶望の余り持っていた短剣で自分を刺して絶命してしまったのです。もう安全と思って元の場所に戻ったティスベが見たのは、ベールを握ったまま息絶える恋人の姿。彼女はピュラモスが握っていた短剣を胸に当て、後を追ったのでした。翌日になり、惨劇を知った互いの両親は深く哀しみ、和解をして二人を一緒に埋葬してあげたそうです。
 悲劇の王道とも言えるピュラモスとティスベの絵画14点をご覧ください。

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カリストの絵画13点。アルテミスに化けたゼウスに狙われ、熊となった可哀想な美女

Jupiter  Callisto  François Boucher 1763 -

 ギリシャ神話に登場するカリストはアルテミスに化けたゼウスによって妊娠し、本物のアルテミスによって熊に変えられてしまった美女です。
 カリストは恋愛やお洒落に興味を示さず、アルテミスの従者として狩りを行っていました。しかし、ある日ゼウスが彼女を見初め、アルテミスに化けてカリストに近付き、想いを遂げてしまいます。彼女はこの事実に恐怖し、妊娠したことをずっと女神に隠していました。しかし、数か月後にアルテミス達と沐浴する機会が訪れ、衣服を脱いだことにより妊娠がばれてしまいます。アルテミスはその事実に怒り、恐ろしい呪いを掛けました。(ゼウスの妻ヘラの呪いという説も)美しいカリストの容姿は真っ黒な剛毛に覆われ、爪は鋭くなって牙が生え、うなり声しか出せなくなりました。彼女は恐ろしい熊に変えられてしまったのです。
 
 変身物語によるとカリストはその後、数十年間熊のままで生き続け、残酷な苦しみを味わいました。彼女とゼウスの息子であるアルカスは、マイアに預けられて立派に成人しました。ある日、アルカスが狩猟をしていたところ、巨大な熊と出会って射ようとしました。それを見ていたゼウスは二人を不憫に思い、カリストをおおぐま座、アルカスをこぐま座として天へと上げたとされています。
 偽アルテミスに迫られ、本物には糾弾されるカリストについての絵画13点をご覧ください。

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ユニコーンの絵画13点。獰猛だが処女にだけ心を許す、神秘をまとう伝説の一角獣

Gustave Moreau  1885 -

 かなり有名な伝説の生物であるユニコーン。一角獣とも呼ばれ、額の中央に長い角が生えた白馬の姿で描かれることが多いです。
 ユニコーンが初めて書籍に現れたのは古代ギリシャの歴史家クシテアスが書いた「インド誌」とされ、その後アリストテレスやプリニウスが一角獣についての言及をしています。その頃は姿が一定しておらず、馬ではなくロバや山羊、象、鹿などが混ざったキメラだとされていました。

 ユニコーンは美しい姿とは裏腹に、非常に獰猛で俊足。長い角はどんなものでも貫けるほど強靭とされています。しかし、その角は水を浄化し毒を中和する力があるとされ、あらゆる病気を治す特効薬と考えられていました。それ故、危険を承知で人々は角を求めたそうです。幸いにもユニコーンは美しい処女に弱いとされ、処女が現れると従来の凶暴さは成りを潜め、膝の上に頭を乗せて眠り込んでしまうとされています。(少年を美しく着飾って処女に見せる事も行われたそうです) その隙を見計らい、狩人たちはユニコーンを捕まえるのでした。一角獣の角は破格の値段で取引がされましたが、現代の調査ではそれらはイカックやサイの角ばかりであったそうです。
 貞潔や高貴の象徴ともされるユニコーンの絵画13点をご覧ください。


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アクタイオンの絵画14点。女神ディアナの入浴を見たばかりに破滅する哀れな青年

Diana and Actaeon (Louis Jean François Lagrenée -

 アクタイオンは女神ディアナ(アルテミス)の水浴を偶然見てしまったが為に、命を落とした運の悪い猟師の青年です。
 ある日、アクタイオンは仲間と共に50匹の猟犬を連れて、キタイローン山の谷間に来ていました。彼はケンタウロスのケイロンに育てられて猟師の技を教えられたとされており、その腕はピカ一でした。沢山獲物を捕まえたアクタイオンは一時休憩の為に泉を探します。しかし、その谷間はディアナの聖域であり、奥の洞窟にある泉では女神が従者を連れて水浴びをしていたのです。
 何も知らないアクタイオンは泉へ入り込み、ディアナの裸体を見てしまったのでした。怒り狂った女神は彼を鹿の姿に変え、50匹の猟犬をけしかけました。鹿と化したアクタイオンは自分の変化におののき、何処に逃げようかと迷っている間に、猟犬に食い殺されて息絶えたとされています。
 この物語はルネサンスやバロック時代の貴族たちに人気があったようで、想像以上に多くの作品が残されています。では、女神様の水浴場面と鹿人間となったアクタイオンの絵画14点をご覧ください。

