「日展」は日本美術展覧会の略称で、明治40年から始まった由緒ある大規模な展覧会です。
現在、愛知県美術館ギャラリー8階にて「日展 東海展」が行われていたので、行ってきました!この展覧会は2017年2月12日(日)まで行われております。また、この後「日展 大阪展」が2017年2月18日(土)~3月20日(月)の間、大阪市立美術館で開催され、「日展 富山展」が2017年4月15日(土)~5月7日(日)の間、富山県民会館美術館で開催されます。
行ってみての感想と、入選点数の考察を書かせていただきます。
こちらが愛知県美術館。
名古屋の栄にあるオアシス21から、すぐのところにあります。
日展は日本画、洋画、彫刻、工芸、書道の5部門に分かれております。
今回の展覧会は巡回作品と、東海の入選作品を合わせて約600作品が展示されています。
入場料は大人1000円。前売り券は800円で、HPについている
クーポン券を印刷すれば900円で入場できます。
日展の存在は知っていましたが、展覧会に行ったのは始めてでした。私自身美術をやっている者なので、将来日展に出展してみたいなと思い、勉強のつもりで行きました。工芸や書道は全くの門外漢となりますので、絵画以外は言及しない事はご了承ください。
一番の感想としては、いい作品もあるけど普通の作品が多かったように思う。でした。
油絵で用いられていた技法はバロック、点描画、印象派、スーパーリアリズムと様々でした。技法はとても勉強になりました。技術的には高いレベルの人がやはり多いです。布の質感や光源、背景のぼかしや色調など学ぶべきところが沢山でした。中には・・・ん?という作品もありましたが。絵画の技術ってよく分からない部分もあるんですよね。難しいです。
描かれたモチーフは「静物画(花や野菜、潜水帽)」「人物画(女人が多い)」「風景画(日本と海外)」が主でした。私の想像としてはもっとバリエーションがあって、画家の思い、苦悩全てをぶつけるような作品があると思っていました。しかし、圧倒的に綺麗な作品が多い。中には考えさせられる作品もありますが、優等生な作品が目立つように思いました。
個人的な好みを言わせてもらうと、物語性、象徴性のある作品や神話的作品がもっと欲しかった!幻想的な作品はあっても、人間の心の闇を描いた作品は少ない。怪物画なんて誰もいませんでした・・・。東海展のみを見たので他県の入選作品にはあるかもしれませんが、なんだか似たり寄ったりな印象が拭えませんでした。
印象に残った作品は豚を肥大した欲望に見立てた作品(日本画)と、時間をモチーフにした男女がいるセピア調の作品(日本画)と、羅針盤を持った男性を描いたバロック調の作品(油彩)、鳥のシギや月を描いた静物画(油彩)、ヤマタノオロチとスサノオノミコトの戦いを描いた作品(油彩)、狼と馬を善悪の象徴として描いた作品(油彩)です。
美しい女性、自分のおばあちゃん、家族などのモチーフは確かに心を打ちやすいです。動物画は可愛くて、心を洗われた作品もありました。綺麗な絵画も魅力はありますが、私が一番好きなのは人生の苦悩や皮肉を描いた、考えさせられる作品です。みんな、もっと闇属性になりましょう!←ぇ
以下が2016年度の応募点数と入選数です。
(日展公式HPより)
大規模な展覧会だけあって、総数は1万点以上と多めです。
入選点数はそのうちの2380名。約4.8人に1人の割合で入選しています。それだと多めかな?と思うのですが、その中で新人が374名。入選の中では6人に1人の割合で、応募総数の中では31人に1人の割合で入賞となるのですから、新人にとってはかなり狭き門に思われます。新人の応募が少ないのでしょうか。それとも過去に入選した人の応募が多すぎるのでしょうか。何か陰謀があるとか・・・。
しかし、前回の2015年のデータでは、応募総数が12,007点で、入選点数が2,268点、新入選数が355点です。日本画は若干増えているものの、他のジャンル全てが2015年版より下回っています。2014年、2013年のデータを見ると、日展の応募者は年々少なくなっていく傾向にあります。
2014年に入選者を有力会派ごとに振り分けていた、金品の受け渡しがあったと問題となり、汚職が騒がれていた為か、日展の勢いは段々と弱まっていくように思います。
そうであっても日本の由緒ある展覧会なので、末永く続いて欲しいです。
あわよくば懐を広くしていただいて、私のような無作法でとんでもない絵画でも受け入れてくださるよう、お願い申し上げます。日展の出展や、日展の展覧会に興味を持たれた方は以下のリンクからどうぞ。
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