おいで子供たち。町の子を連れて消えてゆく、ハーメルンの笛吹き男の絵画10点 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

おいで子供たち。町の子を連れて消えてゆく、ハーメルンの笛吹き男の絵画10点

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 ハーメルンの笛吹き男は、1284年にドイツの町で起こったとされる出来事が伝承になったものです。
 昔々、ハーメルンという町でネズミが大増殖をし、人々は酷く困っていました。そこへ、カラフルな衣装を着て笛を持った男が現れ「報酬をいただけるのなら、問題解決しましょう」と言ったので、町の人々は喜んで承諾しました。男が笛を吹くと、なんと大量のネズミが集まってくるではありませんか。笛吹き男が川の方へ歩いていくと、ネズミは一匹残らず川へ落ちてしまいました。
 しかし、ハーメルンの人々は約束を破り、報酬を払いませんでした。男は何も言わずに姿を消したものの、6月26日に再び姿を現し、笛を吹きながら町を歩きまわりました。すると、家の中から次々と子供たちが現れ、男の後をついていきました。130名の子供たちはそのまま笛吹き男の後ろへ続き、忽然と姿を消してしまったのです。
 このミステリアスな伝承は700年以上に渡って語り告がれ、多くの芸術を生み出しました。ハーメルンの笛吹き男を描いた絵画(イラスト)を10点ご紹介いたします。

 

「アウグスティン・フォン・メルペルク作  1592年」

起源は様々な説があり、子供がいなくなった要因は自然災害説、徴兵説、
移住説、売買説などが伝えられています。現在でも真実は分かっていません。

「Jutta Assel と Georg Jäger 作  
男が笛を吹くと、ネズミがわらわらわら~と大量出現。
当時はペストなどの流行病が深刻でしたから、ネズミは病気を媒介する恐ろしい存在でした。

「Anton Pieck 作  1940年」
ネズミ巨大すぎる・・・!こんな怪物ネズミが町にはびこっていたら、
人間が喰われるという新たなアウトブレイクが(違

「ケイト・グリーナウェイ作   1888年」
あのグリム兄弟もこの民間伝承を記録した一人だとか。
語り部によって物語は万華鏡のように変わり、
ハーメルンの笛吹き男は様々なバリエーションが知られています。

「フランシズ・ブランデージ作  19世紀後半-20世紀前半」
子供たちは楽しそうに彼の周りへ集まっています。
物語は「付いて行く」とだけとされていますが、時代が経るにつれて
子供向けの話に改編されるようになりました。

「エロール・ル・カイン作  20世紀後半」
子供たちはぞろぞろと男の後についてゆきます。
これは絵本の挿絵であり、下記にこの絵本を紹介しております。

「ワーウィック・ゴブル作  19世紀後半-20世紀前半」
ドヤ顔で笛を吹く男。この挿絵の子供たちの目が冷え切っていて、
個人的に面白い作品です。

「エレナー・フォーテスキュー・ブリックデール作   1909年」
ハーメルンの笛吹きはあからさまに道化の様相をしています。
町の人々から見たら、町を回っている旅芸人は信用ならない
不気味な人物として映っていたのかもしれません。
→ 道化師について詳しく知りたい方はこちら

「エリザベス・フォーブス作  19世紀後半-20世紀前半」
物語によって彼等は山腹のほら穴へ入っていき、穴は岩でふさがれ、
二度と戻ってこなかったとされています。
左寄りの人が、子供じゃないようにみえる・・・。

「James Elder Christie 作  1881年」
笛吹き男に連れられ、子供たちは永遠に幸せな楽園へ行ったのか、
それとも・・・。

 「その後、行方が分かりませんでした」というミステリアスな物語に心を惹かれます。フィクションだけではなく、長年分かっていない未解決事件や物事は、この世に沢山あります。切り裂きジャック(犯人は推測されていますが)しかり、キリストの聖骸布しかり、バミューダトライアングルしかり、オーパーツしかり。現代においてはマレーシア航空機の行方不明もあります。被害者のことを思うと早く解決して欲しいですが、真実が分かるのは難しいかもしれません。
 ハーメルンの笛吹き男は700年以上経った今でも、事件が特定されていません。謎があるから物語は魅力に感じるのだと私は思います。きっとこれからも不明のままで、この物語は多くの人を魅了し続けるのでしょう。 

現代まで続くハーメルンの笛吹き男の風習。
写真はヴェーザーベルクラント都市で行われたチャリティー目的のイベント。
< 画像元 > © DPA

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    こんばんは^^
    西洋画で「富の寓意」という、女性の天使が子供を抱きかかえ足元に金貨が置かれている作品があり、「本当の富はお金より子供」という意味が込められています。
    ハーメルンの住人は富ではない「お金」を渋った為に、本当の富である「子供」を連れ去られてしまったという寓話のようにも感じられますね。
    だとしたら、笛吹き男は単なる道化ではなく、神の使いにも匹敵するような存在のようにも思えます。
    個人的には子供達は汚れた大人から解放され、立派な場所で育てられて正直で素直な大人になっていて欲しいです^^

  2. 季節風 より:

    ネズミを退治してくれた町の恩人に約束のお金を払わず侮辱したのですから酷い話です。この笛吹き男はただの人間ではないのでしょうから町の人達は罰を受けたのだと思います。この町の大人たちは小さな我が子をほったらかしにしていたのではという疑いも感じます。
    子供向けの話に改編されてくると絵も楽しい感じになりますね。

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