ヒュラスの絵画13点。ヘラクレスの従者だったが、泉のニュムペーにさらわれた美少年 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

ヒュラスの絵画13点。ヘラクレスの従者だったが、泉のニュムペーにさらわれた美少年

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 ギリシャ神話に登場するヒュラスはヘラクレスに仕えていたものの、ニュムペー(ニンフ)にさらわれてしまった美少年です。
 ドリュオプス族のテイオダマース王とニュムペーのメノディケ(ケーウクスという説も)との息子。テイオダマース王は非道な性格をしていたので、ヘラクレスは王を殺して幼いヒュラスを奪い、従者として育てる事にしました。(ヘラクレス滅茶苦茶な奴ですね・・・) それでもヒュラスは立派な従者に成長します。

 しかし、アルゴ―船がキアノス島へ上陸した日に事件が起きます。ヒュラスが泉へ水を汲みに行った時、泉のニュムペー達と遭遇。ヒュラスの美しさに惚れてしまったニュムペーらは、彼を泉の中へ引きずり込んでしまったのです。ポリュペモスがヘラクレスにヒュラスが行方知れずになったことを伝え、二人は捜索をします。現地の村の人を脅迫してまで懸命の捜索をしたものの、結局発見できずにヘラクレスはその場を離れざるを得なかったのでした。こうしてヒュラスは泉のニュムペーの夫となったのです。
 美少年を泉に引きずり込む美女たちの絵画13点をご覧ください。

 

「Giuseppe Sogni 作  1843年」
「水を汲まなくちゃ。よいしょ」「何あのイケメン!超タイプなんだけど!」
と一目惚れをしてしまった泉のニュムペーたち。
普段水底にいる彼女達は、たまたまアルテミスを祀るお祭を
やる為に水面まで上がっていたのでした。

「Michael Echter 作  1812-79年」
「あの、僕お仕事があるんですが・・・」「いいじゃないの。私達と
一緒に遊びましょうよ」「泉の底は楽しいわよ~♪」と言った感じ
ですね。紫のニュムペーさんは既に黄色の彼女に嫉妬をしている
ように見えます。ヒュラスを巡って女の戦い!?

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 1849-1917年」
倒れている美少年をじーっと凝視するニュムペーさん。
水汲みをする最中に滑って転んじゃったのかな?←ぇ
よーく見ると、ニュムペーの目線がヒュラスではなく、鑑賞者へ
向けられているんです。ちょっと怖い・・・。

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 1849-1917年」
ウォーターハウスさん二枚目。こちらの方が有名な作品ですね。
一人の美少年に七名の美女がたかっています。中央の二名は
目が本気すぎて、拒否したら殺されるレベルに思えます・・・。

「ヘンリエッタ・レイ作  1859-1928年」
こちらも上記の作品を思わせる作品ですね。ただ、ニュムペーは
8名に増えています。優しく甘い言葉を掛け、迫って来る美女たち。
全く逃げられる気がしませんね。

「ハリー・モーリー作  1923年」
「たーすーけーてー!!」と悲鳴を上げたヒュラスですが、そのまま
泉の底へ引きずり込まれてしまったのでした。お尻お尻!

「フランソワ・ジェラール作  1826年」
水汲み用の壺を持ちながら、一人のニュムペーに泉へ落とされる
ヒュラス君。悲鳴をポリュペモス氏が聞いて駆けつけましたが
もぬけの殻。ヘラクレスとどんなに捜索しても無駄に終わりました。

「Pierre-Jérôme Lordon 作  1812年」
赤青黄の布が鮮やかで、陰影が強調的な作品。中央の金髪の
ニュムペーはこちらを向いており、「羨ましいでしょ?」か「貴方も
引きずり込みましょうか?」と言っているかのようですね。

「ジョシュア・クリストール作 1767-1847年」
こちらは引きずり込むというより、抱きかかえて泉へよいしょっと
運ぶニュムペーさん達。ヒュラスを大事にしている雰囲気が
感じられます。

「フランチェスコ・フリーニ作  1600-46年」
珍しくヒュラスが拒否の態度を示していますね。泉へと落ちないよう、
全力で反抗しているようです。右側では女のバトルも繰り広げられて
いるようです。「あんたより私の方がヒュラスにふさわしいわ!」という
感じなのでしょうか。ニュムペーさん達怖すぎるって・・・。

「ウィリアム・エッティ作  1787-1849年」
よってたかってヒュラスを泉へと押すニュムペー達。
右側ではヘラクレスとポリュペモスがヒュラスを捜索しているようです。
めっちゃ見える位置にいるけど、きっとニュムペーが団子状態で
見えなかったんですよね!←ぇ

「カール・フェルディナンド・ゾーン作 1805-67年」
恐がって怯えているかのようなヒュラス君。一糸まとわぬ美女が
大量に現れて泉の底へ引きずり込もうとしてくるシチュエーションは、
喜ぶべき事なのかホラーなのか・・・。

「ヘンリー・ハワード作  1769-1847年」
ヒュラスを運ぶニュムペーという題の作品。遂に空を飛翔した彼女達。
嬉しすぎて舞い上がってしまったのでしょうか。このままヒュラスは
ニュムペーの夫になりました。(一夫多妻?)
それよりも下のムキムキの男性は風神ゼピュロスなのかな?

