ポセイドンは海や地震、泉などを司るギリシャ神話の神です。ローマ神話ではネプチューンと呼ばれ、オリュンポス十二神の一人。クロノスとレアの子であり、ハデスの弟、主神ゼウスの兄とされています。
高い地位を持つポセイドンは海と大陸を支配し、最大の武器である三又の矛(トライアナ、ローマ神話ではトライデント)を使って津波や嵐、地震を引き起こす事ができます。海に棲むネレイドのアムピトリテを妻にし、三人の子供がおります。出会った当初、アムピトリテは彼を嫌っており、求婚しようとすると彼女はオケアノス宮殿へ隠れてしまいます。ポセイドンはイルカたちに彼女を見つけるよう命じ、その中の一頭が発見して「ポセイドンは男前で偉くて強くて素敵だよ!」と説得し、アムピトリテを連れてくるのに成功しました。こうして二人は結ばれることとなり、功績を得たイルカは天へと上げられ、イルカ座になったとされています。
ポセイドンは幾つかの逸話が残されていますが、ギリシャの首都アテナイの支配権を巡りアテナと争った話を紹介します。「民に贈り物をして、気に入られた方がアテナイの守護者になれる」と裁定されたので、ポセイドンは塩水の泉を、アテナはオリーブの木を与えました。民が選んだのはアテナでした。それにキレたポセイドンはアテナイに洪水を起こしましたが、ゼウスが仲介して「スニオン岬にポセイドンの神殿を建ててもらおう」と決め、第二の守護神となったことで事なきを得ました。現在でもスニオン岬に神殿の遺跡が残されているようです。
では、ポセイドンの絵画13点をご覧ください。
「Jeaurat Etienne作 1699-1789年」
海原や大陸を司るポセイドン。
三又の矛を握り、海馬ヒッポカンポスが曳く戦車に乗って
海洋をばく進中です。情に厚く気まぐれ、凶暴な側面を持つ
ポセイドンは天候を激しく変化させるのです。
「アルジェリアのキルタのモザイク画 315–325年」
ポセイドンとアムピトリテのツーショット。結ばれた二人をクピドや
海洋生物が祝福してくれているようです。今なら船乗りに優しく
してくれるかな?それにしてもヒッポカンポスの表情が・・・w
「ロビネ・テスタール作 1400年頃」
ポセイドンとアムピトリテと紹介されていた作品ですが。
色々とシュールな状況ですね(笑)なんか棒持ってるし、
奥様も半分魚で楽器持っているし、馬穴に隠れているし。
魚さん達がラッパを吹いているのが可愛い・・・!
「フランドルの工房作 18世紀」
この時代、フランドルでは花や果物を使って枠を作る手法があり、
作者さんは「ポセイドンは海の神様だから!」と海洋生物で枠組み
したようですね。面白いです^^
「シャルル=アンドレ・ヴァン・ロー作 1757年」
アムピトリテを拉致ろうとするポセイドン。他の逸話によると、
彼女がナクソス島で踊っているのを見初めたポセイドンが攫って
行っちゃったそうです。ゼウスと言いハデスと言い拉致りまくりです。
「ボン・ブーローニュの追随者作 1699年」
ですが、「馬やイルカを創造して贈り物をしまくり、アムピトリテに
気に入ってもらって結婚した」という真面目派の逸話も残っています。
ポセイドンは何名か愛人を作っちゃっていますが、夫婦仲は
良かったのかしら・・・。
「パリス・ボルドーネ作 1560年」
「あなた、嵐を収めてください」と言う風に、三又の矛に触れる
アムピトリテ・・・のお身体付きがたくましいですね^^;
そしてイルカさんの「どやっ!」という表情が可愛らしいです。
「ヤーコブ・デ・ヘイン2世作 16世紀後半」
他の作品よりもヨボヨボに見えてしまうポセイドン。「わしゃ、
こんな凄い貝を持っておるのじゃ!」と見せているのかな?←ぇ
神だから年の差はノープロですね!
「ノエル・アレ作 1748年」
こちらはポセイドンVSアテナの守護神争い。アテナイの支配権を
巡り双方贈り物をしましたが、勝利したのはアテナ。
塩水じゃなくて真水だったら勝てていたかもしれないのにね・・・。
「メリー=ジョゼフ・ブロンデル作 1781-1853年」
「わしの方が劣るだと!」とキレたポセイドンは、洪水を起こして
アテナイの街を滅ぼしにかかります。ゼウスはそれを止め、
アクロポリスにアテナの神殿を、スニオン岬にポセイドンの神殿を
建ててもらい、彼を第二の守護神とすることで解決しました。
「ガロファロ作 1512年」
「私は第一の守護者、あなたは第二のおまけよ。うふふ」と言って
いるかのようなアテナ様。ポセイドンは自然現象を司る神で、
アテナは知恵や都市、戦術を司る人間対象の神様だから、
彼女に軍配が上がるのは必然ですね・・・。
「作者不詳 17世紀」
ポセイドンとアポロンに報酬を払わないラオメドンという作品。
トロイ側のラオメドンはケチで傲慢とされており、二神は試す為に
一年間彼の元で働きました。すると、両神を酷使したばかりか報酬を
払わず脅してきたのです!その後、罰が下ったのは言うまでもなく。
「ハインリヒ・フリードリヒ・フューガー作 1751-1818年」
即位するポセイドンという作品。ありのままの姿をした海神は、
三又の矛を持ち、足を組み、威厳に満ちた表情でこちらを見据えて
います。背後の火山爆発は彼が生じさせた現象であり、
容易く海や大陸を変動させる王者という姿を描きだしていますね。
プラトンの「ティマイオス」によると、ポセイドンは伝説の大陸アトランティスを守護する神とされています。ジブラルタル海峡のそばの大西洋に位置するアトランティスは、ポセイドンが人間の女性に生ませた子らを住まわせ、彼等は神殿を建造してポセイドンを崇拝していました。しかし、原住民との混血が進むにつれて、アトランティス帝国の者達の神性は失われていき、神を敬わなくなってしまいます。物質主義に走った彼等は地中海の方へ戦争をしかけました。アテナイと周辺諸国はそれに抵抗し、辛くも勝利を収めてアトランティス人を追い返すことに成功しました。
神を崇拝しなくなったアトランティス人に怒ったゼウスは、大雨を降らせてアトランティス大陸をあっという間に沈ませてしまったとされています。(もしくはポセイドン自身が大陸を沈めた)
なんというか、この逸話を見てみるとポセイドンは国づくりに向いていないような気がします。やっぱりアテナイ側に敵わないし・・・。適材適所、ポセイドンは大海原と大陸を自在に操り、人々に恐れられる大いなる自然の存在である方がしっくりと来ますね。
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