アキレスはギリシャ神話に登場する英雄です。
王ぺーレウスと海の女神テティスとの間に生まれました。アキレスが生まれると、テティスは直ぐ冥府の川スクテュスに息子を浸しました。その川には人を不死にする力がありましたが、テティスはアキレスの足首を掴んでいた為、かかとだけ不死にはなりませんでした。その後、彼はケンタウロス族の賢者ケイロンの元に預けられて養育されました。立派な青年になったアキレスでしたが、トロイ戦争に関わると命を落とすと予言が出たので、テティスは息子を女装させてスキュロス島へ移しました。そこで彼は王の娘デイダメイアとの間に息子ネオプトレモスをもうけています。
そこへ戦争の勧誘にオデュッセウスが来たので、女装したアキレスはやり過ごそうとしました。しかし、策士の彼は女性向けの物の中に武器を混ぜ、正体を暴いてしまいました。こうしてアキレスは戦争に出ざるを得なかったのです。いざ出航しようとした彼等でしたが、トロイ方面とは逆の風が吹いており進めませんでした。総大将アガメムノンが神託をすると、娘を生贄へ捧げるという結果が出ました。アガメムノンはアキレスとの縁談を理由に娘を呼び寄せ、生贄にしてしまいます。アキレスはその事に非常に強い怒りを示し、亀裂を生じさせるきっかけとなりました。
その後、彼はトロイ戦争へ参加して予言通りに命を落としてしまうのですが、今回はアキレスの幼少期とアガメムノンの確執についての絵画12点をご覧ください。
「ピーテル・パウル・ルーベンス作 1577‐1640年」
女神テティスはアキレスが生まれるとすぐ、息子を不死にするために
冥府のスクテュス川の中へ浸してしまいます。この時足首を掴んで
入れたので、かかとは不死になりませんでした。
「ポンペオ・バトーニ作 1746年」
教養を深めるために、ケンタウロス族のケイロンの元に息子を
預けます。ケイロンはアポロンから音楽、医学、予言を学び、
アルテミスから狩猟を学んだ賢者です。
「ジェームス・バリー作 1772年」
琴を学ぶアキレス。当時は武術や学術だけではなく、音楽も教養の
一つなのですね。背後に見えるのはテティス・・・?
息子が心配でやって来たのでしょうか。
「Benigne Gagneraux 作 18世紀」
狩猟を学ぶアキレス。ケイロンの背に乗り、彼はトラに槍を投げ付けようと
しています。この絵画を見るまで、ケンタウロスの背に人が乗るという
発想がありませんでした。確かに馬だから乗れますね・・・。便利かも。
「ジャン=バプティスト・ルニョー作 1754‐1829年」
弓術を学ぶアキレス。足元にはライオン(?)が倒れています。
皮肉にもケイロンとアキレスの二人とも、弓が原因で命を落として
いるんですよね・・・。
「Toussaint Dubreuil 作 1561-1602年」
弓術再び。ケイロンは英雄ヘラクレスが誤って放った毒矢が当たり、
アキレスはパリスの放った矢がかかとに当たって亡くなります。
ケイロンの身体と足元の段差がどうなっているのかが分からない・・・。
「ジョヴァンニ・バッティスタ・チプリアーニ作 1776年」
更に弓術。これは教授しているというより、怪しい絵画に見えてしまうのは
私だけではないはず。ケイロンカメラ目線でドヤ顔してる!そして、
どうしてもアキレスのお尻に目がいってしまう・・・。
「Louis Gauffier 作 1762‐1801年」
青年になったアキレスの元に、商人のふりをしたオデュッセウスが
現れます。女装をした彼はやり過ごそうとしますが、女性用商品の中に
武具がしこませてあったので、アキレスはまんまと引っかかって
正体をさらしてしまいます。
「ドミニク・アングル作 1801年」
トロイ戦争に参加することになったアキレスは使節団に誘われ、
総大将アガメムノンの元へ向かいます。
アキレスの右隣の人(オデュッセウス?)は折角マントを付けているのに
意味を成していません。琴だけじゃ無理ですよ!
「ジャック・ルイ・ダヴィッド作 1819年」
敵地へ行く為には娘を生贄に捧げよ、と神託を受けたアガメムノンは
非情にもそれを実行します。娘イピゲネイアを呼ぶのにアキレスの
縁談話を使われ、彼は激怒します。それ以来、二人の仲は劇的に
悪くなってしまいます。
「Michael Martin Drolling 作 1810年」
戦争が経過しても二人の仲は良くなる気配はありません。
逆に、女性関係によって悪くなるばかり。二人を和解させようと
老ネストルが説得しますが、無駄な行為に終わりました。
「Michael Martin Drolling 作 1810年」
アキレスは報酬として敵国の美女ブリセイスを与えられましたが、
アガメムノンは彼女を奪ってしまいます。アキレスがキレて彼に斬り
つけようとした時、アテネ様がひらりと現れてそれを
押し留めました。
女神が現れたことでアキレスは渋々怒りを沈めました。
ステュクス川は生者の領域と死者の領域を分けている場所で、渡し守カロンが死者の魂を運んでいます。アキレスは川に身を浸らせることによって不死になったのですが、詩人オルフェウスやプシュケは死者の世界へ行くためにステュクス川を渡っても水に触れようとしませんでした。浸ると不死になるという情報は神にしか知らないことなのか、はたまた人を選別するのか。説によっては猛毒とされているので、大人になって入ったら駄目なのかもしれませんね。それか、不死になるのに重大なリスクがあるのかもしれません。死者の魂がひきずり込んでくるとか・・・。
足首が生身になってしまうまでしっかりと掴んでいないと、アキレスは川の底へ持っていかれていたかもしれません・・・。
【 コメント 】
>> 戻ってきました様へ
こんばんは^^
もう二か月半前になるのですか。早いなぁ…。
どんどん知識が深まりますね。ブログの間違いがあったら遠慮なく指摘をお願いしますw
ラオコーン了解しました!
少々お待ちください。パリス&ヘレネの記事も書く予定なので、そちらも合わせて^^
ハンドメイド・ラオコーンは蛇のうねりとか、筋肉の表現が難しいですね。
ぬいぐるみで躍動感をどう表現するのか…。
って、いらねぇ!って感じですよね(笑)
こんばんは。
初めてコメントした記事に戻ってきました。
というのも、『トロイア戦記』なるものを読み始めたので。
そこで、ラオコーンの絵が観たい^_^
こちらのブログでもエル・グレコともうひと方お見かけしましたが、もっと観たいです。
そして、ハンドメイド・ラオコーン……、いや、それはいいや(笑)
>> ちょっと気になったので様へ
ご指摘ありがとうございます!
間違いを載せていたなんて申し訳ないです…。私の調べ不足でした。
訂正させていただきました。
楽しく読んでくださっているとは、本当に嬉しいです。
これからも「メメント・モリ」をよろしくお願いいたします^^
ごめんなさい、第二歌ではなく、第一歌でした。