  ギリシャ神話には本当に沢山の美少年が登場します。彼等は神やニュムペー達に愛されるものの、殆どの者は命を落としたり真意ではない展開になったりして、悲劇の存在となっております。美少年=悲劇と言っても過言ではないくらいのレベルのような気がします。やはりイケメンは薄幸というイメージが昔から定着していたのかしら・・・。他の美少年たちも以下のリンクから絵画が観られるので、良ければご覧ください^^(記事において美少年と美青年の表記がバラバラですが、気にせずにお願いします・・・)

ナルキッソス・・・自分自身に恋して衰弱死した美少年
ヒュアキントス・・・アポロンに愛されたものの円盤に当たって死んだ美少年
アドニス・・・ヴィーナスに愛されたものの猪に殺された美少年
ガニュメデス・・・鷲に変身したゼウスにさらわれた美少年
エンデュミオン・・・月の女神に愛され永遠の眠りについた美少年
ヘルマプロディトス・・・ニュムペーに愛され両性具有体となった美少年

 

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    あの人数と表情で迫ってきたら恐いですよね。
    ヒュラス君、水中で幸せになればいいのですが、彼女たちの夢中度合いを見る限り、取り合いになりそうな気がして…^^;
    ヘラクレスは、まぁあれです。
    当時は普通に男色があるので、その気があったのかなぁと思います。
    大勢の美女か、むさいおっさんか。
    ヒュラス君はどちらの人生がよかったのでしょう…。
    うーん、父殺しのおっさんより、美女の方がいいかもしれませんね^^;

  2. 季節風 より:

    扉園様、こんばんは。
    「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 1849-1917年」そっくりな美女が大勢いて怖…違う。
    ヒュラスは水中でも死なず美女たちと幸福ならそれで良かったかも。なんだかヘラクレスが一生懸命捜索している真意が測りかねるので。

  3. 管理人:扉園 より:

     >> オバタケイコ様へ
    こんばんは^^
    ウォーターハウスの美女たちは神秘と妖艶さが混ざり合い、恐ろしいけど抗いがたい魅力がありますよね。
    私のスタイルも右に同じです(;▽;)ただの円柱…。
    ニュムペー並みのスタイルは求めないから、せめて平均くらい欲しかった…!←ぇ

  4. オバタケイコ より:

    ウォーターハウスの絵がやはり魅力的ですね(*^-^*)私は主題より、この絵のニンフ達の裸体の美しさに惚れ惚れして、あぁ、こんな肉体だったら男どもを虜に出来るのに。。。などと妄想してました。(笑)
    ド貧乳の私には羨ましい限りです。あ、話しがヘンな方向に。。。

  5. 管理人:扉園 より:

    >> こんなに描かれていたとは……様へ
    こんばんは^^
    どの物語もそうですが、同じ主題なのに画家によって全然違う世界観を見せてくれるのが面白いですよね。
    もっと神話や聖書、歴史を主題にした絵画を美術館で展示して欲しいです。日本頑張って買い付けて欲しいな←
    フリーニさんの作品は闇に満ちていて印象に残りました。
    女の戦いが嵐を呼び寄せてしまったのでしょうか…^^;
    ヘラクレスだとしたら、爽やかな笑顔でヒュラスとヘラクレスを持ち上げているニュムペーさん達最強ですねw
    もしかしたら「ヒュラスはワシのものぢゃー!」と言って奪おうとしているゼウスなのかも…。なわけないですね^^;
    ジゼル、聞いたことがあります。
    精霊となった少女は男を死ぬまで躍らせ続け、力尽きたところで沼へ突き落とす…。
    女性の恨みは恐ろしいです。でも、ホラーだとしてもなんだか悲しく、切ない物語ですね。

  6. こんなに描かれていたとは…… より:

    うーん、日本はもっと、同じ画題の絵をたくさん紹介すべきですね←
    ウォーターハウスの印象が強すぎて……
    フェリーニさんの絵はなんか、雲行きがあやしいですね。まるで地獄へでも引き込まれるような……
    こんな天気の日にお祭りの儀式とは、ニュンペーさんたち御苦労さんです←そこ?
    ハワードさんのは、なんだかモローが描きそうな構図とポーズ。
    ひょっとして、ゼピュロスではなくヘラクレスが、必死にしがみついて取り返そうとしている? ……なわけないか^^;
    そういえば、ホラー的なもので女精に水に落とされるものだと、『ジゼル』というバレエがありますね。
    ドガの絵を見ていたらロマンティックバレエが見たくなって、たまたま劇場で上演情報を見つけたので観たのですが。

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