メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ダークサイドの西洋美術にまつわる絵画や展覧会、グッズ情報をご紹介。

きもかわいい

中世装飾写本のラクダの作品12点。砂漠のシルクロード代表の動物を想像で描く

England possibly Rochester 2nd quarter 13th -

 沢山の荷物を背中に乗せ、砂漠で歩く印象が強いラクダ。西アジア原産のヒトコブラクダと、中央アジア原産のフタコブラクダが存在し、ヨーロッパには生息していません。
 中世ヨーロッパの時代、大方の民衆は故郷の村や町で一生を過ごしました。王侯貴族や商人、騎士、放浪の旅人などの限られた者達だけが、シルクロードを通してやってきたラクダに乗るキャラバン商隊、十字軍などの戦争でイスラム側が編成したラクダ騎兵を通して、ラクダを目の当たりにすることができたのです。

 写真や動画も勿論ないので、人々はラクダの存在を人づてに聞くか写本を見るかしかありませんでした。他の異国の動物の知識も似たようなもので、キリンはラクダとヒョウの雑種であるという噂も流れたほどでした。そのように伝聞だけで想像で描かれたラクダは、「なんか違うぞ」とツッコみたくなる姿になってしまったのでした。
 では、ラクダの彩色写本の挿絵12点をご覧ください。全ての写本の名前や年代を特定するのが困難だったので、表記は割愛させていただきます。いずれもパブリックドメイン作品となります。

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悪女フリートの絵画9点。地獄へ踏み込み怪物を蹴散らす、フランドル地方の強き女

Pieter Brueghel - Dulle Griet

 「悪女フリート」は意地の悪い女や激怒する女などを象徴した、フランドル地方(オランダやベルギー)における諺をもとにして生じた存在です。フリートは恐い女を凝縮して概念化した存在だと思っていただければいいと思います。
 15~6世紀頃のフランドルは男性優位社会ではありましたが、女性も負けてはいませんでした。男性からの抑圧や軽視に猛然と反抗した者もいたのです。男性達はそんな女性に恐れをなし、以下のような諺をつくりました。

「彼女は地獄の前で略奪し、無傷で戻ってくる」、「地獄に行くなら剣を持って行け」、「クッションの上で悪魔を縛る」、「地獄から戦利品を持ち帰ろうとする者は、悪女を連れて来るのがよい」、「女はひとりでも騒々しく、二人で多くのトラブルを、三人寄れば大祭り、四人で喧嘩、五人揃えば軍隊、六人いれば悪魔も戦う武器を知らない」
―wikipediaより

 地獄も悪魔もなんのその。悪魔なんか赤子の如く片手で一ひねり状態ですね^^; フリートの源泉はギリシャ神話の復讐の女神であり、「きちがいグレーテ」や「気狂いメグ」などとも呼ばれています。画家のピーテル・ブリューゲル(父)はそんな「悪女フリート」の風刺絵画を手掛けました。その影響があったのか、後年の画家によって同テーマの作品が数枚描かれております。
 では、悪女フリートについての絵画9点をご覧ください。

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「ヒエロニムス・ボスの世界」書籍の概要と感想!絵画のドアップがみられる素敵な本

ボス -

 2019年12月に発売された書籍「ヒエロニムス・ボスの世界 ‐大まじめな風景のおかしな楽園へようこそ‐」を読んでみました!
 この書籍はブリュッへ美術館館長であるティル=ホルガ―・ボルヒェルトさんが、ボス没年の500年記念である2016年に書き上げた本であり、翻訳されて日本で発売されたものとなります。主に「ボス作品の一部分をアップしてじっくりとみてみよう!」というコンセプトであり、超ドアップな背景や人物、怪物たちを見ることができました。
 書籍の概要と感想をお伝えしたいと思います!

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イランの悪魔の呪文書の挿絵18点。12星座を司る、ゆるキモかわいい悪魔たち

Early 20th Iran 1 -

 ぽよーんとした表情のゆるい三つ首の悪魔。この挿絵は、20世紀初頭のイラン中部のイスファハンで手掛けられた呪文書に書かれています。その本には悪魔を扱う際の呪文や、退魔の呪文が書かれており、豊富な挿絵が付けられています。また、挿絵の中には十二星座(ゾディアック)に根差した悪魔や、様々な怪物が描かれていますが、そのいずれもが「ふふっ」と思わず笑ってしまうような、ゆるーい姿をしているのです。
 では、異国情緒とへんてこりんな雰囲気が溢れる、イランの悪魔の挿絵18点をご覧ください。

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頭足人グリロスの彩飾写本13点。頭と手足と獣が合体したシュールな怪物【第二弾】

Gorleston Psalter 1310 -

 頭と足が合体したような怪物のことを指す、グリロス(頭足人)。
 頭と足でなくともグリロスと呼ばれる者もおり、厳密に言えば頭部を色々なパーツと組み合わせて作る怪物とされています。グリロスはギリシア・ローマ時代の玉石彫刻から発生したと言われており、中世時代になってヨーロッパ全土へ広がっていきました。宝石の彫刻から始まり、壁や柱、彩飾写本の余白を埋める怪物として描かれ、北方ルネサンスの画家ヒエロニムス・ボスがグリロスを芸術まで高めていきます。絵画の世界へ進出したグリロスは、様々な形態となって美術界に時々姿を現すのです。
 第二弾である今回は、中世の彩飾写本に登場するグリロスをご紹介いたします。なお、画像の詳細は判然としなかったので、未記入とさせていただきました。ご了承ください。

