フクロウの絵画15点。闇の中、音もなく飛来し獲物を補足する、知恵と凶兆の象徴 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

フクロウの絵画15点。闇の中、音もなく飛来し獲物を補足する、知恵と凶兆の象徴

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 鳥類最古の種のひとつともされているフクロウ。夜の森に住まう猛禽類。音もなく滑空し、獲物を捕らえるフクロウは古来より神秘的な存在と考えられていました。古代ギリシアではミネルヴァの使いとして知恵を司り、中世では魔女の使いとして闇の側面を持ち、日本では幸運の象徴として尊ばれる。賢者や監視者や悪魔や使者。時代や地域により様々な解釈をされ、時にはイメージが重なりながら、フクロウの象徴性は厚みを増していきました。
 そんなイメージの宝庫ともいえるフクロウを、画家達は勿論放っておきません。中世から現代まで、フクロウはあらゆるシーンで登場します。象徴を内包していたり、動物としてだったり、その両方であったり。色々な個性的なフクロウが存在します。
 では、フクロウの絵画15点をご覧ください!なお、ミミズクもフクロウとして紹介させていただきますので、ご了承ください。

 

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「フランスの時祷書の挿絵より 15世紀」
めちゃくちゃ目付きが悪いフクロウさん。
「あ、なんだ?俺に文句あるか?」とか言っていそうですね^^;
足の爪も鋭いので、作者の方は獰猛な印象を持っていたのでしょうか。

「アウグスティヌスの自伝の写本挿絵より 15世紀頃」
フクロウの怪物を乗せたフクロウさん。20世紀後半にオウルマンという
UMAがイギリスのコーンウォール州で目撃されたとされています。
もしかして、15世紀の作者さんもオウルマンを目撃した…!?(ぇ

「イングランドの13世紀の写本挿絵より」
めちゃくちゃ人面なフクロウさん。他の鳥に突っつかれて、
大人気(?)です。中世の人にとって、フクロウは他の鳥と
一線をかくし、知恵深く賢者然としていて、なおかつ
不気味で闇を孕んでいる、という印象であったのでしょう。

「An owl being mobbed. Bodleian Library, MS. Bodley 764, Folio 73v
こちらは前髪がお洒落な人面風フクロウさん。この方も鳥に
つつかれまくっていますね。それでも顔色一つ変えません。
シュールな雰囲気ですが、同時に孤高の気高さも滲んでいます。

「フランシス・バーロウ作 1626-1704年」
近世の方もこのテーマを描いていました。多くの鳥に囲まれ、
難癖をつけられながらも、毅然とした態度を崩さないフクロウ。
まさに賢者の姿ですね。私も見習いたいです。

「ヒエロニムス・ボス作   1505-15年」
ボスは絵画の殆どに知恵の象徴としてのフクロウを登場させて
います。こちらの素描は洞に住むフクロウ親子を描いたもの。
逞しい自然の姿のフクロウさんですね。

「ドイツ出身の画家作  19世紀」
フクロウと共に、はいポーズ!現代の記念撮影とは違い、時間が
かかる絵画でのツーショットなのだから、大事な飼いフクロウ
なのかしら。目付きが凛々しくていぶし銀ですね。

「Giacomo Francesco Cipper 作 1664-1736年」
なんだかほっこりする絵画!
フクロウは毎年同じところへ子育てをしにやってくると聞きます。
彼の元へ毎年やってくるのでしょうか。彼は貧しくとも、
知恵と心が豊かな方ということが察せられますね。

「フランス・ハルス作 1633-5年」
マッレ・バッベという題の作品。ハールレムの魔女ともされ、
実際にいたバッベさんをモデルにして、伝説と絡めて描いた
とされています。彼女はアルコール依存者であった
可能性があるとのこと。豪傑そうな雰囲気を持ってみえます。

「フランス・ハルスの様式の作者作 17世紀」
この作品は多くの追随者を生み出したようで、その中の一つ。
洋式や洋服は似通っておりますが、こちらの方の方が
穏やかそうに感じますね。フクロウが肩に乗るだけで、
真理を知る賢者のご婦人に見える不思議。

