絵画11点!ギリシャ神話の英雄ペルセウスが、アンドロメダを怪物から救出する瞬間 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

絵画11点!ギリシャ神話の英雄ペルセウスが、アンドロメダを怪物から救出する瞬間

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 ペルセウスは主神ゼウスとアルゴス王女のダナエとの間に生まれた子です。アルゴス王に捨てられたものの、命拾いをしてたくましく成長しました。
 成り行き上ペルセウスは怪物メデューサの首を斬り落として倒し、その首を袋に入れてエチオピア国の上空を飛んでいました。すると、美女が岩に括りつけられているではありませんか。ペルセウスが国に入って王に事情を聞いてみると、王妃カシオペアが「私は海の乙女ニュムペーよりも美しい」と豪語した為に、海神ポセイドンが怒って怪物ケートスを国に放ったそう。そして、大暴れする怪物を鎮めるために、娘のアンドロメダが生贄に捧げられる事となったらしい。ペルセウスは「彼女を妻にくれるなら助けてもいいよ」と持ち掛け、王は即座にOKを出しました。
 その間に海の怪物が現れ、アンドロメダがまさに喰われようとしています。ペルセウスは怪物に飛び掛かって剣を突き刺し、激しい決闘になりました。そして、彼がメデューサの首を突き付けると、怪物は石化してしまいました。こうしてアンドロメダは助け出され、ペルセウスの妻となったと言われています。
 怯えるアンドロメダと颯爽と現れて怪物と戦うペルセウス。ネタの作品を交えながら、絵画11点をご覧ください。

 

「ジローラモ・ダ・カルピ作  16世紀」
怪物ケートスとアンドロメダの元へ、ペガサスに乗りながら
颯爽とやって来る影が。その男の名はペルセウス!

「フレデリック・レイトン作  1891年」
「これでもくらえ!」
上空から矢を放ちましたが、まったく利いた様子はありません。
愛しのアンドロメダは今にも怪物に喰われてしまいそうです。

「フランソワ・ルモワーヌ作  1723年」
「俺に任せろっ!」ペルセウスは怪物に飛び掛かります。
メデューサの血から生まれたペガサスに乗る絵画と、
ヘルメスから借りた翼のサンダルを描いた絵画の二種類があります。

「シャルル・アンドレ・ヴァン・ルー作  18世紀」
「これでどうだ!」メデューサの首の盾でごちん!
生首は盾に取り付けられ、アテネに捧げられたとされています。
物語によって時系列が異なり、アンドロメダ救出の時に
まだ袋に入っている段階と盾の段階と二種類あります。

「ピエロ・ディ・コジモ作  16世紀前半」
「やあっ、とうっ!」これは異時同図法になっており、
エチオピアの人々悲しむ左下、ペルセウス飛んでくる右上、
戦う中央、救出右下といった感じになっています。

拡大図。
怪物の背中の傷や鼻息など、結構緻密に描いております。

「ローマのアウグストゥス邸の壁画  1世紀」
「これでどうだ!」
ちっちゃ!壁画なので人物のアップを控えたのでしょうか。
これも中央と右側で二つのシーンが入っております。

「パリの彩色写本  1410-1414年」
ペルセウスが全身甲冑で、武器は鎌。
鎌はヘルメスからもらったという逸話がありますが、
ギリシア神話が完全に中世騎士物語になっています。

「クリスティーヌ・ド・ピザンの書籍挿絵  1450-1475年」
ぺ、ぺ、ペガサス!口からなんか汁出してます!
目がイっちゃってるし、甲冑ペルセウスより気になるペガサス。

「Abraham van Cuylenborch 作  17世紀」
アンドロメダさん暇そう!あーだりぃとか言ってそうです。
ペルセウスの戦いが長引いているんでしょうかね。

「ティツィアーノの追随者作  16-17世紀?」
アンドロメダさん、完全にリラックスしてる!
縛られてても余裕の笑みを浮かべている・・・恐ろしい人だ。

「アントン・ラファエル・メングス作  18世紀」
そんなこんなで怪物を倒し、彼女を救出しました。
「ありがとうペルセウス。私、あなたと結婚する!」
天使が意味ありげな視線を投げかけています。その真意やいかに・・・。

 ふざけてしまい失礼しました。
 アンドロメダの姿がバリバリ白人で描かれておりますが、エチオピアの王女という事は黒人であったと思います。ミルトンもそう考え「英知に秀でた黒く美しい女性」とアンドロメダのことを詩に書いています。当時の画家もエチオピアがアフリカにあるのは分かっていたと思うので、わざと白人に描いたのでしょう。白人主義が現れているなぁと感じました。(ここまで書いて、wikiで言及されているのに気付きました)

→ メデューサの絵画を見たい方はこちら
→ ペルセウスが恋敵を石化させる絵画を見たい方はこちら

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    「孫によって殺される」という神託を受けて、アルゴス王は神の子であっても平静ではいられなかったのでしょう。
    ペルセウスはヘルメス神から翼のあるサンダルを授けられ、それを使って空を飛んでいます。
    神話によるとペルセウスはサンダルを履いて戦っており、ペガサスに乗って戦うという場面はないみたいです。
    メデューサの流血からペガサスは生じたとされており、その関連性によりペルセウスがペガサスに乗る絵画が描かれたのではないかと思います。
    「きゃー助けて!」という絵画ばかりかと思いきや、フリーダムなアンドロメダさんがいますよね^^;
    画家のお茶目によるものなのか、「女性は強し」というメッセージなのか…。
    絵画は興味深いです(笑)

  2. 季節風 より:

    ゼウスの息子を捨てる祖父って怖いもの知らずです。でもペルセウスは流石にゼウスの息子だけあって強いですね。ペガサスに乗ってない絵画でも飛んでいるように見えるのは半分神だからでしょうか。
    怪物と格闘しているペルセウスを「だりぃ」と思いながら見ている全然縛られてないアンドロメダさんに驚きました。アンドロメダという名前もゴージャス感あります。

  3. 管理人:扉園 より:

     >> ふいちゃったので様へ
    この記事はかなりふざけています(笑)
    ツッコミどころのある作品があるのも絵画の醍醐味かもしれませんねw
    この作品はティツィアーノの追随者の作品なので、ティツィアーノのダナエのポーズを真似て描いた可能性がありますね。本当に身体の向きとか手足の場所とかそっくりです…。
    私はまだ「タイタンの戦い」しか観ていません。
    結構私は映画で神話のシーンを再現して欲しい!と思うタイプなので、話が見当違いな方向へ行くと悲しくなってきます…。
    はじめから全く違うと思えるものは楽しく観れますがw
    次はペルセウスが題材なんですね^^
    短期間で物語が浮かんで書けるなんて凄いです。
    こんなはっちゃけた記事で良ければ、どんどん覗いてください(笑)

  4. ふいちゃったので より:

    「あーだりぃ」にふいちゃいましたw
    ティツィアーノのアンドロメダさん、別の記事で見た、未来の義母ダナエさんと似てるよーな……
    同じ画家が描いたからってだけなんでしょうけど(笑)
    ペルセウスに関しては、映画で観ました。テレビ放映で。
    新しい方の『タイタンの戦い』『タイタンの逆襲』
    絵画もそうですが、神話ものの翻案はもとの話といろいろと変わっていておもしろい。
    『トロイのヘレン』なんかもいつか観てみたいなあ。
    今、あるところでペルセウスを題材に書いていて、過去の記事を覗かせてもらってます^ ^

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