聖ヴェロニカの絵画13点。キリストの顔を布で拭いた聖女と、布にくっきり浮かぶ顔 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

聖ヴェロニカの絵画13点。キリストの顔を布で拭いた聖女と、布にくっきり浮かぶ顔

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 聖ヴェロニカは苦しんでいるキリストにヴェール(布)を渡したとされる聖女です。
 ヴェロニカはエルサレム出身の敬虔なキリスト教徒でした。キリストが十字架を背負ってゴルゴダの丘を登っている際、ヴェロニカは余りの悲惨さに自らはおっていたヴェールを取り、キリストにそっと手渡しました。キリストは額の汗を拭き、感謝を以て彼女に返しました。するとどうでしょう。キリストの顔が転写されたかのようにヴェールに残ったのです。この奇跡が元になってヴェロニカは聖女となり、彼女のアトリビュートはキリストの顔の付いた布となったのです。
 中世ルネサンス時代の画家は、聖ヴェロニカとキリストの聖顔布を思いのままに描きました。ぼやけた顔、くっきりとした顔、不思議な顔。様々な顔をした布を持った、聖ヴェロニカの絵画13点をご覧ください。

 

「Andrea Solari 作  16世紀前半」
うっすらと笑みを浮かべて、こちらを見る聖ヴェロニカ。
布に浮かんでいる顔もうっすらとしています。

「Jacques Blanchard 作  17世紀前半」
聖ヴェロニカは神に祈るように天を仰ぎ、
キリストの顔は徐々に濃くなってきています。

「マッティア・プレティ作  1655-60年」
こちらは聖ヴェロニカと同じように、布のキリストも天を
見上げているように見えます。個人的にとても好きな絵。

「シモン・ヴーエ作  17世紀」
きりっとした容姿のキリストが布にはっきりと映っています。
転写レベルをだんだんと超えてきました。

「エル・グレコ作  1580年」
枠の模様の真ん中に、キリストの顔が。こういうデザインの布だよ、
と言われたら信じてしまいそう。需要があるかも?

「Florentine Master 作  1600年頃」
十字架を背負って苦しむキリストを見て、泣いている聖ヴェロニカと、
同じく悲しそうにしている布のキリスト。
ど根性ガエルのように喋って動き出しそうです・・・。

「ロベルト・カンピン作  1430年」
珍しくご年配の聖ヴェロニカ。
顔を拭いた布もすけすけで、ルネサンスの先駆者であるカンピンは
他と同様のヴェロニカを描きたくないというプライドがあったのでしょうか。
Maestro de Flémalle 1430

「デリック・ベイガート作 (部分) 1477-8年」
これまた個性的な聖ヴェロニカですね。おでこの広さと帽子が斬新で・・・。
キリストが西洋的ではなく日本人に見えるような。
こういう顔の日本人の若者いませんか?
BAEGERT, Derick 1477-78

「Francesco da Cotignola 作  16世紀前半」
背景や女性の容姿など、少しダ・ヴィンチを意識したかのような作品。
ハンカチ大のサイズに機嫌が悪そうなキリストの顔。

「通称聖ウルスラの親方作  15世紀」
顔でかっ・・・!顔を拭いて、このサイズの顔が浮かび上がったら
ホラーすぎます。こちらを直視するキリストが何かを訴えかけようとしています。

「ドイツ出身の画家  15世紀」
しょぼーんなキリスト。

「Master of Guillebert de Mets 作  1410-50年頃」
聖ヴェロニカの帽子も気になりますが、
キリストの顔がなんとも言えない!色々とツッコミどころがあります・・・。

「時祷書の挿絵  中世時代」
布でかっ!キリストの顔もでかっ!
モノクロで、微妙に舌を出しているお顔がシュールです。
キリストの処刑のシリアスシーンで、ヴェロニカさんがこれを持っていたら
吹き出す自信がある・・・。

 聖ヴェロニカの持っている布は「聖顔布」と呼ばれており、キリストの遺体をくるんだ布は「聖骸布」と呼ばれています。そして、ミステリーが好きな方は知っているかもしれませんが、実際にキリストを包んだとされる「トリノの聖骸布」がイタリアのトリノに存在します。細長の布に人型の全身が茶色に浮かび上がっており、その姿や容姿がキリストそっくりなのです。手足や胸の傷跡、額の茨の傷跡も確認され、布の染みを鑑定をすると人間の血痕と出たので、本物の聖骸布と思われています。
 真意のほどは定かではなく、本物と主張する者もいれば、捏造と叫ぶ者もいます。捏造派の説として、聖骸布を作った犯人がレオナルド・ダ・ヴィンチというものもあります。死体を入手し、キリストに見えるように死体を加工して、布に転写した・・・。こんな憶測が沢山飛び交っています。
 何はともあれ、聖骸布を所有している聖ヨハネ大聖堂教会ではこの奇跡の布を見に、いまだに多くの参拝者が訪れています。聖骸布は永遠に謎であった方がいいかもしれません。

→ <参考元サイト>

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