デカメロンの絵画12点。10名の男女が数多の物語を綴るボッカチオ作の歴史的文学 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

デカメロンの絵画12点。10名の男女が数多の物語を綴るボッカチオ作の歴史的文学

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 「デカメロン」は14世紀半ばにジョバンニ・ボッカチオにより制作された物語集です。
 当時大流行したペストから逃れる為に、フィレンツェの郊外へと引きこもった10名の男女が時間を潰そうと話をするという内容で、一人が10話ずつ語り、全100話あります。デカメロンという名はギリシャ語の「10日(deka hemerai)」という意味に由来し、「十日物語」とも呼ばれています。話される物語は日によってテーマが決められており、それにちなんだ話がされます。

1. 自由テーマ
2. 多くの苦難をへたのち成功や幸福を得た人の話
3. 長い間熱望したもの、あるいは失ったものを手に入れた話
4. 不幸な恋人たちの話
5. 不幸のあとに幸福に巡り合う恋人たちの話
6. とっさのうまい返答で危機を回避した人の話
7. 夫を騙した妻の話
8. 男が女を、女が男を騙す話
9. 自由テーマ
10. 気高く寛大な行為についての話

―Wikipediaより抜粋

 

 では、男女が語らうデカメロンについての絵画12点をご覧下さい。

 

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作  1916年」
デカメロンの登場人物である男女が話をしていますね。
ただ、そこには9名しかいません。遅刻しちゃったのかな・・・。

「Salvatore Postiglione 作  1861-1906年」
咲き誇る花々、きらめく湖畔のふもとに集まる9名の人々。
この絵画も一人足りませんね。この画家の方が先に描いているから、
もしかしたらウォーターハウスさんがパクった・・・のか?←ぇ

「グスタフ・ワッパース作  1803-74年」
ナポリ王女のジョヴァンナ1世に「デカメロン」を読み聞かせして
いるボッカチオの作品。ボッカチオはジョヴァンナ1世の在位中に
ナポリへと何度か足を運んでおりますが、読み聞かせたのかは
不明です。

「ポール・ファルコナー・プール作  1806-79年」
こちらの作品はデカメロン七日目とされており、「夫を騙した妻の話」
をしている最中だと思います。あれ、この作品は12人いますね。
話し手だけではなく野次馬も来てしまったのかな。

「フランツ・ヴィンターハルター作  1837年」
この作品はちゃんと10名でした。デカメロンでは男3人、女7人と
されており、原作に忠実であることが分かります。
それにしても噴水のある綺麗なお庭を探索してみたいです。←ぇ

「ジャン・フーケ作  1460-65年」
右側は車輪を回す運命の女神だと思われます。何事も準備を
しなければ、気まぐれな運命に対抗できない。準備を怠らず
好機を逃すな的なメッセージでしょうか?誰か教えてください(T T)

「フランダースの彩飾写本の挿絵より  1432年」
「高貴な食事」という題のデカメロンのワンシーン。
ですが、恥ずかしながらこちらもどのシーンか分からずじまい。
立ち振る舞いを上品にせよてきな感じでしょうか。

「ダヴィデ・ギルランダイオ作  1452-1525年」
第五日のナスタジオ・デリ・オネスティの物語より。失恋した青年
ナスタジオの前に、騎士に追われる女性が現れます。女性を殺した
騎士は「俺は女に拒否され死んだ怨念」と明かしました。ナスタジオは
元恋人パオラにそれを見せ、復縁したという話。なんか酷いぞ・・・。

「エドモンド・レイトン作  1890年」
七日目より。リーザはピエトロ王に恋していました。王は彼女が
報われない恋煩いをしているという事を聞いて訪問し、彼女の額に
接吻して常に貴女の騎士であると告げ、貴族を紹介して嫁がせた
という物語。王がギター?を手に慰めの音楽を奏でていますね。

「トーマス・ストーサード作   1887年」
七日目より。お祭で踊る人々を描いています。どのような場面なのか
までは突き止められませんでした。(原作を読めば分かると思う
のですが、なかなか手が出せず・・・。すみません^^;)

「ルーベンス、スナイデルス、Jan Wildensの共作  1615年」
無教養で臆病者の田舎貴族シモンが、イピゲネイアと恋に落ち、
立派な若者となる物語。シモンが眠れる美女を発見し、はっと
していますね。(ギリシャ神話のイピゲネイアとは無関係です)

「ジョン・エヴァレット・ミレー作  1847-8年」
こちらもシモンとイピゲネイアを描いた作品。
二人のゴールインを皆様が祝福しています。
ミレーってオフィーリアの印象が強いですが、このような絵も描いて
いたんですね。←失礼ですってw

 「10日」(deka hemerai) に由来するデカメロンという題名。しかし日本人の性なのか、学生の頃「デカメロン」と聞くと、私は「でっかいメロン」を毎回思い浮かべていました。ほわーんと巨大なメロンが脳裏に浮かび、「食べたいなぁ~。高いからなぁ~夕張メロン。この話にメロンは出てこないのかな~?」なんて面白いことを思っていました(笑) 本当にくだらないことですが、これって私だけでしょうか?^^;

