
アイスキュロス(紀元前525年 – 紀元前456年)はギリシャの詩人であり、三大悲劇詩人の一人です。後の二人はソポクレスとエウリピデス。
アイスキュロスはアテネ郊外の地主の息子として生まれました。若い頃から劇作家としての才能を開花させ、大会で13回優勝したそうです。代表作は「オレステイア三部作」で、他に「テーバイ攻めの七将」、「ペルシア人」、「縛られたプロメテウス」などを手掛けています。90篇もの作品を書いたとされていますが、現代まで伝わっているのは7篇のみ。マラトンの戦いとサラミスの海戦に従軍し、その体験が「ペルシア人」で生かされているそうです。
アイスキュロスはシチリア島で没したとされていますが、その死因についてとんでもない伝説が残されています。岩場に座っていると、突然亀が落ちてきて頭を強打。彼はそのまま死んでしまったのです。その理由は、亀を岩へ落として食べるヒゲワシに、岩と間違えられて亀を落とされたから・・・。つるっつるの頭のせいで死んでしまうなんて、なんと理不尽な世の中であることか。空から凶器が降って来るなんて、対策の仕様がないですし。可哀想すぎる(T_T)
では、禿げの為に亡くなった悲劇の詩人アイスキュロスにまつわる絵画12点をご覧ください。
「トビアス・フェルハーフト作 1606年」
波打ち際の岩場で読書か物思いにふけっているアイスキュロス。
その上空を見ると、何やら怪しげな姿が・・・。
この1秒後には凶器が投下されます。
「作者不詳 17世紀の挿絵」
一心不乱に読書に励むアイスキュロスのかなり近くにヒゲワシが
飛来。この至近距離で岩に間違えるとか、ヒゲワシわざとだろー!
「Maso Finiguerra 作 15世紀」
ぽとっ。ヒゲワシさん亀を落としました。アイスキュロスの頭を
見ると、もう一匹亀が。二回も攻撃するの!?執拗すぎる!
「ヤン・ステーン作 1671年」
アイスキュロスさんが可哀想になって来て、亀の作品数も少ないので
ここで悲劇作品の絵画を紹介します。こちら「オレステイア」より。
アガメムノンが娘イピゲネイアを生贄にするシーンが描かれています。
「ピエール=ナルシス・ゲラン作 1822年」
こちらも「オレステイア」。娘を殺したアガメムノンに怒った妻
クリュタイムネストラ。彼女は愛人アイギストスと共に夫を暗殺
します。しかし、この二人は息子オレステスによって討たれてしまいます。
「ハインリヒ・ヒューガー作 1817年」
「縛られたプロメテウス」より。ギリシャ神話に登場するプロメテウスは
主神ゼウスから火を盗み、人類に与えました。しかし、それにより
酷い罰を受ける事になったのでした。
「イタリア出身の画家作 17世紀」
カウカソスの山頂に縛り付けられたプロメテウス。不死である彼は
毎日鷲に肝臓をついばまれる責め苦を受けました。ついばまれても
肝臓は再生し、それは後に解放されるまでずっと続けられました。
「Giovanni Silvagni 作 1820年」
「テーバイ攻めの七将」より。兄弟で争いが勃発する内容で、
左側の人物が主人公のエテオクレース、右側が敵対する
ポリュネイケースです。二人は相打ちとなり果ててしまいます。
こちらもエテオクレースとポリュネイケースが描かれています。
お互いの胸に槍が突き刺さっており、相打ちが見て取れますね。
この後、テーバイの町は守られて平和が訪れました。

「ヴィルヘルム・フォン・カウルバッハ作 1868年」
「ペルシア人」より。アイスキュロスも参戦したサラミスの海戦について
語られています。戦争によるペルシアの敗戦を描いた作品なので、
人々は恐れ、逃げ惑っているようです・・・。

「ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作 1903年」
「救いを求める女たち」より。エジプト王の息子50名との結婚が嫌で
逃げた50名の娘達。故郷アルゴスに逃げた彼女らは王の計らいで
結婚を免れます。アイスキュロスはそのような内容なのですが、
この絵画は神話バージョンで水汲みの罰を受ける娘達を描いております。

「作者不詳 彩色写本の挿絵」
ラストに ごっちーん!と派手にやってくださいました。
ヒゲワシさん、これは確信犯ですねw

歴史上、悲劇的な最期を遂げた方は多くいると思いますが、アイスキュロスはなかなか上位の部類に入るのではないでしょうか。(伝説なので実際かどうかは怪しいですが・・・)
という事で、他に可哀想な亡くなり方をした人を調べてみました。
ドラコン(アテナイの学者)・・・業績を称えて投げられたマントや帽子に埋もれて窒息死。
クリュシッポス(哲学者)・・・ロバにワインとイチジクを食べさせる事を考えて笑いすぎて死亡。
アッティラ(フン族の王)・・・自分の結婚式で酒を飲みすぎて鼻血を出して死亡
ウィリアム三世(イングランド王)・・・モグラの穴に馬がけつまずいて落馬してしまい死亡。
ハンス・シュタイニンガー(バイエルン公国の長)・・・自分の140cmの髭にけつまずいて死亡。
その他にも出るわ出るわ。「どうしてこれで亡くなるの?」と思う死因や「不幸すぎる」「可哀想」「運命は残酷だ」と思われる死因が沢山ありました。笑いすぎて死ぬ人って結構いっぱいいるのね・・・と思いました^^; wikiでちらっと読めますので、気になる方はこちらから。<珍しい死の一覧>
また、ギリシアのレスリング選手クロトンのミロンも、木の幹に手が挟まって猛獣に喰われたという悲劇の死に方をしているので、気になる方は以下のリンクからどうぞ^^
→ クロトンのミロンについての絵画を見たい方はこちら
→ オレステスについての絵画を見たい方はこちら
→ プロメテウスについての絵画を見たい方はこちら
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