「モーゼス・ホートン・ザ・エルダー作 1780-90年」
カメラ目線でこちらを見つめるフクロウ。こちらの心を全て
見透かされそうな眼差しですね。深い闇の森に浮かび上がる
姿は神秘的で、神々しさを覚えます。

「フランス出身の画家作  19世紀」
兎、仕留めてる!!
決定的瞬間を描いた作品ですね。ろくなカメラがない時代、
記憶だけでこのダイナミックなシーンを描けているのが凄いです。
フクロウは猛禽類であることを再認識させてくれますね。

「ドイツ出身の画家作 年代不明」
すらっとしたワシミミズクを描いた作品。
もこもこふんわりな印象があるのに、顔が小さい!
こんなマッチョになってしまうとは…!

「ヴァレンタイン・キャメロン・プリンセプ作 1863年」
若い女性とフクロウ。物憂げな表情を浮かべ、静かに愛でる
その姿は絵になりますね~。知恵というより、幸運や凶兆を
運ぶ使者としての存在として表現されている感じがします。

「ギュスターヴ・ドレ作 1832-83年」
凄く良い表情をしたフクロウさん。ふてぶてしさ満点です!
映画に出てきそうですね。設定としてはこの森を永く守ってきた
二羽のフクロウ。一羽は真面目で一羽はお調子者。
彼等の森に異変が…!?的な、王道な感じかな?w

 フクロウと言えば、もふもふで目がまん丸と可愛いイメージがありますが、生まれたてのヒナが足長の宇宙人みたいだったり、首が270度曲がったり、不気味な側面も持ち合わせています。そういった二面性が、善と悪を併せ持つイメージに繋がったのかもしれませんね。
 宇宙人のヒナ、検索すると出てきますので是非見てみてください。なかなか衝撃的なお姿ですよ^^;でも、そんなフクロウも魅力的で大好きです!

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

    >> 季節風様へ
    女性より壮年か老齢の男性のイメージですよね。
    白髪で鏡(もしくはモノクル)、髭を生やし、智慧を湛えた鋭い瞳と薄く微笑む口元。絵になりますね~^^

  2. 季節風 より:

    森の博識なオジサンというイメージです。
    若い女性の絵はフクロウに悩み事を打ち明けてるように見えます。

  3. 管理人:扉園 より:

     >> オバタケイコ様へ
    寝起きで機嫌が悪い顔かもしれない…。(それって私か!?^^;)
    アウグスティヌスの写本挿絵が「D」の形なのは、装飾写本の頭文字なのです。
    最初の文字を挿絵入りの飾り文字として表す写本が多くあります。
    フクロウさんって存在だけで絵になりますよね^^
    色も形も表情も動きも、全て神秘的に感じられます。
    フクロウみたいな優雅な佇まいの人、憧れますね…!
    私もそうなりたいなぁ。でも難しい…(*_*;

  4. 管理人:扉園 より:

     >> 美術を愛する人様へ
    分かります!「快楽の園」にも印象的なフクロウさんがいますよね^^
    確かに、他の鳥類と比べるとパーツの位置が人に似ています。夜が更けた森の中、木に留ってじっとしているフクロウに遭遇することを想像すると、賢者や知恵者という風に感じられそうです。

  5. オバタケイコ より:

    目付きが悪いフクロウさん、眠そうにも見えます。
    「アウグスティヌスの自伝の写本挿絵」、これまたシュールですね~。思わず笑ってしまいました。木枠で囲まれていますが、木枠が 《D》 の形をしていますね。
    若い女性とフクロウの絵は、何か意味深で印象的です。
    見応えのある絵ばかりで、とても楽しめました。フクロウって太古から、特別視されていたのですね。賢者、憧れます。

  6. 美術を愛する人 より:

    私の中でフクロウの絵と言えばボスの『快楽の園』です。
    西洋でも東洋でもフクロウは知恵の象徴とされていますが、最大の理由は目が人と同じく顔の正面についていることでしょう。
    生態も小鳥のようにあちこち飛び回ることもなく、木の上からじっと下の様子を観察している様は知性を感じさせます。

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