2019年10月26日(土)~12月15日(日)まで、名古屋市美術館で開催されている「カラヴァッジョ展」へ行ってきました!
出展された作品は45点。いずれもイタリアのバロックの礎を築いた巨匠カラヴァッジョにゆかりのある作品となります。彼自身の作品は10点。(推測のものも含む) 闇に彩られた怪しくも美しいものばかりでした。
では、詳細をご覧ください!
カラヴァッジョ作の美しい洗礼者聖ヨハネさんがお出迎え。
行ったときは10月30日(水)の10時30分頃。展覧会開始から3日後なので、混んでいるかなーと心配していたものの、そこまででした。
入口はこんな感じ。チケット売り場には誰も並んでおらず。私は前売りチケットを所持していたために、そのまま入場しました。
空いているわけではないですが、人々の間に入って充分に真正面で解説や絵画がみられるくらい。時間が進むについれて段々と混み合ってくるわけでもなく、終始落ち着いた状況でした。
「あ、この作品もう一度見たい!」と逆走してうろちょろしても大丈夫でした。平日だからかもしれませんが、休日でもぎゅうぎゅう詰めで「全然見れなかった!」とはならないかなーと個人的には思います。ミュシャ展やアルチンボルド展の方が凄かったな・・・。(そちらは東京だからかもしれませんが)
中はすべて写真撮影NGでした。展覧会入口にあった大きな看板、上の写真は受付の人に了解を得て撮りました。あとは網膜に焼き付けるのみです!
第1章 1600年前後のローマにおけるカラヴァッジョと同時代の画家たち
第2章 カラヴァッジョと17世紀のナポリ画壇
第3章 カラヴァッジョ様式の拡がり
基本、展覧会はカラヴァッジョの人生の流れにそって展示されていました。その時代に知り合った人々について解説がされており、パトロンや仕事仲間、事件など丁寧に分けられていました。
カラヴァッジョは気性の荒い画家で、殺人を犯して逃亡、帰国の果てに亡くなったというのは知っていましたが、暴力沙汰や殺人を犯した経緯、どのような経路を歩んだのか、どうして病気にかかって亡くなったのかなどが詳しく分かり、彼の人となりを深く知れたのはよかったです。
恥ずかしいことですが、今まで「ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ」という名前だと思っていました。そうではなく、本名はミケランジェロ・メリージまでで、カラヴァッジョは彼の出身の村の名であるそうです。カラヴァッジョ出身のメリージさん家のミケランジェロ君、という感じなのですね。
個人的には一章に展示されていた「リュート弾き」と「メデューサの盾」が印象に残りました。激しいタッチが含まれた「ゴリアテの首を持つダヴィデ」も圧巻でしたが、リュート弾きの肌や物の質感のきめ細やかさ、美しさに魅せられ、メデューサのお顔のインパクトにやられてしまいました(笑)
作品点数が少ないので、時間がかからないかなーと思っていましたが、作品一つ一つに丁寧に解説が書いてあり、すべてに目を通していたら見終わるまでに2時間かかって昼が過ぎてしまいました(笑)
作品数が多い分、解説をしっかりとやろうという心意気を感じました。
他の展覧会に比べて解説が多めなので、文章をあまり読まない人にとっては目が疲れてくるかもしれません。ですが、知識は身に付きます!
