中世ルネサンスにおいて、世界の果ては未知の領域でした。西洋にいる動物はほんの一部で、世界中には恐ろしい怪物が存在していると信じられていました。当時の人々の考えを代弁しているのが、アルドロヴァンディの著書の挿絵です。
ウリッセ・アルドロヴァンディは博物学者で、ボローニャ大学で医学と哲学を教えていました。彼の興味は多岐に渡り、昆虫、動物、植物、科学などあらゆる分野に精通しており、彼はゲスナーという人の「動物誌」の文章を参考にして本を編纂していました。しかし、動物の実物を知らないままに弟子が挿絵を描いたようで、一部とんでもない怪物が描かれることになります。例えば、象という生物がいることは知っていても、実物は見たことがありません。文章で推測した象は怪物になってしまうのです。(中世の人作のとんでもない象はこちら) また、風の噂でしか聞いたことがない地の果ての怪物も、生物の枠に入れられてしまいます。
そして、アルドロヴァンディの著書の中から怪物が描かれた挿絵を集め、弟子が一つの本に纏めたのが「怪物史(1621年)」となります。「怪物史」を主にして、奇妙なモンスターの姿11点をご紹介します。
通称、海の聖職者。これがセイウチを描いた挿絵らしい。
いや、絶対にセイウチじゃなくてモンスターでしょう。
腹型の頭足人グリロス現る!帽子のデザインがオシャレですが、
一体何を意味しているんでしょう。シュールです。
→ グリロスについて知りたい方はこちら
鷲と竜と犬と人間のキメラ現る!
いや、なんでもくっつければ良いってものでもないような・・・。
ろくろ首のように長い首と、鶏のくちばしと顎を持つ不気味な男。
辺境にはこんな人間もいるに違いない、と思ったのでしょうか。
スキアポデスという名の、一本足の神話上の生物。古代ローマの
プリニウスの著書でもスキアポデスは紹介されていた為、
実在すると信じてしまったのでしょう。太陽の顔が恐い。
多分、ラクダだと思う・・・?いや、ラクダである要素が少なすぎる。
これは一体なんだ!?不気味な怪物おじさんにしか見えない!
進化したケンタウロス。ギリシャ神話に登場する半人半馬の生物も、
この時代の人から見たら実在する生物だったのでしょう。
それにしても何故腕が四本なのだ・・・。
うわー!これは怖すぎる!中途半端に付いた犬の足と、
仁王立ちの足と、不敵な顔が相まってシュールです・・・。
私、こんな生物見たことありません・・・。
腹型のグリロスにグリフォンと天使の羽と葉っぱがくっついた
ツッコミどころ満載の怪物です。
にゃんことわんこがシュール!
これは双子癒着といった感じですか・・・?いや、それよりも
二匹のいぶし銀の表情が目に釘付けです。
なにこれ、シュールかわいい!
カラフルなお魚がフリル襟付けて、人間の手が生えて
謎の草を握っているとか意味不明だけど、こんな魚
いて欲しいです!生物界に革命を起こして神様!
友人と絵を描いている時、お題を出して何も見ずにそれを描く、ということをよくやりました。動物や漫画のキャラを描いたのですが、うろ覚えではとんでもなく面白い姿になってしまうことがありました。見たことがある物を描いても変になるのですから、生まれてこのかた一度も見たことがない、遠くの土地にいるとされる生物を描いたら怪物になってしまうというのは納得できます。
ルネサンス時代の人々は至極真面目に怪物を描いていたのです。想像力の翼を、目一杯に働かせて。
【 コメント 】
>> オバタケイコ様へ
多くの怪物が悪夢に出てきそうなシュールな姿をしていますよね^^;
お魚フリルのお洒落さを分かっていただけるなんて嬉しいです^^
独特の可愛さが出ていますよね♪
ぜひ、PCとスマホの待ち受け画面に!w
腹型の頭足人グリロス、脳裏に焼き付きます。好きです。フリル襟のお魚は本当にお洒落ですね!PCの待ち受け画面にしようか迷いました。(笑)