生と死 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

生と死

近世・近代

近代のメメント・モリの絵画11点。多種多様で奥深き、死を想えの思想【第三弾】

ラテン語で死を想えという意味の「メメント・モリ」。 この言葉は古代ローマの時代から使われており、はじめは「死があるのだから、今を楽しもう」というポジティヴな内容でしたが、キリスト教の天国と地獄の思想が普及するにつれ、「徳を積みたまえ。死ぬ前...
中世・ルネサンス

三人の生者と三人の死者の絵画10点。死が運命を告げる、メメント・モリの一種

ある日、貴族(権威者)は蓋の空いた棺を見つける。その棺から三人の死者が現れ、私は教皇、枢機卿、法律家だったと言い、彼等はこう厳かに告げる。「君達も私達のようになる運命だ」とー・・・。 この物語は「死の勝利」や「死の舞踏」と同様に、「メメント...
歴史

決闘(一騎打ち)の絵画13点。プライドや愛を守るため、命運を賭けた二者の激闘

決闘は決められたルールのもと、二人が武器を使って命を賭けて戦い合うことです。 はじまりはゲルマン民族の伝統とされており、6世紀頃には制度となっていました。法律では解決できなかった事件や、名誉挽回の為に決闘を申し込んだのでした。時代や国により...
歴史

解剖についての絵画13点。大学や病院で人体を用いて解剖を学ぶ研究者たちの姿

中世の時代、人間は神が創造した存在だから人間が勝手にいじってはならぬ、という思想であったので解剖や手術はほとんど行われませんでした。しかし、ルネサンスが興るにつれ、人体について興味を抱いた者が解剖を行うようになります。かのレオナルド・ダ・ヴ...
絵画

メメント・モリの絵画13点。死を想えという意味の、死の象徴に満ちた主題【第二弾】

ラテン語で「死を想え」という意味である「メメント・モリ」。 人の生はいつかは終わる。それを忘れるなという警句としての意味を含んでいます。このメメント・モリのテーマは多くの画家や彫刻家、小説家に愛され、沢山の作品が世に生み出されています。もう...
生と死

アルカディアの絵画12点。ギリシャの牧歌的な土地を夢見た楽園。しかし理想郷は…

アルカディアはギリシャのペロポネソス半島の中央に位置する地域名であり、後に楽園やユートピアであるという伝承が広まり、理想郷を指す言葉として使われるようになりました。名称はリュカオンの娘カリストとゼウスの息子であるアルカスに由来します。(小熊...
生と死

西洋キリスト教の地獄の絵画12選。悪魔は罪人を捕らえ、永遠に責め苦を与える

キリスト教における地獄は、生前罪を犯した者へ罰を与える場所です。 英語の「ヘル」は北欧神話の冥界を総べる女神ヘルから由来していますが、地獄は神話における冥界とは異なり、悪魔が罪人を酷く拷問し、責め苦を与えています。地獄へ落ちた者は天界へは決...
絵画

メランコリア(憂鬱気質)の絵画12点。暗く沈んだ感情は、芸術創造の根源とされる

メランコリーは日本語で「憂鬱(ゆううつ)」であり、気分が優れない落ち込んだ気分のことを指しますが、メランコリアは古代ギリシア医学の学説「四体液説」に由来します。 四体液説は「人体は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つで構成される」という考え方で...
生と死

蠅(はえ)が描かれた絵画12点。だまし絵の技法や腐敗の象徴として登場する虫

蠅(はえ)は西洋絵画において、様々な用途、用法で描かれてきました。 老廃物や腐敗物などに蠅はたかり人に害を及ぼすので、蠅は当時においても嫌われた存在でした。中世絵画や虚しさを表す静物画「ヴァニタス」において、蠅は腐敗や死の象徴として、髑髏や...
絵画

【作品13点】半分人間で半分骸骨。絵画や彫刻で流行った、メメント・モリの一形態

メメント・モリはラテン語で「死を忘れるな」という意味の、宗教、美術的スローガンです。 始まりはローマ時代とされていますが、キリスト教が普及するようなってから、このスローガンは重要視され、様々な作品形態が生まれました。それはヴァニタスであった...
絵画