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    果物の頂点に君臨する「デカメロン」。
    なんだか様々な果物を玉座から睥睨する、眩い程の光線を放つ巨大なメロンを想像してしまいました(笑)
    失恋で自死した逆恨みに、女性を呪い殺す騎士なんてホラー状態ですよね…。
    「こうなりたくなかったら結婚しよう」と迫るのは、どんな脅迫よりも効いてしまいそうです。パオラさんの今後の人生が心配になってしまいます。
    (もっと詳しく調べてみると騎士と女性は地獄に落ち、未来永劫追いかけて殺すという行為を繰り返しているようです。もっとホラーでした…)

  2. 季節風 より:

    デカメロンは果物の王様を連想します。
    でもダヴィデ・ギルランダイオの騎士は酷い男ですね。愛した女性をこんな目に遭わせる怨念が怖い。宴会の人達も怯えてます。こんな絵を見せられたら怖くて結婚を承諾してしまうのも無理ない、ナスタジオをふったパオラさん。

  3. 管理人:扉園 より:

    >> 私はデカメロン伝説派です。様へ
    こんばんは^^
    ペンタメロンはデカメロンに感化されたのではなく、対抗する為に書いたのですね!しかもディスっているとはw
    ユーモアや恋愛話が目立つデカメロンと異なり、大筋自体が民話的でダークさに彩られていますよね。
    枠組みの構成って千夜一夜物語が流行の発端だったのですね。
    小説を書いている時期にその構成に憧れて、枠組みにトライした記憶がありますw
    またペンタメロン読んでみようと思います!^^
    なるほど!そういう考え方もありますね。
    「鑑賞している君も一緒にデカメロンに参加しよう」と言った感じでしょうか。
    そのまま絵の世界に入り込み、絵の一部になってしまうかもしれませんね…(怖)

  4. 私はデカメロン伝説派です。 より:

    私も、デカメロンより、ペンタメロン(ペンタメローネ)の方が好きです♪
    デカメロンの著者に対抗して書かれたものらしく、時々デカメロンのことをディスるような事を言ったりしています(笑)
    当時流行ったアラビアンナイト物語風に、劇中劇?みたいな、枠の中の枠?みたいな、大きな1つのテーマのストーリーの中に、様々な男女が集まって、テーマを暗喩したような様々な物語を語るというスタイルが取られています。
    現代によく知られている、シンデレラや眠りの森の美女の原型のような物語もあって、民話好きな私にはとても興味深いです。
    9人しか描かれていない絵は、絵を見ている人が10人目なのかも!?
    なんて思ったりしました。
    みんなのうたの「メトロポリタン美術館」的な(°∀°)

  5. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    記事がお役に立てたようで良かったです!
    私も記事を書く中で「このイピゲネイアは何者だ!?」と混乱しまして、調べていく中で全くの別人だと分かりました。
    デカメロン仲間がいて嬉しいです^^←ぇ
    ペンタメロンは始めて聞きました!
    デカメロンにちなんで「五日物語」なんですね。
    あらすじを読むとデカメロンより面白そうかも…。
    ペンタメロン、私もつるっとした感じのメロンを思い浮かべます。
    そう書いている内にメロンが食べたくなってきましたw
    でも、家にはリンゴとミカンしかありません…^^;

  6. 管理人:扉園 より:

    >> 購買のメロンパンはそれなりに大きかったけれど……様へ
    こんばんは^^
    パンの王道はあんぱんとメロンパンだと思っているのですが、購買で消えてしまったとは!メロンパン美味しいのになぁ…(> <) そして「でっかいメロンパンください!」って言ったら、ボッカチオのデカメロンの本がパンに挟まっているという、訳の分からない想像を今してしまいましたw 勝手にミレイ=悲劇のイメージを持っていて、ミレイってハッピーエンドの絵画も描くんだ!と変なところで感心した私^^; 確かにボッカチオも美味しそうな雰囲気があります。 カボチャのカルパッチョって感じ?←ぇ だとしたらボッティチェリも美味しそうですよね^^ 新手のお洒落なデザートをイメージします。 ボッティチェルリという言い回しの方が、更に美味度が増すような気がしますw

  7. 美術を愛する人 より:

    12枚目の絵、題名だけ知ってて神話のイピゲネイアと勘違いしていたのでシモン誰だお前と思っていました。今回の記事で謎が解けました!
    デカメロン、私も巨大なメロンを想像してしまいます。網目のある巨大マスクメロンで。
    ちなみにペンタメロンはハネデューメロンのつるっとしたイメージです。
    そしてどちらも題名しか知らず未読です…

  8. 購買のメロンパンはそれなりに大きかったけれど…… より:

    ……なくなったのはたぶん、買うのが私くらいしかいなかったからでしょうね。無念^^;
    たしかに、ミレイって他の絵画を知らないかも。
    『デカメロン』もさることながら、ボッカッチョという名前のほうも美味しそうに聞こえるのは私だけ? w

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