マグダラのマリアの絵画13点。罪を悔悛しイエス・キリストと共に歩んだ愛深き聖女 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

マグダラのマリアの絵画13点。罪を悔悛しイエス・キリストと共に歩んだ愛深き聖女

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Bernardino Luini -Maria Maddalena -

 マグダラのマリアは新約聖書に登場する、キリストに付きそう聖女です。聖母マリアと混同を避ける為、出身地を前に冠してマグダラのマリアと呼んでいます。
 一説にはキリストの友であるラザロとマルタの姉妹とされています。富と美貌によって快楽に溺れ、「罪深い女(娼婦と関連する)」と呼ばれるまでになりました。キリストと出会った事で自らの罪を深く悔い、共に伝道の道を歩みました。マグダラのマリアはキリストの足に涙を落とし、自らの長髪で拭い香油を塗ったとされている為、香油壺を持ったり側に置かれたりしている絵画が多いです。ラザロの蘇生、キリストの磔刑&復活などの重要な場面にも彼女は登場しています。キリストの昇天後はフランスのマルセイユで布教に努め、晩年は洞窟で隠遁生活を行ったそうです。
 聖母マリアと同じくらい有名な聖女である、マグダラのマリアについての絵画13点をご覧ください。




「ヒリス・コワニエ作  1580-90年」
不品行や快楽の罪があったとされるマグダラのマリア。時には娼婦
であると考えられていました。そのせいか、彼女はセクシーな
イメージが定着してしまい、こんな絵画も幾つか残されています。
Mary Magdalene  Gillis Coignet 1580-90

フランシスコ・イグナシオ・ルイズ・デ・ラ・イグレシアの追随者作  1675-80年」
砂漠で香油壺を持ち、罪を悔い改めているマリア。彼女に7つの
悪霊が憑りついていたのをキリストが追い払ったという伝説も
残されていますが、異なる女性の物語が融合してしまったと
考えられています。
1675-80  (Attributed to) Francisco Ignacio Ruiz de la Iglesia

「Jean-Joseph Weerts 作 1875年」
キリストの遺体を前に、嘆き悲しんでいる二人のマリア。
マグダラのマリアは伝統的に朱色の衣で描かれる事が多いです。
白と黒、黄と緑と赤の配色が見事ですね。
Christ Taken down from the Cross, Jean-Joseph Weerts 1875

ジョン・プレスコット・ナイト作  1803-81年」
キリストは埋葬された三日後に復活し、マリアは第一発見者と
なります。触れようとする彼女に対し、キリストは「ノリ・メ・タンゲレ
(我に触れるな)」と言うのです。この主題は多くの画家によって
描かれています。
Magdalena John Prescott Knight

Master of the Mansi Magdalen 作  1510-30年」
香油壺を持つマリアの肖像。彼女はキリストと結婚し、子供をもうけた
とされる伝説も存在します。ダン・ブラウン著の「ダ・ヴィンチ・コード」が
それに言及していますね。この作品も心なしか妊娠しているようです。
Master of the Mansi  Maria Magdalena 1510-30

ベルナルディーノ・ルイーニ作  1482-1532年」
モナ・リザと真珠の耳飾りの少女を足して割って2にしたかの
ような可憐なマリアさん(?) 彼女は女神崇拝の名残やキリストの
花嫁の
印象がある為、後年になって罪の女と言う不名誉なレッテル
を貼られてしまったという説もあります。
Bernardino Luini -Maria Maddalena

「フランドル出身の画家作  1530年」
きらびやかな衣服に身を飾り、貴婦人のようなマリア。とても立派な
三つ編みですね。フランドル調の背景や鮮やかで繊細な色彩が
美しい作品です。
 Netherlandish, 1530

ピエロ・ディ・コジモ作 1490年」
結構たくましい骨格のマリアさん。肩幅とか凄いんですけど・・・。
作者さんは人嫌いの変わり者で、「自然のままがいい」と庭が
雑草生え放題であったそうで、この絵画ももしかしたら
ネイチャーとして描いたの・・・かもしれませんね(?)
Mary Magdalene - Piero di Cosimo -1490

カルロ・ドルチ作  1660-70年」
神がいる天上を仰ぎ、信仰心を新たにしているマリアさん。
ドルチさんはこの構図が好みだったのか、聖アポロニアの絵画でも
天を仰ぐ姿を描いています。
→ 聖アポロニアについての絵画を見たい方はこちら
 Źródło

「Sforza Hours の写本挿絵より  1490年」
キリストの死後、マリアは家族と共にマルセイユ周辺で布教に努め、
サント・ボームの洞窟で隠者として過ごしました。その時彼女は
衣服を身につけず、物凄く長い髪を身に包んでいたそうです。
それ故、中世時代はこんな姿で描かれる場合が多いです。
St Mary Magdalene, Sforza Hours 1490 British Library

「Juan de Borgoña の追随者作  16世紀頃」
こちらも髪の毛もふもふ~なマリアさん。天使に父なる神の元へ
導かれています。彼女の遺体はサン・マクシマン教会へ葬られた
とされ、聖遺物とされる頭蓋骨が残されているそうです。
exaltació de Maria Magdalena atribuïda a Juan de Borgoña

「作者不詳  1430年頃?」
髪の毛で編んだ服みたいになっているんですけど!
もふもふスーツのマリアさんは7名の天使に空へ運ばれ、神に冠を
被せてもらっていますね。下の天使が重たそうに見える・・・。
Magdalene in Glory with Angels - Master of Gdańsk - 1430

ホセ・デ・リベーラ作  1591-1652年」
テネブリスム(暗黒主義)の巨匠リベーラが描いたマリアさん。
天使に導かれるという構成としては中世と同様ですが、構図や
描き方がかなり違いますね。
de Ribera, Maria Magdalena 1591-1652

 マグダラのマリアが守護する対象には以下のような人々がいます。悔悛した娼婦、罪を悔いる人、身体障害のある子供、葡萄酒職人、造園業者、織物業者、美容師。その他にも、受刑者、坑夫、櫛(くし)職人、香水職人・皮なめし職人などがいるそうです。
 悔悛した娼婦、香水職人、美容師などは悔悛者で、香油を持って長髪であるマグダラのマリアに関連のある職業なので分かりますが、葡萄酒や織物、受刑者や抗夫はどこから来たのでしょうか?これらの由来を辿るのも興味深いですね。現代でいうのなら、エステや美容整形、ダイエットを志す人などもマグダラのマリアの守護対象になるのかもしれませんね^^

→ ノリ・メ・タンゲレ(我に触れるな)についての絵画を見たい方はこちら
→ ラザロの復活についての絵画を見たい方はこちら


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