シチリアの聖アガタの絵画13点。乳房を切り取られる拷問を受け、殉教した聖女 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

シチリアの聖アガタの絵画13点。乳房を切り取られる拷問を受け、殉教した聖女

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Pacecco de Rosa St Peter comforts St Agatha Martyrdom 17th -

 シチリアの聖アガタは、3世紀頃に生きたとされる聖女です。
 シチリア島のカタニアの貴族として生まれた聖アガタ。美しく教養がある彼女は、ローマ人の権力者から結婚を申し込まれたものの拒否します。怒った権力者は彼女をキリスト教徒という理由で告発し、捕らえてしまいます。そして聖アガタは改宗を迫られ、両方の乳房を切り取る拷問にかけられたのです。それでもなお信仰を捨てない聖アガタの元に聖ペトロの幻視が現れ、励まされて傷が治癒したという逸話もあります。その後、アガタは火あぶりされることになりましたが、ここでも地震が起きて刑を免れたという奇跡が起きました。そのまま獄中の中で殉教したとされています。

 この物語に由来して、聖アガタのアトリビュート(持物)は乳房が乗った皿!なんともシュールですが、自らの切り取られた乳房をお皿に乗せて手に持っている姿として描かれるのです。聖ペトロが現れ彼女を介抱する絵画も画家によって何枚も描かれています。
 では、聖アガタの絵画13点をご覧ください。あまりに酷い絵画は掲載していませんが、閲覧注意となりますのでご了承ください。



「アンドレア・ヴァッカロ作 1600-70年」
異教の権力者に求婚されて拒否した聖アガタ。キリスト教徒は
当時弾圧の対象にされていました。改宗をせまられ、彼女は
両方の乳房を切り取られるという悲惨な拷問にあうのでした。
saint Agatha  Andrea Vaccaro

「イタリアの工房作 17世紀」
恐ろしい拷問にあっても信仰を捨てない聖アガタ。
切られた状態をストレートに描く画家もいたのですが、
こちらの作者さんは切り込みだけにしていますね。
St Agatha Second half 17th Italian School

「ナポリの工房作  17世紀」
拷問にあった彼女の元に、聖ペトロと天使が介抱に駆け
付けます。この作者さんは片方の描写のようですね。
右下に落ちているのって、まさか・・・。
Neapolitan School 17th St Agatha visited by St Peter

「アンドレア・ヴァッカロ作  1635-45年」
衰弱する彼女の元へ厳かに登場する聖ペトロ。
聖ペトロのアトリビュートは鍵なので、人物を特定させる為に
描かれたものですが、このまま牢獄の鍵を開けてアガタを
逃がせることができてしまいそう。
Andrea Vaccaro St Agatha and St Peter 1635-45

「Pacecco de Rosa 作 17世紀」
血を含んだ布と赤い線が生々しいですね。可愛い天使さんが
薬を差し出し、聖ペトロは「案ずるな。天上におわす主は
貴女を見ている。必ず救われる」と説いているようです。
Pacecco de Rosa St Peter comforts St Agatha Martyrdom 17th

「ジョヴァンニ・ランフランコ作 1614年」
逆光が映える美しい作品。切り取られ、胸が男性のように・・・。
そして天使さんの逞しい姿の方が気になってしまう・・・w
St Peter Agatha  Caravaggio-follower Giovanni Lanfranco 1614

「ピエロ・デラ・フランチェスカ作 1460-70年」
この逸話により、聖アガタのアトリビュートは自らの乳房。
お皿に切り取られた胸を乗せて持つなんてシュールすぎますが、
真面目に描かれています。
Saint Agatha  by Piero della Francesca 1460–70

「フランシスコ・デ・スルバラン作 1630-33年」
こちらに優し気な視線を向ける聖アガタ。
その手にはおまんじゅうやプリンを持つが如く、
乳房を持っています。
Francisco de Zurbarán, Saint Agatha, 1630-33

「ボローニャ工房の作品 17世紀」
殉教者の証として手には棕櫚の葉を持ち、足元には胸と剣が。
数多くいる聖女がいる中で、絵画の鑑賞者はこのアトリビュート
見ただけで「聖アガタだ」と分かりますね。
Bolognese School 17th St Agatha

「ジョヴァンニ・カリアーニ作 1510-15年」
棕櫚の葉とコンパクトサイズな胸を持つ聖アガタ。
ルネサンスの空気漂う綺麗な色彩。信仰深い聖女というより、
なんというか、裏にセクシーな意味が隠れていそうな感じ
がする、そんな気がするような・・・^^;
Giovanni CarianiSaint Agatha 1510-15

「 ベルナルディーノ・ルイーニ作 1520年」
ダ・ヴィンチの影響をひしひしと感じる作品ですね。
コンパクトサイズの胸を伏し目がちで見つめます。
Bernardino Scapi St Agata 1520  Galleria Borghese

「ロレンツォ・リッピ作 1606-64年」
アガタさん、恐い、なんか恐いですよ!
「あなたも切る?」みたいなホラー展開に見えちゃいます^^;
Saint Agatha  Lorenzo Lippi

「フランシスコ・デ・スルバランの追随者作 17世紀」
両眼をえぐり出す拷問を受けたシラクサの聖ルチア(真ん中)、
歯を全て抜かれる拷問を受けた聖アポロニア(右)とで、
三人で座談会。「痛かったわよねー」「本当酷いんだから」
「信仰は大事だけど大変ね」なんて積もる話をしているのかしら。
Follower of Francisco de Zurbarán Agatha Lucy  Apollonia 17th

 聖アガタは乳がん患者、鐘職人やパン屋、地震の守護聖人とされています。
 乳がんや地震は物語より理由が分かるかと思いますが、鐘職人やパン屋はなんで?と思う事でしょう。なんでも「乳房と形が似ているから」だとか・・・。うん、まぁ似ていない事もないですねw

 現代では聖アガタのスイーツもあります。↓

Minnuzze_di_sant'aita

 画像はwikiより転載です。シチリア島で売っているスイーツです。日本でもいくつか乳房に関連するスイーツはありますが、こうやっていっぱい並んでいるのを見ると、なんともコメントに困ります(笑)甘くて柔らかそうではあるものの、どんな味なのかしら・・・。やっぱりミルク味?←ぇ
 拷問のせいでこんなイメージになってしまった、聖アガタさんなのでした。

→ 歯を抜かれる拷問を受けた聖アポロニアの絵画を見たい方はこちら


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