カエルの王様は、グリム童話の物語の一つ。
ある日、王女は金の球を泉に落としてしまいます。そこへ現れたるはカエル。「お友達になろう。一緒に食事をして、一緒に寝てくれるなら取って来るよ」と言われ、彼女は承諾してしまいます。しかし、王女は球を取り戻したカエルを置いて城へ逃げてしまったのでした。
では、カエルの王様の絵画13点をご覧ください。
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「フランツ・フォン・シュトゥック作 1891年」
金の球を泉へ落としてしまった王女様。「僕と友達になって。
一緒に食事をして床を共にしてくれるなら、持ってくるよ」と
カエルに誘われ、彼女は了承します。王冠を被っていて、
可愛いですね^^
「ジェラルド・ヨハンズ・ボス作 1870年」
このカエルでっかい…。このサイズに言われると、逃げたく
なってしまう心理も分かるような^^;原典だとアマガエルの
ようなイメージであったそうで、実際ではもう少し小めの
カエルさんかと思われます。
「マリアンヌ・ストークス作 1890年」
金の球を持ってきたカエルさん。球は「金の鞠」とも表記されて
いましたが、水に沈むのとカエルに運べるサイズというのを
考慮して、球とさせていただきました。
「メアリー・シェパード・グリーン・ブルメンシャイン作 1909年」
金の球を持つカエルに、絶望っぽいポーズを取っている王女様。
絵画によって王女様の年齢層がまちまちですね^^;上の作品の
少女感からの、この育ちよう…。こちらもギャップが凄いです。
「エルンスト・バイアー作 1910年」
めちゃめちゃ可愛い…!!二足立ちで、こんなつぶらな瞳で
「お友達になって…」と言われたら即座にOKですね!
王女様も穏やかな表情をしておりますが…。この後、逃げます。
「ウィリアム・ロバート・シモンズ作 1894年」
泉というより人工の水汲み場のような場所から、金の球を
取り戻したカエル。燕が飛び、花は咲き、森の様相はうららかで
美しいですね。でもやっぱり、逃げます。
「Władysław Skoczylas 作 1908年」
「あっ、じゃあ私急いでるので…」と言った感じに、そそくさと
立ち去る王女様。ぽつんと残されたカエルの姿よ…。
しょぼんとするどころか、カエルは抗議をしに城へ乗り込みます!
「Paul Hey 作 1939年」
カエルは事情を説明し、それを承諾した王は王女に共に食事を
することを命じます。ちょこんと座ったカエル可愛い^^
周囲の人々も撃退しようとせず、カエルに理解があります…。
「アン・アンダーソン作 1874-1930年」
あっ…確かに一緒の皿は抵抗がありますね^^;
せめて取り皿で分けて欲しい。もしくはカエルをお風呂で洗って
から共に食べたいです。孔雀丸焼きのインパクトさよ!
「アーサー・ラッカム作 1909年」
「一緒に寝たい!」と言うカエルに、遂にブチ切れる王女様。
「誰があなたなんかと!こうしてやるー!」と、
掴み腕を振り上げ、壁に叩きつけようと、そして…。
「ウォルター・クレイン作 1874年」
なんと!!ナイスガイな王子様に変化したではありませんか!
壁に叩きつけられそうになった事で、魔法が解けたようです。
凄い理由ですね^^;カエルから人間に戻る過程が壁画的な
感じで面白いです。ひまわりの洋服が鮮やかです…!
「ウォルター・クレイン作 1874年」
ハインリヒという王子の側近は、彼がカエルになったショックで
胸が張り裂けそうで、胸に三本の鉄の帯を巻き付けていたそう。
花嫁と共に祖国へ戻る輝ける王子を眺め、ハインリヒの鉄の帯は
取れていったとされています。彼も凄いエピソード。
「マックスフィールド・パリッシュ作 1870-1966年」
詳しくは分かりませんが、おそらくカエル王子と人間王子、
ビフォーアフターの絵画だと思われます。どうして彼が
カエルとなってしまったのか。それは永遠の闇の中…。
古来より、約束(誓い)は何よりも大事なことでした。誓いは魔力のような束縛が生じ、決して守らねばなりません。サガとかを読むと、誓いの束縛の強さが感じられます。王はそれを理解していたから、相手がカエルだろうが王女に「守れ」と命じたのでしょう。もしくは王様はカエルが何者なのか、それとなく察していた部分もあったのかもしれません。金の球を拾って、喋って約束を取り付けるカエルなんて、普通のカエルじゃないですしね^^;
さて、その絶対視されている約束を守らない王女様。魔法は束縛。「こんな約束破棄してやる!」とカエルを壁に叩きつけたことで、王子の魔法も共に勢いで解けたのかもしれません。もしかしたら、王子は「わざと嫌な事を誓わせたら、約束(魔法)を破ってくれるかも」と計算して、一緒に寝ようなんていったのかも?こうやって考えると、理解し辛い展開も納得できそうな気がします。
以上に述べたことは私の勝手な考えであり、正解は分かりません。壁に叩きつける行為ではなく、ビオラで殴ったり、キスによって魔法が解ける版も存在するので、正解はないのかもしれません。
いずれにせよ、グリム童話はダークでシュールな魅力がたっぷりと潜んでいるのは、間違いないでしょう^^
画像を参考させていただいたページはこちら
→ Category:Frog Prince – Wikimedia Commons
【 コメント 】
>> 季節風様へ
お付きがいなく一人で遊んでいるのは不自然ですよね。
もしかしたら王女様は許可なくこっそり抜け出していたのかも…?
