使徒ヨハネは新約聖に登場するキリストの弟子です。十二使徒の一人であり、洗礼者ヨハネと区別する為に「使徒」や「福音記者」などの肩書きを付けています。
彼は兄のヤコブと一緒にガラリヤで漁師を営んでいましたが、キリストと出会って弟子となりました。ペドロ、ヤコブらとともに最も重要な愛弟子となり、信仰を支え続けました。最後の晩餐の場面では「裏切者は誰ですか」とキリストのすぐ隣で問いかけています。キリストの磔刑の際は十二使徒の中でただ一人十字架の下にいたとされ、聖母マリアとマグダラのマリアと共に絵画に描かれています。
十二使徒達が悲惨な死に方で殉教していく中、ヨハネだけが殉教を免れたとされています。ただ、ローマの迫害の際にヨハネは煮えたぎる油が入った大釜に入れられて殉教する所でしたが、奇跡的に助かりました。その後、パトモス島へ島流しにあい、そこで神の啓示にあって「ヨハネの黙示録」を書き上げたのでした。(使徒ヨハネと福音書記のヨハネは別人物であるという説もあります) 老齢になって釈放されたヨハネはトルコのエフェソスへと戻り、余生を終えたそうです。
キリストの愛弟子、使徒ヨハネの絵画14点をご覧ください。
「ニコライ・ヴェリミロヴィッチ作 1881-1956年」
作者はセルビア出身の、列聖されている聖人であるそう。聖人が
描いた聖画なのです。キリストのお膝元にそっと(?)寄りそうヨハネ。
十二使徒の中で一番の愛弟子とされているだけあります。
「ヤコポ・バッサーノ作 1542年」
最後の晩餐のシーン。キリストは食事中「この中で私を売る者がいる」
と宣言します。皆が驚く中、ヨハネはキリストによりかかり「誰ですか」
と問うのです。この作品のヨハネは寝ちゃっているように見えますね。
「ヨース・ファン・クレーフェ作 1485-1541年」
最後の晩餐の準備はキリストがヨハネとペトロの二人にお願い
したそうで、画家はこの三人を描いています。若者で表わされる
事の多いヨハネですが、こちらはおじさん気味ですね。
「ウィリアム・ダイス作 1806-64年」
一説によるとキリストの死後、ヨハネは聖母マリアを引き連れて
トルコのエフェソスへ行ったとされています。そこにはマリアの家が
あるとされていますが、真相は不明です。
憔悴の中、裸足で荒野を歩く二人・・・。
「シャルル・ルブラン作 1619-90年」
ローマでの迫害の際、ヨハネは煮えたぎる油の大釜に入れられると
いう恐ろしい事をされていますが、奇跡的に助かっています。
こちらの絵画では今まさに大釜に入れられようとしています。
「ハンズ・フライズ作 1514年」
ちょっと小さめの釜に入れられ、体操座りで祈りを捧げて
頭から油をざばっと掛けられているヨハネ。もう何というか、
味噌汁のダシを取られている状態に見えます・・・。←失礼
「Juan de las Roelas 作 1615年」
こちらも薪や風を送られて炎が強まり、油が沸騰する中で
平然とした表情を浮かべているヨハネ。普通ならこんがりとフライと
化してしまう状態でも、神の奇跡によって何ともありません。
「Frans Francken (父)の追随者作 16-17世紀」
こちらのヨハネはちょっと熱そうに感じているかもしれませんね。
ヨハネの奇跡よりも、手前の炎を起こしている人のカメラ目線が
気になって仕方ありません。なんか主人公と化してませんか?
「カルロ・ドルチ作 1616-86年」
その後、ヨハネはギリシャの小島であるパトモス島へ島流しに
され、そこで啓示を受けたのでした。天使がやってきて、ヨハネに
人類の終末を伝えているようですね。
「ヒエロニムス・ボス作 1488年以降」
ボスはうら若き青年としてヨハネを表わし、神と天使以外にも
モチーフを描いています。右下の眼鏡の怪物は黙示録に登場する
イナゴと考えられていますが・・・真実はいかに?
「ドメニキーノ作 1620年」
どこかセクシーさを感じさせるヨハネ。足元の鷲はヨハネのシンボル
とされており、四人の福音記者にそれぞれ生物が当てはめられています。
マルコは獅子。マタイは天使。ルカは雄牛。ヨハネは鷲となります。
ヨハネの側に鷲がいるのが他の絵画でも見受けられます。
「アンドレア・デル・サルト作 1486-1530年」
筋骨たくましいハンサムめいたヨハネ。
この作品には鷲はいませんが、手には書物が握られています。
黙示録を書いた実績により、書物はヨハネのアトリビュートなのです。
「Vicente Juan Masip 作 1507-79年」
盃と書物を持ち、鷲を従えたヨハネさん。なんでも、油の大釜に
入れられる前にトルコで毒盃を飲まされたそうで、それでもヨハネは
奇跡のパワーで死にませんでした。無敵すぎますね・・・。
「グイド・レーニ作 1575-1642年」
黙示録を執筆していると思われるイケメンのヨハネさん。
背後にはさり気なく鷲が控えておりますね。
晩年になってパトモス島から釈放された後、ヨハネは黙示録を
弟子に語り聞かせながら余生を送ったそうです。
使徒ヨハネの守護対象は、神学者、出版業者、作家、忠誠、愛、友情、ワインであるそうです。ほぼ納得できる肯定的なものですが、最後のワインがなんだか違和感ですね(笑)
毒盃を飲んで無事だった為にワインの守護聖人ともなったようです。きっと王の毒味役が「毒が入っていませんように」と心底ヨハネに祈ったに違いありませんね・・・。 まぁあれです。油の大鍋に入ったという理由で、守護対象が鍋とか油とかになってなくて良かったなぁと思います^^;
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【 コメント 】
>> 美術を愛する人様へ
こんばんは^^
油の釜で殉教しかけていたのは私も今回知りましたw しかも毒盃まで飲まされていたなんて。ヨハネさん苦労されているんですね…。
確か、十二使徒の中で一番の若手がヨハネだったような気がします。
(調べてみたら、資料は定かではないですが最年少で、弟子になった時は10~13歳くらいであったとか。キリストとは長い付き合いなのですね)
ヨハネさん、検索かけても福音書を記しているところかイエスに寄りかかっているところばかりだったので、こんなに油の釜に入れられてる絵画があったなんて…!発見でした∑(゚∀゚)
なにより、お兄さんに比べて優しそうなお顔立ち!
もしかしたら使徒が描かれている作品では1番若そうな人がヨハネだったりするのかもしれませんね、、?