
沢山の荷物を背中に乗せ、砂漠で歩く印象が強いラクダ。西アジア原産のヒトコブラクダと、中央アジア原産のフタコブラクダが存在し、ヨーロッパには生息していません。
中世ヨーロッパの時代、大方の民衆は故郷の村や町で一生を過ごしました。王侯貴族や商人、騎士、放浪の旅人などの限られた者達だけが、シルクロードを通してやってきたラクダに乗るキャラバン商隊、十字軍などの戦争でイスラム側が編成したラクダ騎兵を通して、ラクダを目の当たりにすることができたのです。
写真や動画も勿論ないので、人々はラクダの存在を人づてに聞くか写本を見るかしかありませんでした。他の異国の動物の知識も似たようなもので、キリンはラクダとヒョウの雑種であるという噂も流れたほどでした。そのように伝聞だけで想像で描かれたラクダは、「なんか違うぞ」とツッコみたくなる姿になってしまったのでした。
では、ラクダの彩色写本の挿絵12点をご覧ください。全ての写本の名前や年代を特定するのが困難だったので、表記は割愛させていただきます。いずれもパブリックドメイン作品となります。
