8月29日(火)に東京のBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている「ベルギー奇想の系譜展」へ一人旅で行ってきました!
「ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」という主題の通り、ヒエロニムス・ボスの奇想天外な怪物の影響を受けた追随者の作品や、ピーテル・ブリューゲル(父)の版画、19世紀のベルギーの象徴派、現代のシュールレアリスムの作品を時代の流れと共に紹介した展覧会となっております。今回のメインはヒエロニムス・ボスの工房の作品「トゥヌグダルスの幻視」であり、面白さと不気味さと妖艶さ、奇抜さがいっぱいに溢れた展覧会でした!
では、展覧会のショップ情報や混雑さ、感想をご覧ください!
東京の渋谷駅のハチ公出口から巨大スクランブル交差点を渡り、左手側に見えるSIBUYA109という赤い文字がある大きなビルを探します。見つかったらそこ目がけて歩き、文字を左手側に見ながらずんずん進んでいくと、上記の写真のような景色になります。この東急ビルが見えたら通り越さずに交差点を渡り、ビルを右手に進みます。そうするとBunkamuraの入り口が見えてきます。
昼の13時30分頃に歩いたのですが、平日にも関わらず物凄い人だかりでした。どこから沸いて出てくるんだろうと疑問に思ってしまうほど。まぁ、私もそんな中の一人なのですが・・・。東急ビルの横をとことこ歩くと、すぐに入り口がありますよ。
Bunkamura の入り口。演劇、ギャラリー、レストラン、ショップなども入っており、その中にミュージアムがあります。ミュージアムはB1階です。
展覧会のメイン「トゥヌグダルスの幻視」の桶の中に入っての記念撮影ゾーン。中に入ってポーズを取りたい衝動にかられましたが、手前のベンチに人が座っていたので静かにパシャリしました。「うぇーい!」って調子づいて写真が撮れないのは一人旅の悲しさですね・・・;
渋谷周辺は物凄い人でしたが、Bunkamura の中は空いていました。展覧会の中も「アルチンボルド展」より空いており、自分のペースを崩さずに観ることができました。14時~15時30分の1時間半観ていました。また、内部は絵画を保護する為に冷房温度が低く設定されており、結構寒かったです。展覧会入り口の学芸員さんに言えばブランケットを貸してもらえますよ。(数量限定です) 展覧会の終了間際の土日とかだと混雑が予想されますが、平日に行ったり、土日でも時間を外して行ったりすれば混雑しないように思います。
1.15-17世紀のフランドル美術
ヒエロニムス・ボスの工房&追随者の作品と、ピーテル・ブリューゲル(父)の版画作品、ルーベンスの版画作品がありました。「トゥヌグダルスの幻視」は人物や風景の描写こそボスと異なりますが、ボスが生存していた年代に製作されたこと、ボスの作品と同じ絵具が使われていたことが分かり、工房の作品の可能性が高いことが分かりました。
「トゥヌグダルスの幻視」は12世紀のアイルランド修道士マルクスが書いた作品で、放蕩の騎士トゥヌグダルスが地獄の幻視を見て改心したそうで、ボスはこの作品を読んだのではないかと言われています。私も読みたいなぁ・・・。
ブリューゲルの作品は16点来ており、すべて版画業者ヒエロニムス・コックと共に作成した版画でした。七つの大罪シリーズや、「バベルの塔展」のマスコットキャラクター「タラ夫」君もいました。現在バベルの塔展がやっているという事は、同じ版画が二枚日本に来ているんですね。凄いなぁ。
また、ルーベンスの版画が7点ありました。ルーベンスの作品がこの展覧会にあると思っていなかったし、版画で見るのは始めてだったので新鮮でした。
2.19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派、表現主義
スキャンダラスな作品を手掛けたフェリシアン・ロップス、ベルギー象徴派の代表的な人物であるフェルナン・クノップフ、ジャン・デルヴィル、近代芸術のジェームス・アンソールなどの作品が展示されています。ボスの時代のちょっとコミカルな怪物の雰囲気から一転、不気味で妖艶、宗教や社会に警鐘を鳴らした作品が主を締めるようになります。