そう考えると、誓いの重要性だけではなく、王様が「(自業自得だから)約束を守れ」と言ったのも納得できるような気がします。
唐突に忠臣が出てくるあたり、伝承や民話の息吹きを感じますね。
絵としては美しいですが王女が1人で池の近くで遊んでいるのは不思議ですし、父王がカエルの味方をするのも不思議だと思います。何かの教訓でしょうか。
別の童話で呪いを解かれて幸福になった王子にも忠臣が出てきます。やはり最後に唐突に忠臣が出てくるんです。
>> 美術を愛する人様へ
蛙化現象、そのような言葉があるとは知りませんでした!
好きだったのに、振り向かれた途端に気持ち悪いと感じてしまうなんて…。
人間の心理って複雑ですね。
アマガエルの幻想的なイメージで要求しているから、そこまで嫌な感じはしませんが、
いい歳をしたおじさんが同じ要求をしたら、現代だとセクハラになってしまいますね…^^;
物語の展開をツッコむのはあれですが、約束を破るくらいなら決して約束せず、城に戻って誰かに球をとってもらえばいいのに…と思ってしまいます。
王女は蛙だけではなく王様の「約束を守れ」という命令にも逆らっているのだから、凄い豪胆というか奔放ですよね…^^;
最近話題の言葉に「蛙化現象」があります。
これはこの童話が由来で、ずっと好きだったのに、相手が自分に好意があるとわかると逆に嫌悪感を抱いてしまうことを表しています。 ※童話は嫌いが好きになりますから逆のような気がしますが
冷静に物語を見たら「球を取ってきてやるから一緒に飯を食って、ベッドインさせろ」という蛙は援助交際をするおっさんと同じですし、王女は約束を破って逃亡するし、蛙は虐待するしでひどい奴です。相手がイケメン王子だとわかったとたん態度を変えるのも印象がよくありません。
>> 美術を愛する人様へ
こんばんは^^
分かります。王子に対して滅茶苦茶に無礼な態度をとっているのに、結ばれてハッピーエンドなの!?と思いますよね。ハインリヒの話も突如入ってきた感じがあり、別の物語がくっついてできたのかしら…?金の球も象徴的で、謎が秘められた物語に感じます。
アマガエルさんくらいでしたら一緒に寝ても良さそうですよね。
ただ、寝返りを打った時に潰してしまいそうなので、箱とかに入って寝てもらいたい…。
世界最大のカエルさんは、やっぱり抵抗がありますね^^;
お姫様…ワイルドです(笑)
このお話し、大好きです!性格の悪い王女なのに、最後はハッピーエンドかよ!と突っ込みたくなりますよね。昔のお伽話って、この不条理さがいいんだなぁ。。。
確かに、壁に投げつけられると魔法が溶けるのをのを解っていて、王子が策を練った可能性はアリですね。扉園さんの考察、鋭い!
「マリアンヌ・ストークス作 」の王女はホントにまだ少女で、カエルと寝るなんてやだ~!と駄々をこねるのも頷ける感じがします。
私の好きなアーサー・ラッカムも描いてますね。
「マックスフィールド・パリッシュの絵にとても惹かれます。美しいです💗
こんばんは。この話、昔話で「誓いを最後に破る」のにめでたしエンドなのが特異だなあと思ってます(助力者の動物が最後に主人公に「誓いの延長として自らを解体させることで人間に戻る」話はよく見かけますが)。
絵画のカエルさんが総じてキュートなので、寝る約束も枕にちょんと乗っけてあげればそんなに大変でもなさそうに見えますし。
さすがに世界最大(約3kg)のカエルくらいになれば少し怯むのかもしれませんが、それはそれで壁に叩きつけるお姫様が砲丸投げ選手のレベルになってしまいそうです。