「ヒエロニムス・ボス」という二つのバンドに迫る!怪しく奏でられるダークメタルな音楽 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

「ヒエロニムス・ボス」という二つのバンドに迫る!怪しく奏でられるダークメタルな音楽

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 15-16世紀のネーデルラントに生きた、奇才の画家ヒエロニムス・ボス。その鮮烈な印象を与える絵画の影響で、彼の名前を冠した海外のバンド「Hieronymus Bosch 」が近年に二組存在しました。
 一つは1993年より結成された、ロシアのモスクワのデスメタルバンドで 、もう一つは1985-86年より結成された、ニュージーランドのエレクトロパンクバンドです。音楽に詳しくない為、専門的な事は全く分かりません。ただ、ボス師匠の名前を借りているバンドはどのような作品を手掛けているのだろうという興味で、この記事を書いております。
 では、二つのバンド「ヒエロニムス・ボス」の詳細をご覧ください!

 

ロシアのデスメタルバンド「ヒエロニムス・ボス」

 1993年より結成された、ロシアのモスクワの男性四人組デスメタルバンド。
 激しい曲調でガラガラのデスった声で歌うのですが、聴いてみた限りはシャウトする感じではなく、メロディックで聴きやすい音楽でした。ボスの怪物らしい、ちょっと不気味な雰囲気の曲調もありました。デスメタルは苦手な方ですが、この音楽は聴けました^^
 このバンドは三枚のアルバムを発売したものの、残念ながら2010年に解散してしまいました。以下、三枚のアルバムの詳細とYouTubeを掲載します。

 

1995年 「The Human Abstract(人間の抽象)」

1. The Apogee (極点)
2. Thought Racism Forms (人種主義の形態を想う)
3. Petra Scandali (ペトラの不祥事?)
4. Black Lake Blues (黒い湖のブルース)
5. The Human Abstract (人間の抽象)
6. Mental Perfection (完璧なる精神)
7. The Gardens of Earthly Delights (快楽の園)
8. Doubt Soul (疑いの魂)
9. Expectation of Autumn (秋の期待)

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 アルバムの第一作目。「人間の抽象」という掴みがたい難しい表現にチャレンジしていますね。アルバムジャケットもボスのような世界観の怪物たち。注目すべきは第7曲目の「快楽の園」ですね。ボスの絵画をイメージして音楽にしたものです。歌がなく音楽のみで、激しめの曲調。個人的には真っすぐ過ぎた感じなので、もう少しクセが強くても良かったかなぁ・・・と思ったり^^;
 下のYouTubeで聞けるので、気になった方はぜひどうぞ♪

 

2005年 「Artificial Emotions (人工的な感情)」

1. Interference (干渉)
2. Third Half (三の半分?)
3. Nodus (結節)
4. Escape from Primitivity (原始からの脱出)
5. Tired Eyes (疲れた目)
6. Blind Windows Stare (凝視する閉められた窓)
7. Dewswimmer (?)
8. Practical Criticism (実践的な批判)
9. Whispers in Bedlam (混乱のささやき)
10. Heartbeat Seismology (動悸の地震学)

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 アルバム第二作目。イラストはギリシャ神話の石像のような感じですが、ロゴをよーく見ると「最後の審判」に登場するグリロスが二体はまり込んでいます。このロゴめちゃ素敵ですよね^^
 私の英語力がなく、一部不明な題名があって申し訳ないです^^;デスった音楽の合間に美しいピアノが入ったり、オペラ調の声が入ったりと、なかなか個性的な音楽です。

 

2008年 「Equivoke (曖昧な言葉)」

1. Zero on a Dice (ダイスのゼロ)
2. Fingerprint Labyrinth (指紋の迷路)
3. Monad Hecatomb (モナドの大殺戮)
4. Forlorn Luminary (孤独な天体)
5. Stones and Stocks (石と貯蔵)
6. Tracer Bullet Falling Star (曳光弾の流れ星)
7. Scrupulum (石ころ)
8. Broke (壊れた)
9. Scoffer Tragedian (嘲笑う悲劇役者)
10. The Mime (パントマイム)

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 アルバム第三作目。ジャケットはボスというよりフランシス・ベーコンやサイレント・ヒルを思わせますね。ダークな感じを醸し出しております。

ニュージーランドのパンクバンド「ヒエロニムス・ボス」

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 1985-86年頃に結成された、ニュージーランドのダークエレクトロパンクバンド。
 古典と電子を掛け合わせた電子音楽を中心とした、実験的で先鋭的なバンドで、エンジニアやパーカッショニスト、ギタリストなどとコラボし、詩やライブアート、セットの破壊等をパフォーマンスとして行いました。ダークホラー的な曲調が多いです。どうやらこのバンドは現在まで続いているようです。33年間も続いているなんて凄いですよね。では、アルバムの一部をご紹介いたします。

Hieronymus Bosch  (1997)

1 St. Veronicas Veil (聖ヴェロニカのヴェール)
2 The Sphinx Is Silent (沈黙するスフィンクス) 
3 Bleeding (出血)
4 Turf Meat (肉の表層)
5 Bedlam And The Muses (混乱とミューズ)

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バンド名「Hieronymus Bosch」が同じ名前のアルバムを作ってしまいました。ただ、内容はそこまでボスの作品に通じてはおらず、宗教や神話に関連した題名となっておりますね。残念ながらYouTubeで検索しても出てきませんでした。ジャケットは地層のような模様でシンプルな感じですね。・・・と思ったら、顔が浮かんでいる!

