最後の審判 14作品 ― 天国か地獄か。世界の終末に訪れる、全人類への神の審判 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

最後の審判 14作品 ― 天国か地獄か。世界の終末に訪れる、全人類への神の審判

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 「最後の審判」という言葉はゲームや本で聞いたことがあるのではないでしょうか。
 最後の審判はキリスト教を筆頭に、ある種の宗教が持つ終末論的観念で、世界の終焉が訪れて破滅した後に神が降臨し、全人類の罪を神が審判し、天国か地獄行きか決めるという信仰です。すべての死者が墓から蘇り、天使ミカエルの天秤によって罪を図られるのです。天国行きの者は楽園で永遠の生と喜びを約束され、地獄行きの者は永遠の苦痛を与えられます。生前に罪を犯しているか否かで判定されるので、中世の人びとはどうにかして天国へ行きたいと、様々な努力を行いました。
 画家たちも最後の審判に多大な興味を示し、多くの画家が作品を残しています。大体の作品が中央に神、左に天国、右に地獄の構図になっています。
 では、神の審判である作品、14点を見ていきましょう。

 

「ロヒール・ファン・デル・ウェイデン 15世紀」
美しい祭壇画。神とミカエルの両側に使徒や聖人たちが囲み、
ミカエルは天秤を持ち、墓から出て来た人間の魂の重さを図っています。
→ ウェイデンの絵画をもっと見たい方はこちら

「ハンス・メムリンク作 15世紀」
こちらもミカエルと神が美しい祭壇画。
魂が軽いと判定された人々は地獄へ送られます。
→ メムリンクの絵画をもっと見たい方はこちら


「フラ・アンジェリコ作  1432‐1435年」
真ん中の棺を境に人間の行方が真っ二つに分かれています。
右下ではルシファーのような悪魔が人間を喰らっています。

「ジョット・ディ・ボンドーネ作 14世紀」
スクロヴェーニ礼拝堂の壁画。
教会の礼拝を終えて帰り道にこれが見えるので、信仰者は
「ああ、善行を積まなきゃ・・・」と思うのです。
→ ジョットの絵画をもっと見たい方はこちら

「シュテファン・ロッホナー 15世紀」
悪魔と天使が人間の引っぱりあっこをしています。
悪魔の目がつぶらでずんぐりむっくりで、可愛らしく見えます。

「作者不詳 17世紀のイコン」
悪魔の口の中が地獄の入口という絵画もしばしばあります。
→ 地獄の口 ヘルマウスについて知りたい方はこちら

「ヒエロニムス・ボス派作 15-16世紀」
つい最近までボス作と思われていた作品。
ほとんどが地獄状態で、天国へ行ける者はごくわずか。
→ ボス派やボス工房の絵画をもっと見たい方はこちら

「ヒエロニムス・ボス作 16世紀」
こちらはボス真作。左側が楽園追放で、地獄行きの者が大半です。
一説には天国へ行けるのは、三万人に二人とされていたり・・・。
→ ボスの絵画をもっと見たい方はこちら

「ヤン・ファン・エイク作 15世紀」
祭壇画の扉絵右側。壮大なスケールの最後の審判です。
骸骨さんが区切りとなって地獄行き。怪物がひしめいています。
→ ファン・エイクの絵画をもっと見たい方はこちら

「ルーカス・クラナッハ 16世紀」
穴の奥が地獄で、天国は天界だから雲で囲う。
なるほど!といえる構図。世界観もシンボルで表すとこうなるんですね。

「ミケランジェロ・ブオナローティ作 16世紀」
知らない人はいない超有名作品。最初は丸裸で描いたため、
後からダニエレ・ダ・ヴォルテッラという人が布を書き足しました。
それ故彼は「ズボン作り」というあだ名が付いたとか・・・。

「ティントレット作 16世紀」
人間の躍動感が半端ないです。オレンジパンツのミカエルの
ポーズが格好が凄い。マニエリスムを受け継いでいるだけありますね。

「ピーテル・パウル・ルーベンス作 17世紀」
ルーベンスと聞くとネロを思い出す私。
結構豊満な肉体なんですよね、ルーベンス。でも、嫌いじゃないです。

「ウィリアム・ブ
レイク作 18世紀」
幻想画家ブレイクの最後の審判はやっぱり個性的。
一目見ただけで分かるので、そんな強烈な画風が欲しいです。

 同じモチーフでも時代や作者によってこんなに違うんですね。半々に分かれている絵画もあれば、大半の者が地獄行きの絵画も・・・。でも、天国行きが多めの絵画はあまりないように思います。(ルーベンスの絵はそれっぽいですが)昔の画家たちも、人間の性というものを理解してらっしゃいますね。真面目に生きる人生は難しいです。

ヨハネの黙示録の絵画を見たい方はこちら

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 地獄の咎人エス・ノト 怒りの日様へ
    こんばんは^^
    「怒りの日」は短いながらも終末の到来の恐ろしさをありありと物語っていますよね。
    800年間歌われ編曲され続けている事に、最後の審判の影響力の強さを感じます。

  2. 地獄の咎人エス・ノト 怒りの日 より:

    ディエス・イレ、その日は
    ダビデとシビュラの預言のとうり
    世界が灰燼に帰す日
    大いなる審判者が降臨し
    世界の全てが無慈悲に裁かれる時
    その裁きはどれほど恐ろしいものであろうか

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