ギリシャ神話のメデューサの絵画12点。美を誇った女は怪物となり、首を斬られる… | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ギリシャ神話のメデューサの絵画12点。美を誇った女は怪物となり、首を斬られる…

Caravaggio_1597 -

 メデューサはギリシャ神話に登場する、女怪物のゴルゴン三姉妹の三女です。
 昔、メデューサは人間の美少女でした。とりわけ髪が美しく、ちやほやされた為に「私は女神アテナの髪より美しいの!」と自慢するようになります。それを知ったアテナは激怒し、メデューサの容貌を醜悪にし、髪を蛇に変えてしまいました。こうして彼女は怪物となってしまうのです。この話では、姉二人が怪物になった経緯が分からないので、もう一つ伝承があります。メデューサが愛人であるポセイドンと、アテネの神殿で逢瀬をしていた為に、アテネが怒って彼女を怪物にしてしまいました。この仕打ちが酷いと抗議をした姉二人も、怪物にされてしまったとのことです。
 メデューサは「無数の蛇の髪、猪の歯、青銅の手、黄金の翼」という姿で語られ、醜悪な顔を見た者は一瞬にして石になってしまいます。メデューサは英雄ペルセウスによって首を斬られ、殺されてしまいます。生首になっても石化能力は残り、盾に取り付けられたメデューサの首は様々な場面で使われました。
 美少女から一転、醜い怪物となってしまったメデューサの絵画12点を見ていきましょう。閲覧注意です!


 

「パレンシアにあるモザイク画  古代ローマ時代」
口を膨らませて怒っているぞ!と言った感じのメデューサ。
愛嬌があるので、あまり石化の効力がなさそうです。
パレンシア モザイク画

「カラヴァッジョ作  1597年」
目を見開いて絶望を前面に押し出しているメデューサ。
ペルセウスの盾にこういった感じにつけられたんでしょうか。
Caravaggio_1597

「アリス・パイク・バーニー作   1892年」
美しい容姿から怪物にされてしまったメデューサの悲哀が
現われている作品。女の自慢や愛憎は恐ろしいです。
Alice Pike Barney 1892

「アーノルド・ベックリン作  1878年」
虚ろな半開きな目と口。首を斬り取られてしまったメデューサの
怨念が伝わりそうな作品。見つめたら石になるかも・・・。
Arnold Bocklin 1878

「フレデリック・サンディーズ作   19世紀後半」
黄金の翼を頭につけた作品。神はもじゃもじゃしていますが、
あまり蛇感はなく、容姿も醜悪とまではいきません。
Anthony Frederick Sandys 19後半

「フランドル派の画家  1600年頃」
切り落とされた首から、まだ髪の蛇がのたくっています。
右のヒキガエルも頭から出てきたのでしょうか。ダークさを醸し出しています。
 1600

「ピーテル・パウル・ルーベンス作  1617-18年」
メデューサの絵画の中で一番有名な作品。のたくる蛇や青白い顔、
血走る目、血に蠢く生物の表現がリアルに再現されています。
まさに圧巻と言うべき他ない傑作品。
ルーベンス

「イタリアの画家  17世紀」
上の二匹の蛇が喧嘩を始めて、「こら!やめなさい!
髪が絡まるでしょうがっ!」と言っているように見える・・・。
Italy, 17th century

「ピエール・ピュジェ作   1684年」
舌を出して苦悶の表情を浮かべるメデューサ。
断末魔の叫びが聞こえてきそうです。
Pierre Puget  1684

「ディオクレティアヌス浴場のモザイク画」
顔が濃ゆい!相撲をやらせたら最強のような気がします。
何とも言えないカメラ目線で、なぜか目が離せなくなる作品。
ディオクレティアヌス浴場

「トルコのエフェソスにあるモザイク画  2世紀」
額から羽が突き出て、パーマをかけている丸顔のメデューサ。
いや、なんかすでに物語の面影がありません。
トルコ エフェソス 2世紀

「イタリアにあるモザイク画  2-3世紀」
なんだか下の装飾部分が触手にみえて、新種のエイリアンに
見えるメデューサさん。うねうねと地球侵略してきそう・・・。
2-3世紀 イタリアモザイク