「生首」の絵画12選。サロメにユディトにダヴィデ、聖人など悲惨な話の場面をご紹介

人体から切り離された首を「生首」と私たちは呼んでいます。 首は古代では勝利の象徴となっており、戦場で将軍を討ち取ったかが分かるように、首を斬り落として自国へ持ち帰った事が由来となります。絵画における生首の登場は、「旧約聖書」「(ギリシア)神...
絵画

死と乙女の絵画10選。生と死は美と醜の対ともなり、美女でもいずれは朽ち果てる

メメント・モリ(死を想え) の一形態の中で、「死と乙女」というテーマがあります。 死と乙女は骸骨と美女を共に描いた作品のことを指し、中世から現代までの長い間表現されてきました。骸骨は死、美女は生を象徴し、どんなに綺麗な者でも死は逃れられない...
生と死

中世の墓標トランジの彫刻11点。骸骨や腐乱死体の像を彫刻した、メメントモリの一体系

トランジは朽ちた遺体や骸骨をモチーフとした彫刻、レリーフであり、中世時代の権力者の墓標に用いられました。 現代の私達の感覚からしたら、墓石の像は美しく作って欲しいと願うものですが、中世の人々の考えは違いました。「肉体はいずれ朽ちるもの。現世...
絵画

上機嫌な死神の絵画 12選。死神は満面の笑みで語る―死は避けられない定めだと

死の象徴である死神は、西洋において大量に描かれたり作られたりしたモチーフです。 中世ルネサンス、バロック時代は戦争や疫病、魔女狩りなど、常に死を隣に感じているような時代でした。死に関する主題は、メメント・モリ(死を想え)、死の舞踏、死の勝利...
生と死

死の天使の絵画9点。人の死の間際に現われ、魂を導く存在。さぁ、刻が来ました…

死の天使は死に瀕した人々の前に現われ、魂を天へ導く役目を担った存在です。 死神とよく似た存在で、両者は同一視されている部分もありますが、死神は死を擬人化したもので、死の天使は神の御使いとしての魂の導き手です。天使にはそういった側面もあり、有...
歴史

ペストの恐怖の絵画9点。中世で蔓延した黒死病は、横たわる死者の群れを生む

ペストは黒死病とも呼ばれ、人の体内にペスト菌が入り込む事によって発症します。ペストに感染すると、リンパ腺が腫れてりんごほどにも膨れ上がり、身体中に青黒い斑点が多数現われます。激しい高熱に苦しんで意識不明となり、発病から3日後には、黒紫色に変...
画家

廃墟を描き続けた画家モンス・デジデリオの絵画9選。迫りくる世界崩壊を幻視した者

崩れゆく聖堂に、朽ち果てた廃墟。白く浮かび上がる彫刻群は白々しく鑑賞者を見据える。燃え上る業火はすべてを焼き払い、世界を灰塵に帰す・・・。これが、モンス・デジデリオの作品イメージです。とにかく崩壊していく建物、廃墟の作品が多く、このような幻...
生と死

最後の審判 14作品 ― 天国か地獄か。世界の終末に訪れる、全人類への神の審判

「最後の審判」という言葉はゲームや本で聞いたことがあるのではないでしょうか。 最後の審判はキリスト教を筆頭に、ある種の宗教が持つ終末論的観念で、世界の終焉が訪れて破滅した後に神が降臨し、全人類の罪を神が審判し、天国か地獄行きか決めるという信...
絵画

ヴァニタス13点 ― 世は静物画のように虚しい。髑髏や果物等の象徴を描いた絵画

ヴァニタスはラテン語で「空虚」という意味であり、人生の虚しさ、虚栄の無意味さを静物画で表した寓意作品のことを指します。16~17世紀の北ヨーロッパ(フランドルやネーデルラント)で盛んに描かれ、多大な影響を周囲に与えました。描かれる静物は頭蓋...
絵画

【絵画10点】 死の舞踏と死の勝利 ― 恐怖に染まった狂気の民衆は、仄暗い街で踊る

死の舞踏は14~15世紀の中世末期の西洋で広まった寓話、もしくは美術的様式です。 有名な呼び名ですと「ダンス・マカブル(フランス語)」があります。諸説ありますが、14世紀のフランス詩に「死の恐怖に人々が半狂乱になって踊り狂う」という一説があ...