ガニュメデスはギリシャ神話に登場する、ゼウスにさらわれて神々の給士役となった美少年です。彼は初代のトロイ王トロースの子供である、イーロスとアッサラコスの兄弟とされています。
今までオリュンポスの神々の給士係は青春の女神へーベーでした。しかし、彼女はヘラクレスの妻となり、給士をやめることとなりました。(一説には神々に酌をしている時、転んでしまったからとされています) 最高神ゼウスはイーデー山で友達と遊んでいるガニュメデスを発見し、その美しい姿に惚れ込んでしまい、鷲に変身して彼をさらっていってしまったのです。天上へ連れてこられたガニュメデスは永遠の命と若さを与えられ、神々の給士係として任命される事となりました。
また、ガニュメデスはヒュアキントスやアドニス、エンデュミオン、ナルキッソスと同様に美少年の代表として扱われ、多くの画家に描かれています。中にはゼウスとの禁断の愛を描いたものも・・・。
では、ガニュメデスについての絵画14点をご覧ください。
「ベネデット・ジェンナーリ(孫)作 1633-1715年」
くりっとカールの髪形がチャーミングなガニュメデスの肖像。
手に持っているのは酒壺で、神々の給士役という事を表しており、
ガニュメデスのアトリビュートとなっています。
「Damiano Mazza 作 1575年」
ガニュメデスが友人と山で遊んでいると、突然巨大な鷲がやって来て、
彼を捕まえてさらっていってしまったのです。取り残された友人から見ると、
鳥にさらわれた彼が二度と戻ってこないとか、トラウマですよね・・・w
「Sigmund Ferdinand Ritter von Perger 作 1832年」
鷲はゼウスが変身した姿だとされていますが、使い魔だともされて
います。こちらのガニュメデスは鷲を見つめており、既に自分の身に
起きたことを受け入れているようですね。
「ウスタシュ・ル・スュール作 1644年」
こちらは逆に鷲に乗っかってしまっているかのようなガニュメデス君。
少年というより青年で、立派な体格となっております。
「アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ作 1520-40年」
鷲に捕まったというよりしがみついているガニュメデス君。
星座のわし座とみずがめ座はそれぞれゼウスの鷲と
ガニュメデスから由来しています。木星の衛星である
ガニメデも彼から由来しているとか。
「ピーテル・パウル・ルーベンス作 1636-37年」
天空高く舞い上がり、さらわれていく美少年・・・。
というか、気になってしまう。すごく気になってしまう。
ぷるんぷるんのお尻が・・・!
「ガブリエル・フェリアー作 1874年」
とても劇的に描かれたガニュメデスの拉致。
絵画によって弓や杖、矢を持っている姿で表現されているのは、
彼が山で遊んでいた=狩猟していたと考えたからでしょうかね。
「ギュスターヴ・モロー作 1886年」
遠近感を度外視し、装飾的に表現した巨匠モローの作品。
鷲が捕まえているというより、なんだか吸い付いている感じですね。
地上で犬が「飛んでるワン!?」と驚きの表情を浮かべています。
「レンブラント・ファン・レイン作 1635年」
レンブラントは他と全く異なる赤ちゃんのガニュメデス像を描きました。
手にはサクランボのような赤い実を握っており、恐怖のせいか
おもらしをしてしまっているようです。ゼウスは「将来とんでもない
美少年になる!」と未来を予期していたのでしょうかね・・・。
「リチャード・エバンス作 1822年」
鷲に酒杯をあげている、ガニュメデス少年。この子の表情は
暗く、さらわれた事に対して悲しんでいるように見えますね。
毎日毎日、神への給士の仕事も大変ですよね。しかも永遠に・・・。
「Nicolaes de Helt Stockade 作 17世紀」
・・・というガニュメデス少年から一転、この子はかなり積極的の
ようです。ルネサンスの最中の時代、このようなちょっとアブノーマルな
絵画も幾つか描かれています。年の差は数千歳と言ったところか・・・?
「クリスチャン・グリーペンケァル作 1878年」
こちらはうたたねをしているガニュメデスによりそっているゼウス様。
腐女子さんが喜びそうな図ですよね。
背後で火を持っているのはプロメテウスのようです。調べてみると、
彼はプロメテウスの息子だった!という逸話もあるようです。
「ジーン・ピア・グレンジャー作 1810年」
鷲に酒杯を捧げるセクシーすぎるガニュメデス少年。
くるくるお団子ヘアーが気になるところですが、ギリシャ彫刻に
魅せられて美少年を描こう!という画家の意気込みが感じられます。
「ニコラース・マース作 1634-93年」
ガニュメデスとしての George Bredehoff de Vicq の肖像画という
作品。残念ながらジョージ君は一体誰だかが分かりませんでした。
王家か有力貴族の息子さんのように思います。この可愛い顔なので、
将来かなりの美少年になったことでしょう。
様々なイメージや問題が飛び交う単語、「同性愛」。
神話の物語やローマ時代においては、当たり前のように行われていました。しかし、ユダヤ教やキリスト教、ヒンドゥー教は同性愛を禁止しており、キリスト教では罪悪、犯罪とまでしています。それでも歴史を通してみてみると、同性愛に関わる人物が多くおり、イタリアルネサンスに至ってはかなり横行していたようです。レオナルド・ダ・ヴィンチとかカラヴァッジョとか・・・。シェイクスピアもそうだったと噂があります。
現代においては理解が進んでおり、「同性愛」という事をオープンに出し、それに拒否反応や差別意識を持たない人が増えてきているように思います。私は相思相愛であるのなら、性別がどうであろうが全然良いと思います。傍目を気にして思い通りではない自分を演じるのは悲しい事です。人がとやかく言うのなんか気にしないで、本来の自分を出せばいいと思います。
しかし、このゼウスとガニュメデスのようなオジサン×少年は禁断の匂いがちょっとしますが・・・。まぁ、あれです。ガニュメデスが嫌ではなかったら大丈夫だと思います!
→ ヒュアキントスについての絵画を見たい方はこちら
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