西洋絵画の父ジョットの絵画9選。平坦を立体に変え、中世ルネサンスの架け橋となる | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

西洋絵画の父ジョットの絵画9選。平坦を立体に変え、中世ルネサンスの架け橋となる

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 ジョット・ディ・ボンドーネ(1267年頃―1337年)はジオットとも呼ばれ、イタリア出身の中世後期の画家です。
 中世時代、絵画は「文盲の人々にキリストの物語が伝わればいい」という名目で描かれ、美術的側面は排除されていました。リアルに描くことを忌避し、外面より内面を重視せよ、象徴性や図像が大切だと、わざと適当ともとれる絵画を描いたのでした。中世の人々もリアルに描こうとしたらできたかもしれませんが、時代がそれを許さなかったのです。
 しかし、その概念に対してジョットが革命を起こします。彼は三次元の空間や人物の自然な感情表現を描写したのです。人物のサイズは建物や風景と比較して自然な大きさで表され、人々のポーズも的確なものでした。それによりジョットは一躍有名になり、現代の評価では「西洋絵画の父」とも呼ばれるまでになりました。
 そんな偉大な巨匠、ジョットの作品9点を見ていきましょう。

 

「ユダの接吻  1304-06年」
ジョットの作品の中では有名な作品。親愛の接吻をした者が
キリストであると敵に伝え、ユダがキリストを売った瞬間を
描いています。群がる人々を奥行き感ある構図で描いています。
→ ユダの接吻の絵画を見たい方はこちら

「キリストの磔刑  スクロヴェーニ礼拝堂絵画 1305年頃」
まだ中世の風合いは抜け切れていませんが、集まる人々や
足もとのマグダラのマリアの配置などルネサンスの萌芽が見られます。

「キリストの誕生  スクロヴェーニ礼拝堂絵画  1305年頃」
手前のヨセフ、奥のマリア、岩肌などにしっかりとした奥行き感が
あるのが分かります。羊やロバが可愛いです。

「キリストの誕生  アップ」
あれ? キリスト、ぐるぐる巻きにされすぎじゃないですか?
サナギみたいになっている・・・。

「マリアの神殿奉献  スクロヴェーニ礼拝堂絵画  1305年頃
マリアが三歳の時、一人でエルサレムの15段の階段を登って
祭司長のところへ行ったという物語の絵画。
階段や建物の遠近感が見事です。

「キリストへの哀悼  スクロヴェーニ礼拝堂絵画  1305年頃
磔刑されたキリストを降ろし、仲間達が嘆き悲しんでいる場面。
天使らも加わり、全身を使って悲しみを表現しています。

「キリストへの哀悼  アップ」
天使の全力の嘆き方が地味に恐いです。
おおぉぉ・・・とホラーな泣き声が聞こえてきそう。

「マリアの埋葬  部分  1310年」
マリアの死を描いた作品で、キリストと思える人物が赤ちゃんを
抱いています。詳しくは分かりませんが、赤ちゃんとなったマリアの
魂を、キリストが天界へ送るのではと私は思っています。

「最後の審判 一部 スクロヴェーニ礼拝堂絵画  1305年頃
礼拝を終えて帰り際の壁に、これが見えるんです。
信仰者は地獄へ落ちないよう、身を引き締めて帰ったと思います。
→ 最後の審判の絵画を見たい方はこちら

「聖ステファノ  1320-25年」
頭についている何かが気になる。めっちゃ気になる。
ステファノは石打の刑で殉教しているから、石? たんこぶ?
それともマッシュルーム?

「大魚の口の中にいるヨナ   1337年」
旧約聖書より。ヨナが大魚に呑み込まれる場面。
喰われ方が八つ墓村みたいになっている・・・!
→ ヨナの絵画を見たい方はこちら

 現代の私たちから見たらジョットの作品は中世寄りで、平面的に見えてしまうかもしれません。ですが、ジョットからルネサンスの芽吹きが起こり、それからドナテッロ、ブルネレスキ、マザッチオ、ボッティチェリと続き、ルネサンスの三大巨匠ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロへと繋がっていきます。美術界の未来に大花を咲かせた縁の下の力持ち、種をまいた者として、ジョットは素晴らしい成果を残した巨匠だと思います。

→ ジョット作の7つの美徳、7つの悪徳を見たい方はこちら

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