 ふと疑問に思いましたが、古代ギリシャ、ローマ時代の彫刻は人体の美が追及されていて、とても技巧的なのに、なぜフレスコ画やモザイク画、壺絵の作品は人体が図像的で簡略化されているのでしょうか?フレスコ画や壺絵は素早く描かなければ乾いてしまうから?モザイク画は石のドットで表現されるから?
 ヨーロッパの初期の作品は図像的なシュールな絵と、技巧的や神秘的な美しい絵が入り混じっているので面白いですよね。

コメント

  1. 管理人:扉園 より:

     >> またまたなまくび様へ
    お姫様が鏡を見ると、顔が青白くなっているではありませんか。
    「まぁ透き通るような滑らかな肌。でも私、病気なのかしら」
    その時、あの老婆が現れます。
    「ついておいで。病気を治してあげる」
    お姫様は心配する両親に告げ、老婆と一緒に船に乗りました。手にはしっかりと肖像画を持って。
    どんぶらこっこと海に揺られている途中、お姫様はずっと肖像画を眺めており、そのまま石像になってしまいました。
    老婆は隣の国へと行き、その石像を王様へと見せました。
    「おぉ、なんと美しい大理石像だ。クレオパトラやヘレネ以上に色白で、目を見開いておる。いくらで売ってくれる?」
    「プレゼントじゃ」
    王様は喜んで大理石像を受け取り、古代ローマの石像が立ち並ぶ宮殿の美術館に飾りました。
    船に戻った老婆はあの肖像画を眺め、こう呟きます。
    「これの何処が美しい絵に見えるのかねぇ。醜いものだよ、メデューサから取った顔拓は。生首に残された執念か何かで、美に執着している者だと自らの顔に映ってしまうみたいだけど。皮肉なものだ」
    老婆が上空を見上げると、見事なまでの満月が輝いていました。
    「あらまぁ、綺麗だ。今夜も誰かが月に向かって挑発しているのかねぇ…」
    えんど。
    物語の続きを書いてみましたw^^←ぇ

  2. またまたなまくび より:

    『石化の肖像』
     …… あるところに傲慢なお姫さまがおりました。彼女は毎晩、月に向かって言うとりました。「へへん、私はクレオパトラやヘレネ、ネフェルティティさまより美人よ」と。おいおい、楊貴妃はどうした、小野小町はどうした。←
     ある朝、彼女が目覚めると、不気味な老女が玄関先に立っていました。「あなたは?」「セールスじゃ」
     そういっておばあさんの取り出したるは、なんとも綺麗な肖像画。「まあ、きれい」「ひめさまを描いたんじゃ」「おいくら?」「プレゼントじゃ」
     その日からお姫さまは、毎晩月に向かって挑発をするのをやめ、絵に描かれた自分の美貌を見つめることにします。「うっとりして、すぐ眠れちゃうの」
     しかし……、数週間後、彼女はお腹に異変を感じ……「なんか、悪いものでも食べたかしら」「重いわ」「動きが悪い……」
     それでも人間の性でしょうか、病院へ行くのをためらって、数日後……
    「きゃ、顔が、硬いっ……!」
     みたいな話を書いてください^^ ←ぇ

  3. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    こんばんは^^
    ウサ耳メデューサ…もしかしたら現代日本で流行るかも!?←ぇ
    モザイク画の製作者さんは「なんか変だな」とは思わなかったのでしょうかね。
    古代ギリシャ人にとってはあの姿がメデューサだったの…かな?
    神話の本を見ていると、ルーベンスの絵画の方がよく紹介されていた気がしたので、そう書いてしまいました^^;
    完全に私の独断と偏見です。
    確かにカラヴァッジョの方のメデューサも有名ですよね。
    というか、高校の時の先生のお顔が気になりすぎます。
    あの凄まじい顔に似ているってw

  4. 美術を愛する人 より:

    イタリアにあるモザイク画のメデューサは、頭の翼がウサギの耳に見えて、ますますわけの分からない作品に見えます(笑)
    ルーベンスのメデューサのが有名なんですね!?
    カラヴァッジョのメデューサの方をよく見かけるので、カラヴァッジョの方が有名だと思ってました。
    カラヴァッジョのメデューサは、私の高校の時の先生に似てるので、印象深いんです(笑)

タイトルとURLをコピーしました