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凶悪な兎の彩飾写本13点。弱者の兎が人や猟犬を攻撃するシュールな逆転復讐劇

manuscript7 -

 二つの長い耳がぴんと立ち、もふもふとした愛らしい姿をした兎。
 古代の時代より兎は狩られる運命にある動物でした。自然世界と人間社会、いずれにおいても兎は格好の獲物とされ、肉食獣や狩猟犬、人間の武器に追われて逃げ回るばかりでした。食物連鎖の位置づけはお世辞にも高い方とは言えません。
 そんな可哀想で弱い立場の兎ですが、西洋の中世彩飾写本の世界では様子が一変します。ペストや戦争、暴虐、裏切りが横行して混乱していた時代、「皮肉に満ちたあべこべな世界」が写本に描かれました。代表的なのが、「兎が狩猟犬や人間を攻撃し、虐げる」というテーマなのです。狩られる側の兎が狩る側に回る。
 いつかは強者と弱者の立場が逆転するかもしれない、という皮肉が込められた、凶悪な兎の作品13点をご覧ください。なお、画像の詳細は判然としなかったので未記入とさせていただきました。ご了承ください。

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中世彩飾写本のクジラ&イルカの絵画13点。作者の想像力でシュールな怪魚と化す

Paris 1900 15th manuscript Jonah and the Whale -

 島国である私達にとってはクジラやイルカは比較的身近な存在であり、昔から共生して暮らしてきました。クジラの肉を食べたことがある人もいるのではないでしょうか。
 西洋においてもクジラやイルカは付近を回遊しており、決して見られない環境ではありません。しかし、中世初期時代の海は北欧のヴァイキングが席巻しており、海に乗り出すのは危険が伴う為に西洋の人々は好んでいきませんでした。彼等が次々と海に繰り出していったのは15世紀半ばの大航海時代以降のことであり、それ以前は海は未知の怪物が潜んでいる恐ろしい場所だと思われていたのです。
 クジラやイルカの存在を旅人や宣教師の話で聞いた事はあれど、見たことがない人が大部分を占めたと思います。見たことがない人がクジラのような巨大な海の生物を描いたらどうなるか。「これがクジラなの?」と思うようなとんでもない姿になってしまいますよね。
 では、シュールなクジラ&イルカと思われるの写本挿絵13点をご覧ください。

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中世写本の装飾文字人間の作品13点。アルファベットがシュールな生物に変化する

GiovanninoDeGrassi 1390 -

 皆様は中学か高校の美術の授業で、漢字をイラストで表現するという授業をしたことはありますか?例えば「雲」という漢字をもくもくとした雲で描いてみたり、「猫」と言う漢字を寝転がる猫として描いてみたり。
 なんと、似たような事を中世時代の西洋人もやっていたのです。
 中世の彩飾写本に描かれている頭文字は、イラストで描かれているものがあります。それらの多くは人間や怪物、物語のワンシーンで表現されています。漢字は一文字で意味が通じるもので、一文字だとほぼ意味を成さないアルファベットとは異なりますが、西洋の人は様々な面白いイラストでアルファベットを装飾しようとしていたのです。
 では、13点の写本の装飾文字をご覧ください。

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中世の悪魔についての絵画13点。西洋人が描きだした、シュールでゆるい悪魔の姿

Hellmouth, 1461, Jacobi de Ancharano (alias de Teramo) -

 神に反逆し人間を誘惑する者、悪魔。
 悪魔という概念は古くから存在し、キリスト教が成立する以前のゾロアスター教などの宗教でも、神に敵対する邪悪なる者がいると考えられてきました。キリスト教における悪魔は「神に謀反したルシファー側に付いた天使が地獄に落とされて堕天使となり、悪魔となった」と一般的にはされていますが、キリスト教に反する土着信仰や多神教の神々なども悪魔として数えられるようになりました。中世時代の人々は悪魔を「山羊のような角とコウモリのような羽、身体の所々に顔が付いている人間と獣が混じったかのような姿」と考え、様々な個性的な悪魔を描きだしたのです。
 では、中世時代の悪魔の姿13点をご覧ください。

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中世彩飾写本の不可思議な怪物14点。きもかわいい愉快なモンスターたち【第二弾】

 1325-1340 -

 中世時代、写本は「写字生」と呼ばれる修道院に属する修道士がせっせと書いていました。
 多くの修道院には写字を行う「写字室」が建てられ、君主や教会に依頼された本を手掛けていました。場所によっては羊皮紙の製作から製本まで、彩飾写本の作製の全てを行っていたようです。キリスト教の教義を伝える手段にもなる為、写字は修道院の大事な仕事であったのと同時に 、写本を貴族たちに売ることで貴重な収入源にもなっていました。
 彩飾写本はその名の通り、字だけではなく様々な装飾や挿絵が入れられています。その殆どは物語に関連した挿絵なのですが、中にはどうしてこんな怪物がいるの!?と思われるへんてこりんなモンスターが現れます。
 写字生のストレス発散なのか、趣味なのかは不明ですが、とにかく不思議でキモカワイイ怪物14点をご覧ください!

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中世ルネサンスのシュールな絵画をこよなく愛する。
師匠はヒエロニムス・ボス。
神秘とダークな作品情報を皆様と共有していきたいと思います。

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