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バウキスとピレーモーンの絵画14点。ゼウスとヘルメスを快く招いた、正しき老夫婦

1818 Nicolas Auguste Hesse  -

 バウキスとピレーモーンはギリシャ神話に登場する、善人の老夫婦です。
 ある日、ゼウスとヘルメスは貧しい身なりの人間に変装してフリギア(トルコ中部)を旅していました。夜になると彼等は近くの家の戸を叩き、一晩泊めてくれるよう頼もうとしましたが、不親切にも戸を開けてくれません。やっとの事で二人は迎えてくれる所を発見します。そこはボロボロの家で、貧しい老夫婦が住んでいました。彼等は二人を歓迎し、暖かい火を起こして質素ながらも精一杯のもてなしを行いました。

 食事中、夫婦はある事に気付きました。なんと自然と酒瓶から酒が湧き出ているのです。眼前の者達が神である事を知ると、二人は貧しいもてなしを詫び、守り神のようにして飼っていたガチョウを供物にしようとしました。しかし、ゼウスはそれを止めて「私達はこれからこの村に罰を与える。お前達だけは助けるから、共に来るがよい」と言いました。夫婦は直ぐにそれに従い、神々と一緒に険しい坂道を上ってゆきました。

 そして夫婦が頂上へ着いた時、村はすっかり湖に沈んでしまい、彼等の家だけが残っているだけでした。二人が驚いていると、その家は豪華な神殿へと変貌していったのです。「徳の高い夫婦よ。望みの物を言ってみるがいい」というゼウスの問いに対し、二人は「この神殿の祭司とさせていただき、この世を去る時は同時に逝くようにしてください」と頼みました。この願いは聞き届けられ、年月が過ぎて夫婦がすっかり年老いると、二人の身体は同時に樹木に変化していきました。オークと菩提樹の木はいつまでも神殿に残っているとされています。
 親切な者は救われる。バウキスとピレーモーンの絵画14点をご覧ください。

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クロトンのミロンの作品11点。幹に手がはまって猛獣に喰われた最強レスリング選手

Giovanni Antonio de Sacchis IL Pordenone. Italian 1535-40 -

 クロトンのミロンは、紀元前6世紀頃の古代ギリシャで活躍したレスリング選手です。
 マグナ・グラエキナ(南イタリア)のクロトン出身で、古代オリンピックなどの競技で連戦連勝し、24年間無敗を誇ったとされています。歴史家のディオドロスによれば、紀元前510年に起こった戦争で活躍し、クロトン側の勝利に貢献したそうです。宴会場の屋根が崩れて哲学者のピタゴラスに降りかかった際、ミロンが屋根を支えて命を救ったという逸話もあります。ピタゴラスは感謝を表し、娘のミラを結婚相手として差し出したそうです。

 牛を肩に担いで鍛え、名声を欲しいままにしたミロン。しかし、彼の最期はなんとも悲しく情けないものでした。ある日、ミロンは腕力だけで木を切り倒そうとし、平手を幹に打ち付けました。木は引き裂けたものの、なんと手が裂け目にハマってしまったのです。木が倒れた音に反応してやってきたのは、獰猛な猛獣(獅子、狼とともされる)。手が抜けないまま、ミロンは猛獣に食い殺されてしまったのでした・・・。
 なんとも悲惨な最期を遂げたクロトンのミロンに関する絵画や彫刻作品、11点をご覧ください。

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アンドロギュノス(両性具有)についての写本挿絵13点。錬金術における完全体の象徴

Buch der heiligen Dreifaltigkeit ale, Beinecke, Mellon 1700

 古代ギリシャやエジプトで興り、中世ルネサンス時代に発達した、卑金属から金を錬成する術を探る錬金術。
 錬金術師の目標は金を生み出すだけではなく、対立している両極性の統合、完全性の入手にありました。男女や善悪、太陽と月。世界の全ては両極性を含んでいるとされ、それを統合して初めて完全を得ると考えられていたのです。

 男女を統合して完全体になった存在は「アンドロギュノス(両性具有)」と呼ばれ、究極の真理とされてきました。錬金術の世界においてアンドロギュノスの姿は半分が男性で半分が女性の姿をした王の姿で描き、一対の翼を持ち、龍を踏み付けたり、定規や蛇、盃などを手に持っています。また、この存在はレビス(Rebis)とも言われ、ラテン語で「2つの部分から成る者」の意味を含んでいます。
 では、錬金術における完全体アンドロギュノスについての挿絵13点をご覧ください。

