中世ルネサンス時代、地獄の入口は悪魔(怪物)の口の中にあるとされていました。
「Hell mouth」や「Mouth of hell」などと呼ばれているこの口は、蛇だったりドラゴンだったり、哺乳類系だったりと、作者の想像で姿が様々に変わりました。不気味なのもあれば、きもかわいい顔もあります。中には二つ、三つと顔の数が多いものもあります。一説にはアングロサクソン人(北欧系民族)の宗教、文化が入り混じり、このヘルマウスが生まれたとされています。フェンリルに呑み込まれるオーディンのイメージが、キリスト教に流入した為でしょうか。また、旧約聖書の怪物リヴァイアサンやギリシア神話のケルベロスの影響も考察されていました。(wikiより)
シュールな地獄の入り口、ヘルマウスの作品10点をご覧ください。
「作者不詳 13世紀の細密画」
日本の狛犬やシーサーにちょっと近いヘルマウス。
死者が地獄に招かれ、天使が怪物を槍で退治しています。
「教会壁画 Georgios Klontzas より 16世紀」
最後の審判を描いた作品。神の審判によって地獄へ連れていかれる
罪人たちが、怪物の口の中へ入っていきます。
「写本 Livre de la Vigne nostre Seigneur より 1450₋70年」
顔が二つあるヘルマウス。ケンタウロスのような怪物を中心に、
罪人を苛んでいます。男性がキリスト顔にみえてしまうのは私だけ?すみません。
「イングランド写本 Winchester Psalter より 12世紀」
横に大口を開けている不気味なヘルマウス。
左の天使さんが鍵を管理しています。
歯が犬歯じゃなくて臼歯だから、一層気持ち悪く見えます。
「13世紀写本 ヨハネの黙示録より」
顔がトリプルなヘルマウス。押し合いへし合いしつつ、
内部の地獄は怪物でいっぱいになっております。
「ハンス・メムリンク作 1485年」
魚類かドラゴンを思わせるヘルマウス。
悪魔が口の中に罪人を踏んで押し込んでいます。
「写本 Cod.I.3.2.IV (Further Bibel Bd. 2) より 1468-1472年」
目から口から地獄の炎が噴出している蛇型のヘルマウス。
死神さんも目からビームを出しています。
「写本 The Hours of Catherine of Cleves より 1440年頃」
顔の中に顔がくっついている、愛嬌ある様相のヘルマウス。
要塞が建てられ、ヘルマウスが地獄の門としての役割となっています。
「写本 Thomas de Saluces より 1403₋04年」
まつ毛がいっぱいで鼻息噴出で、ちょっときもかわいい・・・!
中にいる亡者たちも、心なしか愉快そうに見えるような。
「写本Lancelot en prose. Français 113 より 15世紀」
こちらもきもかわいいヘルマウス。キリストの辺獄降下の挿絵で、
未洗礼の者がキリストによって助け出されています。
→ キリストの辺獄降下について知りたい方はこちら
「写本不明 中世時代」
固定されておらず、空間に浮かんでいるという斬新なヘルマウス。
きっと、地獄は亜空間なのでしょう・・・。
現代においてもヘルマウスは存続しています。イングランドのテーマパーク「blackgang Chine」というところに行くと、愛嬌あるヘルマウスに会うことができます。中世時代において、ヘルマウスは地獄に直結する恐怖の存在だったと思います。しかし、現代では子供たちに怖がられつつも親しまれる、エンターテイメントな存在に変身しました。
「blackgang Chine」では恐竜や深海など、古代の匂いが漂うイベントを多くやっているようです。気になる・・・。もしイングランドに行く機会がありましたら、訪れてみるのも良いかもしれません。
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