古典的な絵画のモチーフは比較的決まっており、神話、聖書、寓意、静物、農民画、風景、肖像、歴史など、ある程度テーマに沿っています。中にはカリカチュア(皮肉)のような滑稽さを表した作品や、実験的な作品、遊び心のある作品もありますが、「絵画」を想像すると、どこか真面目で、すましたようなかしこまった感じのものを考えがちではないでしょうか。
そんな中で「画家の人、面白がってこれを描いたのかしら?」と思わせるような、インパクト勝負の絵画が存在します。表情やポーズ、シチュエーションなど、とにかく目立ってなんぼ!印象に残ったら勝ちです!
では、インパクトのある12点の絵画をご覧ください。寄せ集めのバラバラな感じですが、お許しください^^;
「アドリアーン・ブラウエル作 1632 – 35年」
こちらに向かって「いっー!」とおちょくる男性。
このポーズをを17世紀フランドルの男性がやるとは…!
子供が「嫌だ~!」と全力拒否するイメージが強いのですが、
同じ意味合いとして使っているのかしら?
「アゴスティーノ・カラッチ作 1557-1602年」
大口を開けている謎の男性。叫ぶ農民の男性として紹介されて
いたので、なんかの理由でシャウトしています^^;
目がどこか泳いでいるのがじわじわ来ますねw
「アゴスティーノ・カラッチの追随者作 17世紀」
大・絶・叫!
一体どんな悲痛な出来事があったのか、気になってしまいますね。
「Angelo Caroselli作 17世紀」
「きゃーーー!」と驚き絶叫するご婦人。その左側からは…!
作品はNegromante(イタリア語で降霊術師、魔術師)と紹介されて
いたので、女性は禁断の術を行い、闇なる者を呼び寄せて
しまったようです。あな恐ろしや…。
「ピエトロ・パオリーニ作 1630年」
こちらもNegromanteの作品。頭蓋骨や魔術書で術を行い、
禍々しい爪を持つ怪物がやってきています。
この後、男性の行方を知る者は誰もいなかった…。(ぇ
「ピーテル・ファン・ラール作 Self-portrait 1635-7年」
きいええええー!!という感じの絶叫顔をしている魔術師の男性。
顔のインパクトが強すぎて、魔物の手や前景のアイテムの存在が
吹っ飛びます(笑) 魔術を行って怪物の手が出る!という
シチュエーション作品が当時流行ったのかしら。
「ジャン=バティスト・グルーズ作 1755年」
ギタリストの男性。それにしても凄いポーズ^^;
「これで肖像画を描いてくれ!」と言って、必死にポーズを
する状況を想像すると、微笑ましいですね(笑)
「ルイ=レオポルド・ボワイー 1823年」
色々な変顔を書いてみた!な作品。個人的には半目で口を
全力で開ける右の女性がベストフェイス。
これでアベンジャーズを結成したら楽しそう(ぇ
「ジョゼフ・デュクルー作 1790 -2年」
しー…っと。いい表情出してます。
「ジョゼフ・デュクルー作 1790 -2年」
わあーお!!顔から手から驚きを表現!
同じモデルさんですね^^
「Pensionante del Saraceni 作 17世紀」
ザリガニにはさまれて、ぎいゃあああー!と絶叫をあげる少年。
バロック調の落ち着いた色彩の中で、この苦悶の顔。
ギャップが面白いですね^^
「アドリアーン・ブラウエル作 1640年」
インパクトのある絵画で一番に思いつく作品がこちら。
「苦い飲み物」という題で、男性が「にげえええええー!!」と
ひたすら叫んでいます。一度見たら忘れられない作品です。
「にっげえええー!」の男性。一体何を飲んでいるのでしょうか?
調べてみたところ薬だったようです。キナの木から抽出したキニーネからできている、マラリアを治す特効薬。1630年にアンデス山脈からキナの木を発見し、その後ヨーロッパへ大量へ運ばれ、マラリアの薬だけではなく解熱剤として用いられていたそうです。おそらくですが、この男性は解熱の為にヨーロッパに輸入されたばかりのキニーネの薬を飲んだのだと思います。
ただ、この薬はめちゃくちゃ苦いだけではなく、副作用があったそうで、頭痛やめまい、吐き気や発疹などを引き起こしてしまうとか。熱やマラリアに効くとしても、副作用があるの
はきついですね…。
インパクトの為にノリで掲載してしまいましたが、なんだか申し訳ない気持ちになってきました…。目立ってなんぼ!とか言ってすみません^^;熱を出して副作用付きの超苦い薬を飲んだら、全力で「にげえええー!」と叫びたくなりますよね。当時の人々の苦労が偲ばれます。
その後、彼がすこぶる元気になったことを祈ります…。
こちらのサイトを参考にして調べさせていただきました!
→ The Bitter Potion | artble.com
【 コメント 】
>> オバタケイコ様へ
青年自身が不思議なポーズを望んだのか、画家さんの希望であんなポーズになっちゃったのか。
二人のやり取りを想像するだけでも、ほっこりしちゃいます^^
変顔アベンジャーズ(?)は画家さんの習作だとしても、ぜひとも映画のポスターになっていただきたい!(笑)
愛と勇気と希望がみっちり詰まった、コメディ&ハートフルストーリーとなるはず…!?
>> 美術を愛する人様へ
数百年前の方々が身近に感じられていいですよね^^
どれもインパクトありますね~。
ギタリストの青年、何故このポーズで?と思いますよね。
「ルイ=レオポルド・ボワイー」のイラストも本当に面白い!上手くてう~ん、と唸っちゃいます。
生きてる人って感じでどれもすごい好き😊
>> 美術を愛する人様へ
この作品もインパクトと個性が輝いてますね!
2018年のプラド美術館展には行きそびれてしまったので、実物のカメラ目線の巨大ナイスガイ頭部を見たかったなぁ…。
この作品、王宮の女王の部屋の前に飾られていたそう。
象徴的な意味合いなのか、警備の為か、お茶目で描いたのか…。インパクトのある作品であればあるほど、描いた理由を想像するのが楽しいですよね^^
私が衝撃を受けた顔は2018年に国立西洋美術館で開かれた『プラド美術館展』に展示された『巨大な男性頭部』です。
人の背丈よりも大きなキャンバスに男性の顔だけが描かれていて、意味も目的もさっぱりわかりませんでした。何よりも莫大な労力と絵具代をかけてなぜこんなものを描いたのか謎でした。