どうしてこうなったイエス・キリストの作品11点。まだあるシュールな絵画【第四弾】 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

どうしてこうなったイエス・キリストの作品11点。まだあるシュールな絵画【第四弾】

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 救世主イエス・キリスト。彼は2000年に渡って神の息子として崇拝されている存在です。数々の奇跡を起こし、人類の罪を贖う為に命を落としたとされ、その姿は画家たちにより畏敬と尊敬を持って描かれてきました。聖母マリアや十二使徒、聖人たちなどのキリストに関係する聖なる者たちも同様に、敬意を持って描かれた作品が大多数です。
 しかし、中には「どうしてこうなった…?」と思ってしまうような、疑問に思ってしまう作品も存在します。形式なのか、うっかりなのか、わざとなのか。それは作者のみぞ知る…。
では、どうしてこうなったシリーズ第四弾をご覧ください!

 

「シリアのAlqoshの写本 18世紀」
キリストの傷口に指を入れるトマスと、それを見るシモン・ペトロ。
抽象極まれり!という感じの作品で、シュールレアリスムも
驚く平面的な姿をしていますね。お顔の赤が気になりすぎます…。

「ジョヴァンニ・ディ・パオロ作 1370年」
聖母マリア様の胸、そこ…!?
中世の作品には「女性の胸はそこじゃない」と思える作品が
多数存在します。マリア様と赤子イエスの半目が少し不気味です…。

「作者不詳 15世紀頃」
頭身がなんか凄いことになっている、復活したキリストと
周囲の驚く人々。どこかアニメ的な雰囲気を感じますね。

「サンドロ・ボッティチェリの工房作 16世紀」
おめめがセクシーなキリスト。衣服や色彩などボッティチェリの
作風だと感じられるのですが、何かが違う…!
すごい二重の瞼の、なんとも言えない表情をされております。

「作者不詳 フランドルの工房作 15-16世紀頃?」
裏切者とされるイスカリオテのユダと、キリスト。
ユダがガン見しているのに、救世主は上の空…。前髪の短さや
距離の近さ、窓枠の謎も合わさり、どうしてこうなったに
ノミネートです。

「ペトルス・クリストゥス作  1444年頃」
頭のぽんぽんが気になる!お花が生えてるの…!?
後方の天使さん達がかなり険しい表情なのも気になる…!

「北ドイツ出身の画家作 15世紀」
セクシー風な半肩出しキリスト。衣服や茨、背景が黒で
良いコントラストを出しておりますが、表情と肩が気になって
仕方がありません…。

「ドイツの工房の画家作  16世紀」
茨と髪と目の描写は緻密で素晴らしいです。
口が、半開きの口が…。なんというか、どうしてこうなった
状態です。

「アントネロ・ダ・メッシーナ作 1470年」
すっっごい不満そう!!
耐えている表情であると思いますが、なかなか見ない個性的な
お顔をされていますね。見つめられると、こちらも口がぐっと
なりそうです。

「作者不詳  時代不詳 16世紀?」
顔が三つの三位一体!!
キリストを三面にするという描写はちょくちょく見られます
が、こんなに躍動感がある作品ははじめてです。
象徴的なキリストを立体に描く姿に感動してノミネートです!

「イタリアの工房の画家作 1600年後半」
すっっごい白目向いてる!!
天におわす神を見る為に上目遣いの作品は多いですが、
ここまで上向きなのは珍しいです。強調したかったんですかね…。

 時代の作風、画家の癖、ほんの少しの遊び心…。同じイエス・キリストという人物を描いたというのに、こうも表現がかわるというのは面白いですね。個人的には、だから美術は奥深い世界だと思います。皆がテンプレート的な作品を描いていても味気がないですものね。美しきを求めるのも美術。象徴や個性を表現するのもまた美術。「どうしてこうなった」は誉め言葉なのです!(?)
 謎のまとめでしたが、これからも「どうしてこうなった」を探していきたいですね。まだまだこのシリーズは続けたいなぁ。

→ 女性の胸はそこじゃないの絵画を見たい方はこちら
→ 三位一体を表したお顔の絵画を見たい方はこちら

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    シュールでヘタウマ=中世のイメージがありますが、ルネサンス以降の作品もなかなかですよね(笑)
    なるほど!私は「授乳シーンは禁欲が揺らぐかもしれぬ。抽象的にしてしまえ!」という考えで、位置をずらしたり形を平面的にしていたのだと思っていました。
    聖母子像の固定化された姿をそのまま使用した為なのですね。
    キリストに授乳する聖母というシーンを、アトリビュートを追加して表現するとは面白いです。

  2. 管理人:扉園 より:

     >> オバタケイコ様へ
    文章の雰囲気でなんとなく分かりましたよ~^^
    金を用いて豪華な枠で衣装も凝っているのに、取って付けたかのような胸…。
    象徴の為にわざと4頭身にしたのか、うっかりこぢんまりしてしまったのか、当時の私達の感覚と全く違うのか。
    絶妙な感じなのもいい味を出していますよね^^
    夜な夜な画像を集めながら、にやにやしていました…(笑)

  3. 管理人:扉園 より:

     >> 季節風様へ
    キリストの頭がお花畑になっちゃいますね^^;
    何かを象徴しているにしても、シュールです…。
    死後復活したキリストを本物か疑い、胸の傷口に指を入れるトマスのシーンは割と人気ですよね。
    使徒が疑うなんて…と思ってしまうのですが、復活を強調するのに良い表現なのかしら。

  4. 美術を愛する人 より:

    ルネサンス以降の絵ばかりなのにシュールな絵ばかりで笑いました。
    マリアの胸の位置がおかしいのは、イエスを抱くマリアの絵やマリアの座像がもともとあって、それを強引に授乳シーンにしたからだと思います。
    乳房は一種のアトリビュートで、ここで紹介された絵も乳房を消せば普通の聖母子像です。

  5. オバタケイコ より:

    またやってしまった!
    コメント欄の名前が、『美術を愛する人』に設定されてるので、時々名前を変えるのを忘れちゃうのです。
    2. 美術を愛する人 2023/07/09 20:55は私です(;^ω^)

  6. 美術を愛する人 より:

    「女性の胸はそこじゃない」絵、沢山ありますね。どう観察してもそうはならないだろ!と、突っ込みたくなります。
    4頭身のキリスト、シュールで笑えます(^-^;
    半肩出しキリストは本当にセクシーですね。
    表情といい、ポーズといい、聖人というより
    煩悩にまみれた男にしか見えません。。。
    上目遣いのキリストも笑えるし、よくこれだけ集めましたね~。感服。

  7. 季節風 より:

    ペトルス・クリストゥス作のキリストは頭を飾り立ててるように見えます。
    後方の天使さんが「百合もどうぞ」と言ってるのかも。
    西洋には聖トマスがキリストの胸をツンツンする絵が多いですね。

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