メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ダークサイドの西洋美術にまつわる絵画や展覧会、グッズ情報をご紹介。

旧約聖書

ルツ記の絵画11点。嫁姑、貧富も幸福に。たおやかな麦穂の如く心慎ましき男女

EDUARD HOLBEIN  RUTH AND BOAZ 1807-75 -

 ルツ記は旧約聖書に記載されている、モアブ人女性ルツを主人公とする物語です。
 ユダのベツレヘム出身のエリメレク、妻ナオミと二人の息子はモアブに移り住み、息子の一人はルツと結婚します。やがて男たちは皆死んでしまい、自国へと帰るナオミにルツはついていくことを決心します。ルツがベツレヘムの畑にて貧しく麦の落穂を拾っていた時、その畑の所有者に「落穂を沢山拾って。さぁ食べて水を飲みなさい」と食事を勧められ、多くの麦をもらいました。所有者はボアズという人物で、図らずもエリメレクの遠縁だったのです。ルツとナオミは深く感謝し、慎ましく暮らしました。

 やがてナオミは「あなたは主人の元へゆくべきです」と、ルツにボアズの床へ行くよう勧めます。ルツはそれに従いますが、彼は「私の他に権利の高い親戚がいる」と床を共にすることをよしとせず、何事もなく翌朝ルツに贈り物を持たせて家に帰らせます。ボアズはその親戚と会い、親族の贖いの責任を自身が負い、エリメレクの土地や息子の妻を譲り受ける事を、証人のもとで承諾させました。

 こうしてルツはボアズの正式な妻となりました。ルツは息子オベデを産みます。オベデは将来ダヴィデ王の祖父となる人物なのです。この物語は「異邦人でありながらも姑についていき、敬虔な心で仕事をした慎ましきルツ。欲望に負けず、知恵を以て正式な契約にのっとってルツを妻としたボアズ」を讃えています。血なまぐさいシーンがある聖書内において、争いのない穏やかで静かな物語と言えますね。
 では、ルツ記の絵画11点をご覧ください。

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父なる神の絵画13点。人間の所業を見透かし裁く、宗教の礎である世界の創造主

Pompeo Girolamo Batoni 1779 -

 「神」。それは人間が想像を絶するような絶対的で超越的な存在であり、崇拝する対象。
 ユダヤ教、イスラム教、キリスト教において神は唯一とされ、神と同列の存在はいないとされています。唯一神の名は「ヤハウェ」や「エホバ」と呼ばれており、慈悲深くも厳しい全能の存在と考えられています。
 旧約聖書でモーセは「偶像崇拝をしてはならぬ」と神をかたどった像を破壊しましたが、キリスト教のカトリック教は偶像崇拝を否定しておらず、後年の画家たちは「神」の姿を何枚も描いています。神は豊かなひげを生やした賢者風の老人として表現されることがほとんどで、それは神との仲立ち人である教皇の影響がみられたり、異教の主神の雰囲気を思わせる厳格な姿を思わせる場合もあります。
 では、父なる神の西洋絵画13点をご覧ください。


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ユダヤの英雄ユダ・マカバイの絵画12点。エルサレムを奪還し宗教と地を守った豪勇

The Triumph of Judas Maccabeus, 1635 Rubens, Peter Paul -

 ユダ・マカバイは前2世紀頃に生きたとされる、ユダヤの民族的英雄です。旧約聖書の「マカバイ伝」に登場します。
 セレウコス朝シリアの王アンティオコス4世エピファネスはエルサレムを占領し、ユダヤ教を迫害して神殿を略奪し、偶像崇拝を強要しました。憤るユダヤの民。モデインという町に住む祭司マタティアと五人の息子達は独立を求めて蜂起しました。息子の一人がマカバイ(金杯)と呼ばれたユダで、この争いはマカバイ戦争とされました。
 蜂起の翌年にマタティアは死去し、ユダ・マカバイが反乱軍のリーダーとなってシリア軍と争いました。並々ならぬ指導力を発揮し、イスラエル側は敵を打ち倒していきます。シリアの王はリュシアスに制圧を命じて大軍を動かしますが、ユダ・マカバイはそれを退ける事に成功します。一時休戦を結んで宗教の自由を認めさせ、ユダ・マカバイはユダヤ教を復活させました。

 その後も、ユダ・マカバイは周辺の民族と争いを続けていきます。シリア王が病死すると息子が跡を継ぎ、再びユダヤ側に進行してきましたので、彼は応戦したものの、敗北して追い詰められてしまいます。しかし、シリア側の将軍がクーデターを起こした為、両者は和平を結んで事なきを得ました。それからも数回シリア側と戦いが続きます。彼はシリア側に対抗すべく、ローマと同盟関係になることにしました。
 しかし紀元前160年、シリア側は2万弱の兵に対し、ユダ・マカバイの兵は800名という圧倒的に不利な戦争(エラサの戦い)が起こります。「逃げろ!」という助言を訊かず、彼は「男らしく死のう」と敵に立ち向かっていきます。勇猛果敢に戦い、ユダ・マカバイは戦地にて命を落としました。兄弟二人は遺体を引き取り、その中の一人ヨナタンが彼の後を継いで兵を率いたそうです。 
 では、ユダ・マカバイについての絵画12点をご覧ください。

