死と乙女の絵画10選。生と死は美と醜の対ともなり、美女でもいずれは朽ち果てる | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

死と乙女の絵画10選。生と死は美と醜の対ともなり、美女でもいずれは朽ち果てる

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 メメント・モリ(死を想え) の一形態の中で、「死と乙女」というテーマがあります。
 死と乙女は骸骨と美女を共に描いた作品のことを指し、中世から現代までの長い間表現されてきました。骸骨は死、美女は生を象徴し、どんなに綺麗な者でも死は逃れられないというメッセージが含まれています。また、生死は美醜ともあてはめられ、男女関係といったテーマも含まれており、死の支配と、男性社会における女性支配を双対的に表しているように思います。
 死と乙女の絵画10点をご覧ください。

 

「Hans Baldburg Grien 作  1517年」
どんなに美しい顔をしていても、死の砂時計にからめとられてしまえば
みな同じ。老いが刻々と迫っています。

「Hans Baldburg Grien 作  16世紀」
砂時計を持つ骨ばった死が、乙女の腕を掴んで離しません。
どんなに逃げようとしても、決して逃れられないのです。

「Hans Baldung Grien 作  1539年」
グリーンさん三枚目の作品。
足元にいる赤ん坊、乙女、老婆、死と、人生の流れを描いており、
老婆は乙女の肩と服を掴み、こちら側に引きずり込もうとしています。
1539 - Hans Baldung Grien

「作者不明 16-17世紀?」
身体を半分骨に表すのも、メメント・モリの一形態として流行りました。
服装ごと真っ二つに分けられ、肉体が儚いものだと伝えています。

「Niklaus Manuel Deutsch 作  1516年」
まぁ、なんてお下品な!こういったお下品な表現も「死と乙女」の
絵画によく見られました。死も下心があるんでしょうか・・・(ぇ

「Jacopo Ligozzi 作  1587年」
物欲一杯の女性の背後に忍び寄る死神。
お金やアクセサリーを集めていても、あの世へは持っていけません。

「Guido Cagnacci 作   17世紀」
頭上にあるウロボロスの印を見上げる女性。それは「不老不死、再生と死」を
象徴しています。万人に訪れる死を回避することは、人間の永遠の夢でもあります。

「Adolf Hering 作  1900年頃」
ケシと思われる花を持った女性が、生を終えようとしています。
ケシの象徴は「永遠の眠り」。美しいお花畑が一層悲しみを帯びます。

「ニコラス・カルマコフ作  1910年」
槍を持って甲冑に身を包み、声高らかに大笑いをする死神。
足元には許しを乞おうとするかのような美女が。ゲームに出てきそうな感じですね。

「エゴン・シーレ作  1915年」
死を象徴するシーレと、その愛人である女性。
シーレの心の闇の深さが分かる作品です。
→ 2017年公開のシーレの映画「死と乙女」について知りたい方はこちら

 死と乙女のテーマは美術だけではなく、音楽界でも取り上げられています。最も有名なのはシューベルトの作品「死と乙女」で、重病の乙女と、死神の会話を表しています。詩はマティアス・クラウディウスによるものです。乙女は死を怖がって連れていかないよう懇願しますが、「苦しませる為ではなく、安息を与えに来た」と死神は説明し、最期はそれを受け入れます。
 可憐な花びらが散ってしまうように、乙女は儚さも象徴しております。死の舞踏やヴァニタスも死についての深いメッセージがありますが、死と乙女の作品はメメント・モリの主題のまた違った部分をうがっているように思います。

→ メメント・モリについての絵画を見たい方はこちら
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