
フォルスタッフはシェイクスピアの戯曲「ヘンリー四世 一部&二部」と「ウィンザーの陽気な女房たち」に登場する老騎士です。
大酒飲みで肥満体、臆病者で好色、強欲で嘘つき、追い剥ぎをするごろつきの悪人という、ダメダメな騎士ですが、頭が切れてユーモアに富み、たまに真相を突いた警句を吐くという深遠な一面も持ち合わせています。そのギャップは開演当初から多くの人に愛され、フォルスタッフはシェイクスピアの物語から飛び出して多くの二次創作が作られ、現代でも語り継がれております。
「ヘンリー四世」によると、フォルスタッフはヘンリー四世の息子ハル王子の放蕩仲間で、飲んだくれて遊び呆けていました。ある日、ノーサンバランド伯の者達はヘンリー四世に謀反し、戦争を起こします。王は王子に鎮圧を命じ、ハル王子は名誉挽回の為にホットスパーを一騎打ちの末に倒します。ずっと逃げ回っていたフォルスタッフはホットスパーを倒したのは自分の手柄だと主張しますが、その嘘は見破られてしまうのでした。
ホットスパーの死にノーサンバランド伯は怒り、応戦してきました。フォルスタッフは判事のシャロ―を頼って、兵士を募ったものの、役に立たない者ばかり。ハル王子の弟ジョン王子の策略で謀反者達は捕まり、処刑によって反乱は鎮圧されたものの、ヘンリー四世は重病に伏せり、ハル王子に王冠を託して息絶えてしまいます。王位を授かってヘンリー五世となった彼は、馴れ馴れしく話し掛けて来たフォルスタッフを拒絶し、罪で投獄してしまったのです。その後、フォルスタッフはフランスまで放浪したあげく、汗かき病によって死んでしまったとされています。
愛すべき悪人、憎めないごろつきであるフォルスタッフの絵画14点をご覧ください。
