四騎士は新約聖書の「ヨハネの黙示録」に登場する、人々に災厄をもたらす神の使い的存在です。
英語では「馬に乗る四名の者(four horseman)」と言われており、騎士とは異なるのですが、日本では四騎士と呼ばれているので、それに準じさせていただきます。
物語によると、神が持っている巻物は封印がされていて、それを一つずつ解くと人々に災厄が訪れます。第一の封印を解くと白い馬に乗って弓を持った、冠を被った者が現れます。彼は「支配」を担っています。第二の封印は赤い馬に乗り、大剣を握った者が現れました。彼は「戦争」を担っています。第三の封印は黒い馬に乗り、天秤を持った者が現れました。彼は「飢饉」を担っています。そして、第四の封印を解くと青白い馬に乗った「死」が現れます。傍には「黄泉」を連れており、疫病を用いて人々を死に追いやる役目を持っています。
彼等は地上の四分の一の人間を死に至らしめ、去っていきました。恐ろしい災厄を象徴する四騎士の絵画11点をご覧ください。
「ベアトゥス写本の挿絵 1047年」
馬の模様がドットだったりハートだったり可愛いです。
当時は青色を出すのが難しかったのか、死が黄色の馬に。
引きつれた黄泉の姿がユーモア恐ろしい・・・!
「ベアトゥス写本の挿絵 970年」
白い馬の模様がキモいし、黄泉がうぇーいと言った感じだし、
本気で描いたかもしれませんが、面白い作品です。
「ベアトゥス写本の挿絵 11世紀」
う、馬!?四騎士は忍者!?
バタバタ倒れた人の体勢もシュールな、ツッコミどころ満載の作品です。
「1478年に作られた聖書の挿絵」
四騎士の姿が兵士や貴族といった姿になりました。
「死」も骨の姿になり、鎌と剣を持って死神の仕事をする気満々です。
後ろに従えている怪物が黄泉でしょうか・・・。恐ろしいもの連れてきましたね。
「Matthias Gerung 作 1530-32年」
時代が経るにつれ、色彩がちゃんとしてきました。
白い馬の男の弓の形が面白いです。死のおとも黄泉が可愛い。
ちなみに右下にいる人は、幻視を見ている聖ヨハネです。
「アルブレヒト・デューラー作 1498年」
飢饉をまき散らすお方が一番やる気満々に見える。
黄泉に喰われている人がもういます。上空を滑空する天使が楽しそう・・・。
「ヴィクトル・ヴァスネツォフ作 1887年」
個人的に好きな作品。それぞれの特性がよく現れています。
でも、黄泉がいないのが寂しい・・・。
「ベンジャミン・ウエスト作 1796年」
最初左の剣持ってる人が赤だと思いましたが、違うようです。
左の人は一般人で、四騎士は右側に固まっています。
この死はいっぱい黄泉を連れてきましたね。
「エドヴァルド・フォン・シュタインレ作 19世紀」
聖書というより神話のワンシーンのような絵画。
飢饉が珍しく女性のように見えます。黄泉たちは死の分身か子供のようです。
「ウィリアム・ブレイク作 18世紀後半-19世紀前半」
巻物の封印を全力で解く神と、やる気満々のニ騎士。
神を入れたくて、構成上四名も入れたくなかったのでしょうか。
幻想画家ウィリアム・ブレイクならでは。
「アーノルド・ベックリン作 19世紀後半」
またの題名を「ペスト」。三名しかいない?と思いましたが、
よく見たら赤と黄色のお兄さんの間にドワーフみたいなおじさんが。
死のふんぞり返ったドヤ顔が恐ろしい。
四騎士は人々に災厄をもたらす存在であり、中世ルネサンス時代の人々は彼らを畏怖していたと思われます。しかし、現代における四騎士の存在は変化していて、画像を検索していたら日本で言う戦隊ヒーローみたいになっているのを発見しました。(日本ではなく、西洋のエンタメにおいて)
白、赤、黒、青と色に分けられて、設定的に格好いいから使いたくなるのも分かるのですが、現代でもヨハネの黙示録を信じている人もいると思われるし、かつては畏怖されていた存在なのだから、それがエンターテイメントとなっていくのはどうなんだろう・・・と思う部分もあります。そういう私も、二次創作は嫌いじゃないですが。
【 コメント 】
>> 季節風様へ
こんばんは^^
彼らを目撃した途端に、滅ぼされてしまうかもしれません…。
馬にまたがり人間を殺めに来る四騎士。
中二病をくすぐる設定ではありますが、実際にそれが起こるのだとしたら、恐ろしすぎですよね。
ヨハネの黙示録においては四騎士の登場はまだ序の口です。
本当に最後の審判が起こったら、キリスト教圏以外は全滅ですからね…^^;
恐ろしい思想です。
四騎士がもし空に現れたら格好いいけど怖すぎます。
四分の一の人が死ぬなら、誰もが自分か自分の身近な人が死んでしまうわけです。絵画的には正に絵になります。
付き添っている天使や幻視しているヨハネが登場する絵も印象的です。