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黄金の子牛の像の絵画13点。神を象るなとモーセが怒り狂った偶像崇拝の象徴

Moses Destroying the Golden Calf by Andrea Celesti -

 黄金の子牛は、イスラエル民族によって作られたとされる旧約聖書に登場する像です。
 「出エジプト」によると、モーセはシナイ山で神託を受ける為、40日間こもっていました。残されたイスラエルの民たちは「モーセは死んだのではないか」と思うようになり、限界に達した彼等は「我らを導いてくれる神を作ってくれ」とモーセの兄アロンに嘆願します。アロンは仕方なく黄金で作られた子牛を鋳造しました。すると、民は像を拝み始めたのです。

 その状態を見た神はすぐさま下山するようにモーセに命じ、「民を滅ぼしてやる!」と激怒します。モーセは「止めてください」と神を説得し、授かった十戒の石板を持って下山します。彼の目に飛び込んできたのは、宴をしながら金の子牛を取り囲み、像を拝んでいる人々の光景でした。それに怒ったモーセは石板を破壊し、子牛を溶かして粉々にし、水に混ぜて民に飲ませました。そして、偶像崇拝に加担した民衆を殺害するように命じたのです。その数は3000人ほどであったとか・・・。モーセも中々にやっちゃっています。
 この物語は旧約聖書のヤハウェの神を物質化し、「偶像崇拝」した事によって神の怒りを買った、という事を伝えていますが、時代が経るにつれて、拝金主義や唯物論の比喩としても考えられるようになりました。
 では、黄金の子牛についての絵画13点をご覧ください。

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天地創造の絵画13点。唯一神は6日の間に天地と動物、アダムとイブを創造する

The Creation Of The Birds And Fish by Flemish School -

 旧約聖書の「創世記」よると、世界は6日間の間に神によって創造されたとされています。
 1日目は宇宙と地球、昼夜を形作り、2日目は天空、3日目には大地と海、植物を創造します。そして4日目には太陽と月と星が生まれ、5日目には魚と鳥、6日目には獣と家畜と人間(アダムとイブ)が創られました。7日目になって神は休憩したとされています。天地創造の題材はルネサンスやバロックの画家達に人気があり、幾つかの絵画が残されています。
 では、世界と人間を生み出している神の姿13点をご覧ください。

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ベルシャザルの饗宴の絵画13点。神の言をダニエルに説かれ絶えた新バビロニア王

Belshazzar's Feast Rembrandt 1635-38 -

 ベルシャザルはカルデア人の新バビロニア王国の王です。
 旧約聖書の「ダニエル書」によると、ある日、ベルシャザルはが1000名もの貴族や後宮の者達と宴を開き、ワインを飲んでいました。突然、人間の手の指が表れ、壁に字を書くという超常現象が起こります。ベルシャザルは戦慄し、その字が読める者を探しましたが、誰も現れません。母親が「父ネブカドネザルの治世中にダニエルという神官長がおりました。彼ならいけるかもしれません」と進言した為、ベルシャザルはダニエルを呼び、文字の意味を聞いてみました。

 すると、ダニエルは「神はネブカドネザルに栄光を与えた。しかし、彼は横暴に振舞い王位を追われ、世界を総べるのは神という事を知った。ベルシャザル王、貴方も神に従おうとしなかった。故に神は手を遣わせ、文字を書いたのです。貴方の王国はメディアとペルシアに分けられるでしょう」と答えました。そしてその日の夜、ベルシャザル王は殺されてしまい、国はその通りになってしまったのでした。
 新バビロニア王国の終末をもたらした神の御告げの場である、ベルシャザルの饗宴の絵画13点をご覧下さい。

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シバの女王の絵画13点。イスラエル王ソロモンに難問を仕掛けた博識な伝説の女王

Queen Of Sheba by Edward Slocombe -

 シバの女王は旧約聖書などに登場する伝説の女王です。
 旧約聖書の「列王記」によると、イスラエル王国のソロモンの見識ぶりを聞いたシバの女王は、知識を試そうと大量の贈り物を持ってエルサレムへと赴きました。女王は数々の難問をソロモンに浴びせますが、彼は事も無げに即答してしまいます。その賢さや国の様子にすっかり感心してしまった女王は、ソロモンに6トンもの金や香料などの贈り物をしました。ソロモンも彼女に対して敬意を表して贈り物をし、女王一行は帰国していったとされています。
 この話が元となり、様々な異説や伝説が生まれました。シバの王国はエチオピアやエジプト、南アラビアなどにあると考えられており、新約聖書や黄金伝説、アラビアやエチオピアの文献にも伝説が残されております。女王の本名はニカウレー、ビルキース、マケダなどとされています。
 では、シバの女王の絵画13点をご覧ください。

