「レオナルド・ダ・ヴィンチとアンギアーリの戦い」の展覧会が日本を巡回中! | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

「レオナルド・ダ・ヴィンチとアンギアーリの戦い」の展覧会が日本を巡回中!

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レオナルド

 現在、レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンンギアーリの戦い」展が広島県で開催されております!
 この展覧会は2015年の東京展から始まり、三年の時をかけて8県を巡る予定であるようです。既に4県は終了してしまい、残りが4県となっております。レオナルド・ダ・ヴィンチの作品が見られる貴重な展覧会となるので、非常に気になるところ。
 さっそく詳細を見ていきましょう!





展覧会の概要


 フィレンツェのヴェッキオ宮殿を飾っていたレオナルド・ダ・ヴィンチによる未完の大壁画「アンギアーリの戦い」。「タヴォラ・ドーリア(ドーリア家の板絵)」は、この壁画の中心部分を描いた16世紀前半の油彩画です。かつてはレオナルド自身による壁画制作のための準備作と見なされた、伝説的壁画の謎を解く重要な手がかりとなる作品です。
 本展では、日本初公開の「タヴォラ・ドーリア」を中心に、壁画の模写や派生作品、レオナルドの多岐にわたる活動を紹介し、失われた壁画の謎に迫ります。さらにミケランジェロがレオナルドと同じ場所に構想した、壁画の下絵の模写「カッシナの戦い」(日本初公開)を加え、ルネサンス二大巨匠による競演の実現を目指します。
 後世に絶大な影響を与えた天才ふたりの大壁画構想。美術史上に刻まれた一大スペクタクルをぜひご体感ください。

――名古屋の展覧会のチラシより

 東京の富士美術館の展覧会では56作品が出展されたようです。他県でもこの数字の前後が出展されると思います。
 ヴェッキオ宮殿はフィレンツェの政庁舎として使われていた歴史があり、1504年にそこの大会議室(五百人広間)の壁にレオナルドの「アンギアーリの戦い」と、ミケランジェロの「カッシナの戦い」が描かれる予定でした。しかし、ミケランジェロはローマで急用ができて下書き段階でそのままとなり、レオナルドは実験的に油彩画を用いたところ絵具が溶けてしまい、未完で終わってしまいました。

Firenze-palazzo_vecchio

 五百人広間の内部(wikiより)。その後宮殿は改築され、ジョルジョ・ヴァザーリが「マルチャーノ・デッラ・キアーナの戦い」の作品を手掛けました。レオナルドの作品は壁の裏で現存しているという噂があります。

 展覧会の目玉はなんといっても「タヴォラ・ドーリア」と「カッシナの戦い」です。残念ながら二つとも模写でありますが、幻の壁画の構成を知る重要な手掛かりになる作品です。では、出展される作品を見ていきましょう!


出展作品


※巡回展によって展示作品が異なるそうなので、詳しくは行く予定の美術館の情報をご確認ください。


「クリストーファノ・デッラルティッシモ作
 ニッコロ・ピッチニーノの肖像  1568年頃」
アンギアーリの戦いはフィレンツェ共和国とミラノ公国の間の戦争です。
彼はミラノ側の傭兵隊長でありました。小柄であったようで、あだ名は
ちび。それでも実力はあり、ミラノの勢力拡大に貢献しました。
クリストーファノ・デッラルティッシモ

「フランチェスコ・ダ・サンガッロに帰属する者作
 ニッコロ・ピッチニーノの胸像   16世紀前半」
ピッチニーノさんの胸像。傭兵というとならず者のイメージがありますが、
当時最強と謳われていた傭兵隊のようで、かなりの特別待遇を受けて
いたのでしょう。帽子が特徴的ですよね。
フランチェスコ・ダ・サンガッロに帰属

「クリストーファノ・デッラルティッシモ作 レオナルドの肖像 1566-68年」
豊かな白髪の髪と髭。その姿は魔法使いのようで、指輪物語の
ガンダルフを彷彿とさせます。というか、レオナルドのイメージが
ガンダルフに影響を与えたなんて可能性も・・・!?
Firenze, Galleria degli Uffizi

「サンティ・ディ・ティート作 ニッコロ・マキアヴェッリの肖像 1570年頃」
マキアヴェッリはマキャベリとも言われる、フィレンツェの政治思想家です。
代表作として「君主論」があります。なんかテストに出たような記憶が
ある・・・。彼がレオナルドに製作依頼をしたようです。
サンティ・ディ・ティート