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ヘルマプロディトスの絵画13点。ニュムペーに愛され、両性具有体となった美少年

Hermaphroditus And Salmacis by Louis Finson -

 ギリシャ神話に登場するヘルマプロディトスは、ヘルメスを父にヴィーナスを母に持つ美少年です。
 ヘルマプロディトスはトルコのイデ山でニュムペー(ニンフ)によって育てられました。15歳の時に各地を旅し、ハリカルナッソスという土地の森の泉で、ニュムペーのサルマキスと出会いました。彼女はこの美少年に一目惚れをし、誘惑を試みましたがすげなく断られてしまいます。ヘルマプロディトスはサルマキスが去ったのを見計らって衣服を脱ぎ、泉へ入っていきました。その時、隠れていたサルマキスが猛ダッシュし、美少年目がけて飛び込んだのです!

 「好きよ~!」と抱きしめようとするサルマキスに、「止めて~!」と抵抗するヘルマプロディトス。彼女は神々に「どうか離れ離れにしないで」と願い、その祈りは届けられます。こうして二人は融合して両性具有体となったのでした。自らの身体の変化に悲嘆したヘルマプロディトスは、「この泉の水を浴びた者は全て僕のようになってしまえ」と呪いをかけたとされています。
 サルマキスに愛されすぎたヘルマプロディトスの絵画13点をご覧ください。

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ヒュラスの絵画13点。ヘラクレスの従者だったが、泉のニュムペーにさらわれた美少年

Hylas and the Nymphs, John William Waterhouse -

 ギリシャ神話に登場するヒュラスはヘラクレスに仕えていたものの、ニュムペー(ニンフ)にさらわれてしまった美少年です。
 ドリュオプス族のテイオダマース王とニュムペーのメノディケ(ケーウクスという説も)との息子。テイオダマース王は非道な性格をしていたので、ヘラクレスは王を殺して幼いヒュラスを奪い、従者として育てる事にしました。(ヘラクレス滅茶苦茶な奴ですね・・・) それでもヒュラスは立派な従者に成長します。

 しかし、アルゴ―船がキアノス島へ上陸した日に事件が起きます。ヒュラスが泉へ水を汲みに行った時、泉のニュムペー達と遭遇。ヒュラスの美しさに惚れてしまったニュムペーらは、彼を泉の中へ引きずり込んでしまったのです。ポリュペモスがヘラクレスにヒュラスが行方知れずになったことを伝え、二人は捜索をします。現地の村の人を脅迫してまで懸命の捜索をしたものの、結局発見できずにヘラクレスはその場を離れざるを得なかったのでした。こうしてヒュラスは泉のニュムペーの夫となったのです。
 美少年を泉に引きずり込む美女たちの絵画13点をご覧ください。

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デウカリオンの洪水の絵画13点。殆どの人類が絶えた、ゼウスの怒りによる大洪水

Paul Merwart (1855-1902), The Flood -

 デウカリオンはギリシャ神話に登場し、妻と共に大洪水を生き延びた人物です。
 人間に火を与えたプロメテウスの息子とされ、プティアの王とされています。プティアの地はアキレスの故郷でもあるようです。ゼウスはアルカディアの王リュカオンと息子達に人肉をもてなされた為、人間の存在を疎ましく思うようになり、滅ぼしてしまおうと地上に大洪水を起こしました。激しい豪雨により海の水かさが増し、あっと言う間に水は全ての都市を流し、水に浸からなかったのは山頂のわずかな部分だけでした。

 デウカリオンは父プロメテウスより警告を受け、方舟を作って食糧を入れて妻ピュラーと乗り込んでいた為、難を逃れました。9日間水上を漂ってようやく水が引いた時、二人はパルナッソス山へと到着しました。デウカリオンはピュラーと共に河のほとりの神殿でゼウスに生贄を捧げ、「人間を蘇らせてください」と祈ります。ゼウスはその願いを聞き届け、「お前達の顔を布で包み、母の骨を後ろに投げよ」というお告げを与えました。

 ピュラーはそんな親不孝はできないと嘆き悲しみましたが、デウカリオンは母は「大地」のことで骨は「河岸の石」の事だと解釈し、二人は石を拾って背後に投げました。すると、デウカリオンが投げた石から男性が誕生し、ピュラーが投げた石からは女性が誕生しました。こうして地上にはまた人間があふれるようになったのです。
 デウカリオンの洪水についての絵画13点をご覧ください。

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プロフィール
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中世ルネサンスのシュールな絵画をこよなく愛する。
師匠はヒエロニムス・ボス。
神秘とダークな作品情報を皆様と共有していきたいと思います。

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