
フローラはローマ神話に登場する花と豊穣、春の女神です。ギリシャ神話のニュムペーであるフロリスと同一視されています。
詩人オウィディウスによると、西風の神ゼピュロスは彼女を見初めてイタリアへとさらい、二人は結婚しました。フローラは花園で暮らし、花の女神となりました。彼女は人間に様々な種類の花の種や蜂蜜を与えたとされています。また、伝説によると神々の女王ユノ(ヘラ)に「触れると自然に身ごもる魔法の花」を渡し、ユノはそれによりマルスを出産したとされています。(マルスはローマ建国時にまで遡る古き農耕神であり、この物語ができた頃合にギリシャ神話と混合し、軍神となったと思われます)
神話では登場場面が多くないフローラですが、古くから崇拝されている女神であり、「フローラリア」という豊穣祭が開かれていたようです。愛と豊穣の女神ウェヌス(ヴィーナス)や、酒の神バッカス(ディオニソス)の祭りと共通した部分もあったと思われます。
ルネサンス以降の画家たちはフローラを「美を表現する芸術」や「技法の追求」や「モデルの美しさを高める」手段と考え、美女に花を持たせたり、囲ませたりすることで女神フローラとして描き上げました。ヴィーナスと同様に、フローラは「美」の媒体として用いられたのです。
では、フローラにまつわる絵画13点をご覧ください。
