ルシファー

「失楽園」はイギリスの17世紀の詩人ジョン・ミルトンによって書かれた叙事詩です。
旧約聖書の「創世記」を踏襲しており、神に反抗心を持つルシファー(サタン)は志を同じくする天使と共に神に反逆し、敗北して堕天使(悪魔)となります。ルシファーは悪魔達と共に神への復讐を考え、人間アダムとイブを堕落させることを思い付きます。かくしてルシファーは蛇の姿となってイブに禁断の実を食べるようそそのかし、彼女はその実を食してしまうのでした。アダムは「彼女だけが追放されるくらいなら共に行こう」と神よりも愛を選び、妻と共に楽園を去ることを選びます。大天使ミカエルに今後彼等が直面する災いを告げられ、アダムとイブは荒野へと足を踏み出すのでした。
魔女狩りが行われる時代に書かれたにも関わらず、「失楽園」は唯一神の栄光を前面に表すのではなく、ルシファーの「服従よりも自由を選ぶ」というある種の英雄像、人間の「安泰な神の服従よりも、苦難の愛を選ぶ」という愛と意思の偉大さを描きました。それに影響されてか、神や天使ではなくルシファーにスポットライトを当て、劇的に描く絵画が登場するようになりました。
では、ジョン・ミルトンの「失楽園」にまつわる絵画12点をご覧ください。


「神曲」は13、4世紀のイタリアの詩人、政治家であるダンテ・アリギエーリが書した作品です。
自分自身を主人公とした、一万以上の韻文から成る長編叙事詩であり、煉獄篇、地獄篇、天国編の三部に分けられています。中世イタリアの代表作と言っても過言ではなく、文学界でも特に有名な存在です。原題はLa Divina Commediaであり、英語だとThe Divine Comedy。日本語だと「神聖喜劇」と訳せます。だからと言って笑える話という訳ではなく、俗語で書かれたハッピーエンドの物語という事から付けられたそうです。
内容としては、1300年の金曜日にダンテは深い森の中へ迷い込んでしまいます。そこで彼はローマの詩人ヴェルギリウスに出会い、地獄、煉獄、天国と三つの世界に案内されるのです。地獄の九圏には有名な英雄や歴史人が罰を受けており、彼等の物語を訊き、地球の中心部には魔王ルチーフェロが封印されております。ダンテは煉獄の頂上でヴェルギリウスと別れ、山頂でかつて愛した女性の現身である淑女ベアトリーチェと再会します。彼女の導きで天国へと昇天していき、天を巡って至高の天上へと昇りつめていき、天使や聖人達と出会いました。ダンテは永遠なる存在を前にして、見神の域へと達したのでした。
では、「神曲」にまつわる絵画14点をご覧ください。


キリストの誘惑(荒野の誘惑)は、イエス・キリストが悪魔の誘惑を退けた新約聖書のエピソードです。
ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けた後、キリストは聖霊によって40日間荒野に送られました。その間何も口にすることはなく、救世主は酷く飢えていました。そこへサタンが現れ、こう言います。「ここに石がある。お前が神の子ならばパンに変えてみせろ」と。それに対しキリストは「人はパンだけで生きておらず、力を使うのは誤りだ」と答え、拒否します。次にサタンは高い場所へ連れていき、国々を見せました。「もし私にひれ伏すというならば、これら全てをあげよう。権威、栄華、全てお前のものだ」しかし、キリストは「私は神にしか仕えません」と退けます。
更にサタンはエルサレムの宮の頂上へと連れていき、こう囁きます。「ほら、お前が神の子だと証明すべく此処から飛び降りてみろ。神はお前を守る為に御使いを寄こすのだろう?」キリストは「神を試してはならない」と断固拒否します。誘惑に失敗したサタンは悔しがりながら離れていきました。こうして救世主は聖霊の力に満ちあふれながら、ガラリヤへと帰宅したそうです。
堕落させようと必死なサタンと、色々な表情でNOと言うキリストの姿15点をご覧ください。


聖書で有名な物語として、大天使ミカエルが反逆したサタン(ルシファー)と戦い、地の底へ突き落した話があります。天使であったサタンは傲慢の心が芽生え、他の天使たちと共に神に謀反しました。神は大天使ミカエルを呼び、サタンに対抗させました。一説にはサタンとミカエルは双子の兄弟であったとされています。二人は激しく戦い、ミカエルが勝利をおさめます。敗北したサタンは堕天使となり、地の底へ封印されてしまいました。
このエピソードを元に画家たちは想像の翼を広げて絵を描きます。聖なるミカエルと邪悪なサタン。宗教的な影響もあり、殆どの画家はミカエルに肩入れし、サタンをこてんぱんにやっつけている絵画を描きます。それでは圧倒的戦闘力を誇るミカエルと、悲惨すぎて可哀想なサタンを見ていきましょう。


「魔王ルシファー(ルチーフェロ、ルシフェルなど)はかつて美しい天使であったが、神に反逆した為に醜悪な堕天使となってしまった。ルシファーは半身を氷漬けにされ、地獄の中心に幽閉されてしまった。魔王は三つの顔を持ち、それぞれにイエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダ、カエサルを裏切ったブルートゥスとカッシウスを口で噛み締めている」
以上が、13‐14世紀のイタリアの詩人、ダンテ・アリギエーリの作品「神曲」に出てくるルシファーの描写です。大ベストセラーとなった神曲は、発表当時から今まで様々な画家に作品を描かれてきました。
そんな地獄の最奥に住む悪魔の王、ルシファーの絵画9点を集めてみましたので、ご覧ください。

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