「作者不詳(レオナルドに基づく)  タヴォラ・ドーリア
 (アンギアーリの戦いの軍旗争奪場面) 16世紀前半」
こちらが本命の作品。人馬一体となっているかのような、迫力のある
作品です。中央で剣を振り上げている人がピッチニーノさん。
レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく

「作者不詳(レオナルドに基づく) アンギアーリの戦いの模写 16世紀」
こちらも作品の模写ですが、グリザイユの部分が多いようですね。
この方が模写をした時には、レオナルドの作品は色あせてしまって
いたのでしょうか。
レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく (2)

「作者不詳(レオナルドに基づく) アンギアーリの戦いの模写 1553年」
こちらの素描はダヴォラ・ドーリアに描かれていない右側の人物の
身体が増えております。実際に描かれていたものなのでしょうか。
レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく (3)

「レオナルド・ダ・ヴィンチ作  馬の尻と後肢の6つの習作  1508年?」
こちらは唯一のレオナルドの真作。馬の後ろ脚の研究をひたすらに
しております。芸術家にとって素描が一番大事ということがよく
分かりますね。
レオナルド・ダ・ヴィンチ

「作者不詳(レオナルドに基づく)  レダと白鳥  1500-10年頃」
白鳥に化けたゼウスとレダが出会い、カストルとポルックス、ヘレネと
クリュタイムネストラを卵で産んだというギリシャ神話の物語より。
こちらは何枚もの類似作品が残されています。
→ カストルとポルックスについての絵画を見たい方はこちら
レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく (4)

「作者不詳(レオナルドに基づく)  聖アンナと聖母子 16世紀」
1508年頃に描いた作品に基づいており、アンナはマリアの母親です。
マリアはアンナの膝の上に座っており、アンナは異様に大きいという
謎な構成をした作品です。
レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく (5)

「アリストーティレ・ダ・サンガッロ作 
 カッシーナの戦い(ミケランジェロの下絵による模写)  1542年」
五百人広間に描いた下絵の模写。最後の審判のように、肉体が
ひしめき合っております。壁画の下絵は残念ながら、ミケランジェロを
妬むバルトロメオ・バンディネッリによって切られてしまったよう。酷い!
アリストーティレ・ダ・サンガッロ

「ジョルジョ・ヴァザーリ作  ミラノの奪還のための習作 1555-62年」
こちらは宮殿の修復後に描かれた壁画の習作でしょうか。
フィレンツェ軍がミラノに進軍しています。ヴァザーリの作品の裏に
レオナルドの壁画が残されているとされていますが、ヴァザーリの
力量もなかなかのものです。
ジョルジョ・ヴァザーリ

「レリオ・オルシ作  馬たちの戦い  1560年頃」
暴れる馬をひたすらに書いた作品。この迫真に満ちた馬たちは、
タヴォラ・ドーリアの影響を受けているのでしょうか。
レリオ・オルシ

「ピーテル・パウル・ルーベンスに帰属する者(レオナルドに基づく)作
 アンギアーリの戦い  17世紀前半」
タヴォラ・ドーリアに基づいてルーベンスが描き、さらにそれに帰属する
者が描いたというややこしい作品。背景があることで奥行き感と
躍動感が生まれ、戦いの喧騒さえ聞こえてきそうです。
ピーテル・パウル・ルーベンスに帰属



巡回展情報


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【広島】
2017年9月5日(火)- 10月22日(日) 

広島県立美術館
公式HP:http://www.hpam.jp/ 
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【愛媛】
2017年11月2日(木)-12月24日(日)
愛媛県美術館
公式HP:http://www.ehime-art.jp/index.php
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【愛知】
2018年1月13日(土)- 3月25日(日) 
名古屋市博物館
公式HP:http://www.chunichi.co.jp/event/davinci/
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【福岡】
2018年4月6日(金)- 6月3日(日) 

福岡市博物館
公式HPはまだのようです
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まとめ


 あともう少しで広島展が終了してしまいますが、後3県控えております。絵画の運搬やコストの問題で、展覧会は多くても3県回って終わりというイメージがあります。「ミュシャ展」や「アルチンボルド展」は東京展だけで終わってしまいました。「レオナルド×ミケランジェロ展」も東京と岐阜の二つだけですからね。2015年から3年かかって8県回るという展覧会はなかなか珍しいのではないでしょうか。
 愛媛に愛知に福岡。来年の6月までチャンスがありますので、まだ観ていないという人、もう一回観たい!という人はぜひレオナルド・ダ・ヴィンチと「アンンギアーリの戦い」展へ足を運んでみてください^^



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