堕天使は神の使いでありながら、反逆者サタン(ルシファー)側に付き、離反した天使のことを指します。
反逆した天使は神によって罰せられ、地獄へ追放されました。どうして反逆をすることになったのかは諸説あり、サタンが神より優れていると思ったから、神が人間を寵愛した為に嫉妬したから、神の束縛から自由になりたかったからなどがあります。彼等は天使と同じように上、中、下の三隊の階級に分けられており、サタンを筆頭にしてベルゼブブ、バアル、アスモデウス、ベリアルなどの上級の堕天使がいます。地獄へ落とされた堕天使は悪魔へと変貌し、天界を乗っ取ってやろう、人間を陥れてやろうと虎視眈々と狙っているのです。
地獄へ追放される堕天使の絵画11点をご覧ください。
「ヨハン・ネポムク・エンデル作 19世紀」
あーだりぃと言った感じに、惰眠を貪ってごろ寝する堕天使たち。
神の使者としてのお仕事をする気ゼロです。
「Edouard Cibot 作 1833年」
見るからにあくどい表情をしている二人の堕天使。
日本の少年漫画に出てきそうな顔をしているような気が。
「アレクサンドル・カバネル作 1847年」
顔を隠しているちょっとイケメンな堕天使。肉体の描写が見事です。
「ジョージズ・シャトラン著の本の挿絵 1470年」
ぼとぼと…と効果音がありそうな墜落です。天使から悪魔に変容が
進んでおり、下に行く者は醜い怪物に変わってしまっています。
「E. Fourriere 作 1891年の祈禱書に描かれた挿絵」
天使ミカエルによって敗れるサタンと、異形となり果てて堕ちてゆく
堕天使たち。下には奢りの象徴であるバベルの塔と、信仰している者
が双対的に描かれています。
「ピーテル・ブリューゲル(父)作 1562年」
怪物画をたしなむブリューゲルに描かせたら、堕天使だってモンスターに
なっちゃいます。黄金の鎧を着たミカエル様率いる天使軍が、
怪物たちをめっためたにやっつけています。
「ピーテル・パウル・ルーベンス作 17世紀」
そういえばルーベンスとブリューゲルって同じ名前なんですね。
墜落というより、団子状態となって地獄へと落ちる堕天使たち。
「シャルル・ルブラン作 17世紀」
上手くハイライトを使って天使の善性、堕天使の悪性を描き出しています。
「フランス・フロリス作 1554年」
こちらも、もみくちゃの堕天使団子ができています。
堕天使は悪魔へと変わり、猪や犬、蛇など様々な動物の顔をしています。
「ドメニコ・ベッカフーミ作 16世紀」
画像が暗く、ミカエルの顔がホラー気味になってしまいました。
地獄で堕天使は苦しんでおりますが、天上の神はハーレムのようになってます。
「ドメニコ・ベッカフーミ作 1524年」
剣を掲げて「行け!」と指示するミカエルに、一斉に突撃する天使達。
堕天使たちは成す術もなく逃げまどっているように見えます。
「Eugenio Cajes 作 1605年」
「もうお前たちに用はない」と言わんばかりに踵を返すミカエル。
完膚なきまでこてんぱんにやられた堕天使はしょんぼり顔をしています。
昔、天使から追放された堕天使がいるなら、悪魔から上がった昇悪魔がいてもいいじゃん、と思って昇悪魔をテーマにした小説を書こうとしたことを思い出しました。(中途半端で止めましたが・・・)
昇悪魔は私が勝手に考えた単語であり、存在はしません。どんなに文献を読んでも、悪魔から天使となった者の話は出てきません。キリスト教において邪悪なものが清らかになるのはあり得ず、罪を犯して地獄へ落ちた者は、永遠に天国へは登れないのです。象徴的な話にとやかく言うのはあれですが、そう言った潔癖性というか、至上主義は少し悲しく思います。
個人的には、昇悪魔がいたっていいと思うんですけどね・・・。
【 コメント 】
>> 美術を愛する人様へ
返信が遅くなりすみません。
イコンというのは間違いでした。知識不足ですみません…。
題名を変更しておきます。
改めて調べてみると。1891年の祈禱書に描かれた挿絵であり、作者はE. Fourriereさんであるそう。
リンクはこちらになります。↓
http://www.collectiontrade.nl/cms/index.php?page=shop.product_details&flypage=flypage.tpl&product_id=18302&category_id=1509&option=com_virtuemart&Itemid=35
こんばんは。質問があります。
「ビザンティン美術のイコン」は誰によって描かれたものでしょうか。
>> 美術を愛する人様へ
こんばんは^^
画像をアップした際に私も気付きました。
ぱっと見た印象は「肉体と目付きが凄いなぁ。神を睨んでるのかな?」と思ったのですが、よく見ると涙があり嗚咽を必死にこらえているようで、心を打たれました。
天使が最初に作られて神を崇拝していたのに、後から人間を作って「天使は人間に仕えなさい」と言って神が人間ばかり優遇するのは、嫉妬や高慢な気持ちが芽生えるのも無理はないような気がします。
深き愛は深い憎しみに変わり、心は蝕まれ黒く塗り潰されてゆく。
ミカエルに敗れ、「どうして俺が人間に頭を垂れなければならないんだ!誰よりも神を愛していたのに!」と心の叫びを発しながら地下へと堕ちてゆく彼。
イケメン堕天使可哀想(:_;)←完全に同情
カバネルさんのイケメン堕天使、実はよく見ると涙を流しているんですよね
一体何があってもどんな感情を抱いているのか…?と考えると、どんどん魅力に惹かれていってしまう作品です(なんかイケメンだし)
神様は自分を愛し崇拝させるために天使を作ったが、後に人間ばかり構うようになったのでそれに嫉妬したり悪いことを考えるようになった天使たちが堕天使して…という説を目にしたことがあるのですが、かのイケメン堕天使も激しく嫉妬していたりして?
愛されたいのに!と嘆いて堕天していくのは、ある意味苦しいのかもしれませんね。
>> 美術を愛する人様へ
こんばんは。
そうですよね。ユダヤ教やキリスト教は一神教なので、古代の神々は皆悪魔扱い…。
悪魔事典を見ると、バアルにダゴン、イシュタルやイシス、オーディンやロキ等がいますよね。
一神教を崇める為に都合の悪いものは全て、悪魔に分類されてしまっているような気がします。
それでも土地に宗教をなじませるよう、一神教に土着が混じり合って独特の文化になったりするんですよね。
宗教争いは恐ろしいですが、そういった反発と融合が組み合わさって文化が生まれると思うと興味深いです。
元々悪魔とか堕天使と言われている存在はキリスト教が広まる前に
その土地で信仰されていた神々です、聖書にも雅記等土着の神々に対する賛辞があります。インドで仏教が広まる前に土着の信仰のヒンドゥーやバラモンの神々と教義を取り入れて成立した密教と成立が似ていると思います。