アダムとイブ(イヴ、エヴァ)は旧約聖書の「創世記」に登場する、世界最初の人間です。
世界創造の後に唯一神はアダムを作り、彼をエデンの園に住まわせました。そこには様々な種類の木が置かれており、中心には命の木と知識の木の二本が植えられていました。唯一神はアダムに知識の木の実は食べてはならないと告げ、アダムのわき腹からイブが創造されます。
二人はしばらく幸せに暮らしていましたが、ある日イブの元に蛇が現れ「善悪の知識の実を食べるがいい」とそそのかします。彼女は果実をかじってアダムに勧め、彼もそれを口にしました。二人はとうとつに自分達が裸であること恥じ、イチジクの葉で腰を覆いました。実を食したことが原因で二人は楽園を追い出されてしまいます。
禁断の果実を採るアダムとイブの絵画、12選をご覧ください。
「ラファエロ・サンツィオ作 1509-11年」
イブの手から小さな実を受け取ろうとするアダム。
人間の姿をした蛇がほくそ笑みながら、その様子を見ています。
「Alessandro Turchi 作 16世紀後半-17世紀前半」
禁断の果実はどのようなものであったかは諸説あり、
りんご、イチジク、葡萄、小麦、中にはトマトという説もあります。
トマト食べて楽園追放されたらちょっと悲しいなぁ…。
「フランス・フロリス作 1560年」
容姿や肉体の美を追求しまくったアダムとイブ。最初の男女という
ことから、美のイデアの体現のようなイメージだからでしょうか。
「ルーカス・クラナッハ(父)工房作 1502-22年」
仁王立ちをしているアダムとイブ。背景が黒という事も合わさり、
なんだかシュールでシリアスな映画ポスターのように見えます。
「ヤン・ホッサールト作 15世紀後半-16世紀前半」
もこもこ頭が気になるアダム。二人は仲良く腕を組んでいますが、
自信満々のイブと心配げなアダムの表情が対照的です。
「フランチェスコ・サルヴィアーティの後のPietro Facchetti 作 1554年」
蛇の多くが女性の容姿で描かれていますが、これは男性のような姿。
どのアダムとイブも、上手に手や葉っぱで隠すところが隠されている…。
「フランソワ・ルモワーヌ作 18世紀前半」
天使のような容姿と小さな羽が生えた蛇。足元にはライオンと兎が
仲よく眠っており、弱肉強食のない平和な園だということが分かります。
「コルネリス・ファン・ハールレム作 1592年」
エデンの園では様々な動物が寄りそって暮らしています。
猿と猫がぎゅっと抱き合っている姿が可愛い。
「フーゴー・ファン・デル・グース作 1470年」
人間とトカゲ、カエルのハイブリッド怪物になっている蛇さん。
二人が楽園を追い出された後、蛇は罰として腹ばいにされてしまったとか。
「Hans Sebald Beham 作 1543年」
果実を蛇がかじっちゃってます。背後には不気味なドクロが
浮かび、今後の二人の暗い運命を暗示しているかのようです。
「ハンス・トーマ作 19世紀前半-20世紀後半」
知識の木の隣に生えている生命の木の果実を食べれば、
人間は不老不死になれたそう。しかし、神は彼等を追い出し、
木に近付けさせませんでした。ぬっと立つドクロが布を掛けようとしています。
「コルネリス・ファン・ハールレム作 16世紀後半-17世紀前半」
アダムに狙いを定め、矢を突き刺そうとしているドクロさん。
人間には永遠に死が付きまとう事となった、というメッセージでしょうか。
後半三つの作品は、禁断の果実の物語というより、メメント・モリのテーマになってしまいました…。アダムとイブは衣服を与えられて楽園を追放され、大地の実りが少ない枯れた土地へ向かいます。そこでは女性は腹を痛めて子供を産まなければならないし、男性は汗水たらして田畑を耕して働かなければなりません。そこから人類の最大の罪、原罪は始まったとされています。
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