アーサー王の絵画13点。円卓の騎士を率い、国家統一を果たした伝説のブリテン王 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

アーサー王の絵画13点。円卓の騎士を率い、国家統一を果たした伝説のブリテン王

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 アーサー王は5世紀後半~6世紀前半に生きた、ブリテン人の伝説の王です。
 彼はケルトの伝承において有名な存在なので、まとまった歴史や物語があるかと思いきや、意外にも原典となる作品は存在しておりません。中世の歴史書や騎士道物語に登場するアーサー王は設定や出来事が異なっており、現在伝わっているアーサー王という存在はそれらを一纏めにしたものと言えそうです。中世初期から彼に関する史実はちらほらとありましたが、1138年にジェフリー・オブ・モンマスが書いた歴史書「ブリタニア列王史」によって、アーサー王の伝説が世界中に広まることになりました。ジェフリーが描くアーサー像はサクソン人に勝利し、ブリテンやアイルランド、アイスランド、ガリアなどを含めた大帝国を築いたとされています。この時点で既にアーサー王の物語の要素が入っており、12世紀にランスロットと聖杯のエピソードが追加され、中世時期において栄華を極めましたが、その後廃れてしまいました。人気が復活したのは19世紀になってからで、現代においても物語は愛され読み続けられています。
 では、物語のあらすじを見つつ、アーサー王の絵画13点をご覧ください。

 

「マシュー・パリの著作 Flores Historiarum の挿絵  13世紀」
ブリテン王のウーゼル・ペンドラゴンは部下の妻イグレーヌに恋をして
しまい、戦争で部下を殺して妻を奪ってしまいます。
その時に産まれたのがアーサーです。不義の子である彼は身分を
隠され、家来のエクトル卿の子供として育てられました。

「ウォルター・クレイン作  1845‐1915年」
ウーゼル王が亡くなっても後継者が決まらず、国は混乱をしてしまいました。
そんな時、神の御告げがありました。「岩に刺さっている剣を抜いた者が
国の王になる」と。どんな強豪の者が剣を引っぱってもびくともしません。
しかし、アーサーが剣を持つと、容易く抜けたのでした。

「N・C・ワイエス作   1922年」
また、伝説によって名剣エクスカリバーは湖の乙女によって授けられる
とされています。湖からぬぬっと手が出ていますね。

「ウォルター・クレイン作  1845‐1915年」
アーサー王は巨人を退治した逸話があります。聖ミカエル山には
人食い巨人がおり、アーサー王は激闘の末巨人を打ち倒すことに
成功しました。

「フランク・ディックシー作  1853-1928年」
アーサー王は円卓の騎士たちと魔法使いマーリンらと協力し、
イギリス全土の統一を目指しました。ロデグランス王の娘グィネヴィアを
妻として、数々の戦争に勝利を収め、遂に統一を果たすことができます。

「チャールズ・アーネスト・バトラー作   1903年」
それのみならず、アイスランドやノルウェーなどの北欧を占領し、
フランスも征服してしまいます。ローマ皇帝ルーシャスとの戦争にも
激戦の末に勝利を収め、ローマ帝国軍を全滅させてしまいます。

「スピード・ランスロット作  1860‐1931年」
グィネヴィアとの結婚は華々しく、王国に実のりあるものに思えました。
それが国の破滅を引き起こすとは、誰もが想像していませんでした。

「作者不詳  1470年」
円卓の騎士はアーサー王の側近の騎士たちであり、キリストと十二使徒に
ちなみ13席あるとされました。しかし、紹介されている者は明らかにそれ
以上います。有名な者としてはランスロット、ガヴェイン、パーシヴァル、
ガラハッドなど。聖杯伝説の物語は様々あり、活躍する人物が異なります。

「Arthur Dixon 作  1837–1917年」
しかし、騎士の一人ランスロット卿がグィネヴィア王妃と恋仲になり、
不倫関係となってしまいます。はじめこそアーサー王は彼を信用して
いましたが、遂に事実が露呈し、王は彼と敵対してしまいます。

「ウィリアム・ハザーレル作  1855‐1928年」
ランスロットと争っている内に、アーサーの甥(もしくは不義の息子)である
モルドレッド卿が反乱を起こしてしまいます。この戦いはカムランの戦いと
呼ばれます。

「ジョン・ギャーリック作  1862年」
アーサー王はモルドレッドを討ち取るものの、自らも深手を負ってしまい
ます。彼の死は諸説あり、一つ目は最期まで付き従った部下に
エクスカリバーを投げ入れるよう命じ、息を引き取ったとされています。

「エドワード・バーン=ジョーンズ作   1881-98年」
二つ目は傷を癒すためにアヴァロン島へ向かったものの、そこで
息絶えたと言われています。楽器を持った美しい女性たちが王の
死を悲しんでいますね。

「W.リチャードスコット作  1847-62年」
三つめはアヴァロン島で一命を取りとめたという話。傷を癒した王は
いつの日か再び台頭し、ブリテンを支配するとされています。
すいすい泳ぐ白鳥さんがファンタジーの雰囲気を出していますね。

 アーサー王と言えば、2017年6月17日により映画「キング・アーサー」が上映されていますね。
 「スラムのガキから王になれ!」「王座を奪還せよ!」というキャッチフレーズの通り、底辺の地位から王になるまでのストーリーを描くようです。父親を殺して王になった叔父を倒して、アーサーが王になるそうですが・・・。
 既に話が違いますね^^;
 叔父に父親を殺されて復讐をする話なんて、シェイクスピアの「ハムレット」まんま状態じゃないですか。まだ映画を見ていないのでとやかくは言えませんが、アーサー王の歴史物語だと思って映画を観ない方が良さそうに感じます。ただ、迫力や演出、音楽などは面白そうなので、エンターテインメント的な感覚で行くと楽しく観れそうですね。DVDが出たら観てみようかな~。

 

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