個人的にはデルヴィルの「赤死病の仮面」が好きでした。黒塗りの謎の人物が恐怖を煽っていい感じです。この作品はエドガー・アラン・ポーの短編恐怖小説に基づいて描かれたそうです。今度読んでみようと決心。
3.20世紀のシュールレアリスムから現代まで
ここのメインは何と言ってもルネ・マグリットの10点と、トマス・ルルイの彫刻作品「生き残るには脳が足らない」ですね。マグリットの作品は鮮やかで写実的な部分もあるけれど、不可解な世界観を醸し出しているのがいいですね。「生き残るには脳が足らない」は人間の頭くらいのサイズだと思っていたのに、部屋のど真ん中をドンっ!と占領していて、第一印象は「でかっ!」でした(笑)色々な情報を詰め込みすぎた頭でっかちの人の末路だそうで・・・。題名が逆説的で皮肉たっぷりですね。
あと、個人的に印象に残ったのはレオ・コーペルス作の「ティンパニー」。骸骨の模型が逆さづりになって、頭でティンパニーを叩いてリズムを奏で続けるといった作品・・・。肋骨内には作者の名前入りの金塊が仕込まれており、口には絵筆がくわえらえています。自分の心の投影なのでしょうかね。現代美術ってシュールだなぁと再認識しました(笑)
トゥヌグダルスの幻視に登場する笛の口をした怪物がマスコットキャラクターなので、その子のグッズが多く販売されていました!可愛いですよね^^
恒例のクリアファイル、メモ帳、マグネット、チケットケースなどが置かれています。私はもったいなくて使えないくせに、メモ帳を買いました(笑)
象徴派や現代の画家たちの作品も置かれています。また、ベルギーにまつわるグッズも多くありました。ベルギーチョコも勿論ありましたよ!
展覧会のことが記載された美術雑誌。表紙だけでも欲しくなってしまいますよね。Bunkamura は怪しげな蔵書も充実していました。
ヒエロニムス・ボス関連の本もたくさん置いてありました。日本版だけではなく、洋書が三冊も!しかもこの前フィンランドのアテネウム美術館で見た書籍と同じじゃないですか!こんなにハードカバーなのに7000円って安いぞ!?←迷走w
ボスの怪物フィギュアもいっぱい売られていました!眼福です!
こちらにもボスの怪物たち。巨大なレターバード&暴食の鳥の怪物が私に「買って・・・」と訴えかけてきましたが、お値段がお値段なので、パシャリするに留めます。ごめんね。いつか買うから!
ブリューゲルの「反逆天使の墜落」に登場する天使の怪物フィギュアもありました。素敵なフォルムだ・・・。
ボスやブリューゲルが好きな方は勿論のこと、ダークな象徴派や現代美術に興味がある方にも楽しめる展覧会だと思いました。シュールやブラックジョークを愛す人には強くお勧めします!
宇都宮、兵庫、東京都三県続いたこの展覧会も、9月24日(日)に終了してしまいます。もうちょっと早く行きたかったけれど、こんなに遅くなってしまいました・・・; ですが、まだ終了はしていないので、行こうか迷っている方はぜひ「ベルギー奇想の系譜展」へ行ってみてください。日帰りの弾丸旅行だってどうにかなりますよ!
→ ベルギー奇想の系譜展の公式HPはこちら
→ ヒエロニムス・ボスのフィギュアについての記事を見たい方はこちら
【 コメント 】
>> ポーに食いついた様へ
こんばんは。私は幾つかの詩と、「黒猫」「アッシャー家の崩壊」「黄金虫」を読んだ事があります。
ネットで訳があるんですね!図書館で本を探そうとしていたところでした。
早速「赤死病の仮面」を読んでみました。
仮面舞踏会の中に紛れ込んだ「死」という擬人化。暗黒の置き時計が余命の時を刻んでいるのが象徴的です。デルヴィルは物語の雰囲気をよく捉えている事が分かりました。
象徴主義や世紀末芸術もダーク作品の宝庫ですよね。
近代はまだ疎いので、色々学びたいです。
ビアズリーの「黒猫」の絵画を始めて見ました。妻の死体の頭に乗っているラストシーンですね。ふてぶてしい顔をしております…。
絵画に関することじゃないですが…
エドガー・アラン・ポーは、『黒猫』を読んだことがあります。
無料で読める訳をネットで見つけて。
世紀末というと、絵画ですとモロー、シュトュック、ビアズリーあたりでしょうか。
ビアズリーは『黒猫』描いてますしね。
ダーク好きにはいいかもしれませんね。