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ダヴィデに怒るサウルの絵画13点。嫉妬に狂った王が音楽を奏でる少年に牙を向く

Francisco Fernández, 1606 – 46 -

 旧約聖書に登場するダヴィデとサウルは、神に選ばれし誠実な少年と王位に執着するイスラエル王です。
 神に見放されて悪霊に苦しめられていたサウルの為に、部下は竪琴の名手を呼んで音楽を奏でてもらう事にしました。そこで呼ばれたのがダヴィデで、彼が弾く美しい音色にサウルの心も少しは晴れました。その頃、イスラエルはペリシテ人と争っており、将軍ゴリアテの半端ない強さにイスラエル軍は太刀打ちできませんでした。誰もが尻込みする中、ダヴィデは「僕が倒す」と進み出て、石を投げて見事ゴリアテを倒してしまったのです。

 鮮やかな勝利にイスラエル軍は沸き起こり、ダヴィデは大人気となりました。サウルはそれに深い嫉妬を感じ、自らの王位が奪われはしないかとダヴィデに憎悪を向けるようになります。ある日、ダヴィデがサウルの為に癒しの音楽を奏でていると、サウルは怒り狂って槍を投げ付けたのでした。ダヴィデはそれを間一髪で避け、槍は壁に突き刺さりました。ダヴィデが音楽を奏で、サウルが槍を投げようとするこのシーンはなかなか画家に人気があったようで、沢山の絵画が残されていました。
 では、音楽で癒そうとするダヴィデにキレまくるサウルの絵画13点をご覧ください。

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サウルとヨナタンの絵画13点。ダヴィデを憎悪した王と、親友となった心優しき王子

Death of King Saul 1848 Elie Marcuse -

 旧約聖書の「サムエル記」に登場するサウルとヨナタンは、紀元前10世紀頃に生きたとされるイスラエル王国の初代の王と王子です。
 預言者サムエルがイスラエルの民を率いていた頃、王が欲しいという声が民から上がりました。サムエルは神の指示を頼りに王を探し、サウルを選びました。民は王となったサウルを歓迎し、彼は息子ヨナタンと部下達と共に国を守る為に懸命に戦いました。しかし、「アマレク人にまつわる者全て滅ぼせ」という神の指示に従わなかったので、神はサウルから離れ、サムエルはエッサイの子ダヴィデを次の導き手と決め、彼の頭に油を注ぎました。

 ダヴィデは敵将ゴリアテを討ち取って有名となり、神に見放されたサウルは王位に執着し出します。しかし、実直な息子ヨナタンはダヴィデの親友となり、義兄弟の契りを交わしました。竪琴の名手であるダヴィデはサウルを癒そうと音楽を奏でますが、サウルは嫉妬に狂って彼を殺そうと槍を投げ付けます。対するダヴィデは何度もサウルを殺める機会はありましたが、決して実行しませんでした。サウルは苦悩しながらも、嫉妬に燃える日々を送っていました。
 
 ペリシテ人が行軍してきた際、サウルは神の預言を得たくてもサムエルが他界していた為、降霊ができる魔女にサムエルの霊を呼び寄せさせました。サムエルは「イスラエルの軍勢はペリシテ人の手に渡る」と言い残します。サウルとヨナタンは懸命にペリシテ軍と戦いましたが、ギルボア山で追い詰められてヨナタンは戦死し、サウルは剣を立てて自ら倒れ込んで命を絶ちました。二人の遺体はペリシテ人に奪われてさらし者にされてしまいましたが、取り戻され、後に王となったダヴィデによって丁重に墓に葬られたそうです。
 では、サウルとヨナタンにまつわる絵画13点をご覧ください。

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ヨセフとポティファルの妻の絵画14点。誘惑を拒否して濡れ衣を着せられた美青年

Carlo Francesco Nuvolone - Joseph wife Potiphar 1640 -

 前回に引き続きヨセフに関するストーリーです。
 父ヤコブの寵愛を受けていた為、嫉妬した兄達によって隊商へと売られてしまったヨセフ。彼はそこからエジプトへと渡り、彼は王宮の侍従長ポティファルの下僕となります。真面目に働いたヨセフはポティファルに気に入られ、家の全財産を任されるまでとなりました。しかし、美青年であったヨセフは妻に誘惑されてしまいます。

 ヨセフは全力で拒否し、逃亡しますがその場に上着を置いてきてしまいました。プライドを傷つけられた妻は逆に「ヨセフに乱暴されそうになった。これが証拠よ」と上着を持って夫に訴えたのです。ポティファルは怒り、濡れ衣を着せられたヨセフは牢屋にぶち込まれる事となったのでした。このシーンは旧約聖書の中でも特に目立った場面ではありませんが、画家に大人気のテーマだったようで、驚くほど多くの作品が残されています。
 恐い妻によって誘惑されまくるヨセフの絵画14点をごらんください。

→ ヨセフの物語についての絵画を見たい方はこちら


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中世ルネサンスのシュールな絵画をこよなく愛する。
師匠はヒエロニムス・ボス。
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