ソロモンの審判の絵画13点。子供を取り合う母親事件を解決する、イスラエルの賢王 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ソロモンの審判の絵画13点。子供を取り合う母親事件を解決する、イスラエルの賢王

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Henri-Frederic Schopin -

 ソロモンは旧約聖書の「列王記」に登場する古代イスラエル王国の王です。
 彼はかなりの知恵者として知られており、このような話が残されています。ある日、ソロモンの元に二人の女性が現れます。彼女たちは一緒の家に住んでおり、ほぼ同時に子供を産みました。しかし、一方の子供は死んでしまい、もう一方の子供は助かりました。死んだ子供の母親は生きている子供を取り上げ「私のだ!」と言い張り、本物の母親と喧嘩になりました。仲介役になった人は、ソロモンに審判を頼みました。
 ソロモンは「私のだ!」と主張する二人の母親を見比べ、隣に立っていた兵士にこう告げました。「その子供を真っ二つに切り裂け!」と。すると、偽物の母親は「あの女にあげるくらいなら裂いて!」と叫んだのに対し、本物の母親は「あの女にあげるから助けて!」と叫んだのです。こうして子供は本物の母親に返されました。
 この物語はソロモンの知恵を示すエピソードとして、多くの画家に描かれました。ソロモンの審判の絵画、13点をご覧ください。


 

「ノースカロライナ大学チャペルヒル校にある写本  13世紀」
円の中だから仕方ないと思いますが、みんなぎゅうぎゅう詰めで
描かれています。母親が分裂しているように見えますし、手がでかい・・・。
中世の絵画は何とも言えない構成です。
UNC Chapel Hill 13th

「Petrus Comestor book の挿絵  1372年」
子供を殺そうとしている兵士に、右の女はどうぞと言った感じにしている
のに対し、左の女はソロモンにやめてと懇願しています。王は左の人に
怒っているように見えますが、右に怒ってるんですよね、きっと。
Petrus Comestor book 1372

「セバスティアーノ・デル・ピオンボ作  1508-10年」
私のものよ、いいえ私のものよ!と言い争っているのは分かりますが、
子供は一体どこでしょうか。後から抱いてくる?
Sebastiano del Piombo 1508-10

「ラファエロ・サンツィオ作  1518-19年」
イタリアルネサンスの三大画家、ラファエロの作品。この絵画は亡くなった
子供を連れてきています。この絵画では女を指さしている者が本物で、
死体を指している者が偽物ということが分かります。
Raphael  1518-19

「アントワン・コワペル作  1661-1722年」
こちらは本物の母親が兵士に歯向かって全力拒否です。ここまで
身体を張って子供を助ければ、本物かどうかは一目瞭然です。
Antoine Coypel 1661-1722

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1617年」
赤ちゃんを逆さづりにして剣を振り上げる兵士と、反対の反応を示す
二人の女性。もうどちらが本物かお分かりでしょう。
右端でうっすらと笑みを浮かべている老婆(?)が恐いです。
peter paul rubens 1617

「ニコラ・プッサン作  1649年」
プッサンは二人の女性をあからさまに対照に描いています。
だらんと垂れた幼児の死体を持つ母は、恨みの念を持って「あいつも
斬ってしまえ!」と言っているように感じます。ぶるぶる。
Nicolas Poussin 1649

「Henri Frederic Schopin 作  19世紀」
まだ少年のように見えるソロモン王。子供を奪おうおとする兵士に、
母親は渡すまいと必死に守っています。物語の内容より、この二人の
母親の表情が全てを物語っています。
Henri-Frederic Schopin

「ギュスターヴ・ドレ作  19世紀」
「だめえぇぇー!!」と追いすがる母親。右の母に強くスポットライトを
当てることで、対照的な二人を演出しています。
Gustave Dore 19th

「ジェームズ・ティソ作  19世紀」
エキゾチックな雰囲気のソロモンの審判。確かにイスラエル王国は
中東アジア辺りにあるので、こちらの絵画の情景の方が正しいのでしょう。
ほとんどの絵画が白人となっているので、正しい方が際立ってしまっています。
James Tissot

「イタリア出身の画家作  18世紀」
なんだか和やかに見えるソロモンの審判。子供が笑顔で左の(鑑賞者から
見て)母を向いていますので、彼女が本物でしょうか。いや、それよりも
ソロモンの椅子に浮かぶ人面の方が気になります・・・。
18th  Italy

「Valentin de Boulogne 作  1625年」
バロック期の、明暗が強い劇的な作品。
子供を引っぱって守ろうとする母親の背中が頼もしいです。
Valentin de Boulogne 1625

「Matthias Stomer 作  1638-42年」
こちらもジョルジュ・ド・ラ・トゥールを思わせる暗黒の中のともしびの
ような作品。これは劇的な印象はなく、人物が全て静止しているように
感じます。本物の母はソロモンに抗議している右でしょうか。
Matthias Stomer 1638-42

 今でも病院で間違えられて違う子を育てていた!という事例があるので、大家族で暮らしていた古代イスラエルでは、ままに起こりうる事件だったのかもしれません。子供の死亡率も極端に高かったのでしょう。
 子供を亡くした母親は子供を奪って育てたかったのではなく、相手の母親を妬み、同じ境遇に陥れたかったとも考えられます。だいぶ野蛮な方法とは言え、母親の本質を見抜いたソロモンの知恵は凄いなと思います。やはり、子供を想う本物の母親(血が繋がっていてもいなくても)に勝るものは何もないですよね。
 


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