「リュート弾き 1596-97年」
滑らかな少年の肌と着衣のひだ、そして緻密なリュート。
筆跡を残さない美しい質感に惚れ惚れしてしまいます。
声変りしないカストラートの少年は何を思っているのか。
「メデューサの盾(第一ヴァージョン) 1596-98年」
ポプラを素材とする儀式用の盾にカンヴァスを張り、
ギリシャ神話の怪物メデューサの頭部を描いた作品。
吹き出す血にうねる蛇、断末魔の叫び。これを見た者は
本当に恐怖で石になってしまいそうです…。
「法悦のマグダラのマリア 1606年」
実際に見てみると、マリア様が白目で怖かった…^^;
この画像では分かりませんが、画面左上に十字架があります。
実物でしか気づけない隠された要素って素敵ですよね。
「洗礼者聖ヨハネ 1609-10年」
美少年なので使徒の方のヨハネかなと思いましたが、洗礼者
ヨハネの方でした。キリストに洗礼を与え、サロメの陰謀で
斬首される彼です。華奢な身体つきですが、充分な威厳が
内から感じられます。
「ゴリアテの首を持つダヴィデ 1610年」
カラヴァッジョ最晩年の作品。巨人ゴリアテの顔は画家の
肖像と言われていましたが、なんと、ダヴィデの方も
若かりし頃の肖像ではないかと考えられているそうです。
若い自分が今の自分を斬首し、憐憫のこもった瞳で見るという…。
カラヴァッジョ以外の作品も「素敵!」と思える作品がいくつかありました。ジョヴァンニ・フランチェスコ・グリエーリの「ロトと娘たち」は光と闇のバランスや人物の配置、質感すべてが美しく、印象に残りました。ジュゼペ(ホセ)・デ・リベーラの「洗礼者ヨハネの首」も鮮烈でしたね。
展覧会を終え、お土産コーナーを一通りまわってご飯へ。昼食は美術館内部に入っているカフェ「Sugiura Cafe」でカラヴァッジョライス(900円)を食べました!カラヴァッジョの故郷イタリアのトマトシチューとのことです。
注文した時は「写真を撮ろう!」と意気込んでいたのですが、いざお食事が来たら、お腹が空いていて食べてしまいました。「はっ!」と気付いた時には半分は胃の中へ。すみません美味しかったです^^;
写真撮影を狙ったコーナーはあるかなーと思っていたものの、ありませんでした。「あなたもダヴィデになれる!」もしくは「あなたも生首に!?」と顔はめパネルなんかあったら凄いなーと半ば期待(?)していたのに。やはり倫理的に駄目ですかね^^;せめてメデューサさんのでかいパネルとかがあったら、一緒に記念撮影をしたかったのに…。
「カラヴァッジョ展」は北海道立近代美術館の期限を終え、名古屋市美術館では12月15日(日)まで行われています。その後は2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)まで、大阪のあべのハルカス美術館で開催されます。カラヴァッジョが深く知れるいい展覧会だったので、興味が沸いた方はぜひ展覧会へ足を運んでみてください!^^
→ マグダラのマリアについての絵画を見たい方はこちら
→ メデューサについての絵画を見たい方はこちら
→ ダヴィデについての絵画を見たい方はこちら
【 コメント 】
>> 美術を愛する人様へ
こんばんは^^
いつもご訪問くださりありがとうございます!
この展覧会でカラヴァッジョの事がより好きになりました。
確かにダ・ヴィンチの洗礼者ヨハネも中性的美青年でしたね。
本来なら使徒ヨハネの方が「イエスから愛された弟子」とされ、美青年に描かれる場合が多く、洗礼者ヨハネはイエスよりも年上の為に、髭の生えたおじさんで描かれる場合が多いです。
これは私の考えなのですが、ダ・ヴィンチとカラヴァッジョは共に男色なのではないか?と推測がなされています。
男色傾向ではなくとも、「おじさんよりも青年を描きたい」という画家の美的な意思があったのかなぁと思います。
いつも楽しく拝見してます。カラヴァッジョいいですね!好きです。
ヨハネはダ・ヴィンチの作品でも中性的に描かれてましたが、何か理由があるんでしょうか?
>> 季節風様へ
こんばんは^^
カラヴァッジョライスはライスにトマトシチューをかけ、目玉焼きとサラダがついた料理でした。
ネーミングに負けて「どれにしようか」と悩むことなく注文しちゃいました^^
画像だと加工がなされている場合が多いので、(画像が暗かったり褪せていたりすると、見やすいように私自身明度や彩度をいじってます)やはり実物と印象は異なります。
実物の方が画家のこだわりやメッセージが伝わりやすいですし、パワーが違いますね。
お疲れ様でございます。
お食事のカラヴァッジョライスって聞くだけで魅かれます。
カラヴァッジョは作品も人生もインパクト強そうな人ですね。
法悦のマグダラのマリア は十字架があるんですね。実物は凄い。(*’▽’)