 

The Divided Self (分割された自己)(1998)

1 The Burning Of The Sick And The Poor (病人と貧者の炎上)
2 The Serpent And The Rainbow (大蛇と虹)
3 Spiral Dance (螺旋の踊り)
4 Lorgina’s Rattle (?)
5 Petrified (The Sick Soul) ( 石化(病んだ魂) )  
6 Desmodus Rotundus  (血吸いコウモリ)
7 Reality Of The Unseen  (霊界の現実)
8 The Nails And Spear  (釘と槍)
9 Blood Countess (血の伯爵夫人)

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 こちらのアルバムに入っている作品のタイトルはゴシック的で、気になるものばかりですね。こちらも残念ながらYouTubeがなく、聴くことができませんでした。ジャケットも赤黒くて禍々しい感じですね。

 

The Dream Songs(夢の歌) (2003)

1 Cancel The Dream (夢の取り消し)
2 Musicbox (音楽の箱)
3 Diana’s Hammer  (ディアナのハンマー)
4 Marching With Demons (悪魔の行進)
5 Hour Of Death  (死の時間)
6 Enlighten With Shadows  (闇と啓蒙)
7 Nothing But Nothing  (ただ何もない)
8 Nor The Secret Dream (秘密の夢ではない)
9 Engraved Stones And Metal Plates  (彫刻された石と金属板)
10 A Child Lies Silent (沈黙する子供)

hieronymus bosch 7

 タイトルとジャケットからして平和的ではない作品ですね。歌はなく、音楽のみで構成されております。ホラーで生理的に「気持ち悪い」「恐い」と感じさせるような音楽がほとんどです。なんというか、音楽で洗脳されそうです(汗)最後の審判の地獄辺りがこんな音楽が流れていそうかもしれません・・・^^;
 聴く勇気のある方は、ぜひ下記にて聴いてみてください!

 

Black Light/ Black Star  (2010)

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 こちらはBlack LightとBlack Starの二曲のみが収録されているシングルとなります。昆虫のドアップがジャケット。うーむ、キモいですね・・・^^;和と洋のホラーがミックスされたような不気味な音楽ですが、どこか美しさも感じられます。こちらもYouTubeで聴けますので、ぜひ試聴してみてください。

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 現代ではこのような感じにパフォーマンスをしているようです。ペストマスクに音楽。なんと斬新な!!この姿で禍々しい音楽を奏でていると思うと、末恐ろしいです・・・。いつの時代になっても新しい事に挑戦しようとするバンド「Hieronymus Bosch」なのでした。

おまけ

 なんと、もっとよく調べてみたら、あと他にもう二つ「ヒエロニムス・ボス」の名前を使用したバンドがあるそうです。
 一つ目はアメリカのバージニア州で結成されたバンドです。後にニューヨークに移住しました。 デビューアルバムは「Havin ‘Fun、Soundin’ Good」(2004年)。

hbosch

 かなり渋いアルバムジャケットですね^^; 軽快な音楽を特徴とするサーフロックや、激しいパンクロックを生み出しています。後に「The Bosch」と名称を変更し、「Buy One、Get One」(2005年)「Hurry Up」(2007」年をリリースしました。

 もう一つはブルガリアのバンド。こちらはAgarvaenというソロバンドを行っているIvailo Bratovanov さんが1995年に始めたバンドだそうです。「Sounds from the world of Agartha (アガルタの世界の音楽)」というアルバムを出しております。音楽を聴いてみたら結構SFチックな音楽だったり、シャウト系だったり、悪魔系だったりと一筋縄ではいかない感じでした(笑) これ以上の詳細は分かりませんでした。

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 私が最初に知ったのはロシアのバンドで、このバンドについて調べて記事を書こう!と思って意気込んで調べ始めたのも束の間、二つ目を見つけて慌てて記事を書き足し、更に調べたらまだあった・・・。
 まさかボスの名が付いたバンドが四つもあるとは思っていませんでした。ロシアにニュージーランドにアメリカにブルガリア。どうしてボスの故郷であるオランダやベルギーなどのフランドル地方ではなく、これらの地域なのだろうという疑問はさておき、それだけボス師匠は現代のアーティスト達にも多大な影響を与えているということですね。ボス師匠、偉大なり。

→ 参考HP https://www.metal-archives.com/bands/Hieronymus_Bosch/16129
        https://www.discogs.com/ja/artist/230811-Hieronymus-Bosch
        https://store.cdbaby.com/Artist/HieronymusBosch
         https://hieronymus.bandcamp.com/releases

 

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