道化役者の風刺喜劇! イタリアの即興劇コンメディア・デラルテの絵画 | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

道化役者の風刺喜劇! イタリアの即興劇コンメディア・デラルテの絵画

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 コンメディア・デラルテは16世紀中頃のイタリアで生まれた、風刺の効いた即興劇です。
 コメディアやコンメディーア、ディラルテなどとも表記されます。起源は古代ローマの喜劇だという説もありますが、確かな事は分かっていません。16世紀頃に旅回りの芸人たちが野外舞台の見世物として演じたのが、コンメディア・デラルテの始まりです。
 コンメディア・デラルテは即興劇の為、決まったストーリーや登場人物はありません。基盤となっている概要やキャラクターを元に、俳優達が半ばアドリブで演じるのです。観客を喜ばし、笑わせるのが彼等の目的なので、劇中に流行を取り入れたり、ジャグリングやアクロバットなどのパフォーマンスを行いました。
 人物紹介を交えつつ、劇の様子や役者たちを描いた作品を見ていきましょう。

 

「アルレッキーノとイル・カピターノ」
アルレッキーノはペテンが得意な道化師で、物語を引っ掻き回す
トリックスター。仮面を被り、まだら模様の衣装を着ています。
イル・カピターノはほら吹きの戦士。
自分が経てた手柄を自慢していますが、超臆病者。

「コロンビーナとパンタローネ」
コロンビーナはアルレッキーノの恋人で、物語のセクシー役。
召使いで地位は低いものの、周囲を操る知恵を持っています。
パンタローネは金持強欲スケベじいさん。何かをを悪だくみし、
それを召使いにぶち壊しにされるのがお決まりのパターン。

「ブリゲッラとプルチネッラ」
ブリゲッラはアルレッキーノの相棒で、強欲の小悪党。
プルチネッラは黒い仮面に白い衣装を着て、よく騙される設定です。

「イル・ドットーレとカッサンドロ」
イル・ドットーレは博士や医者という博学な人物として登場しますが、
その言葉は意味をなさず、やられ役となります。
カッサンドロも見かけ上は紳士ですが、強欲で守銭奴、パンタローネ
と同じ役割を持っています。

「Boeve Ervina作(?)  1772年」
コンメディーア・デラルテを上演している場面。
野外ステージに多くの見物人が集まり、劇を見たり遊んだりしています。

「Jan Miel 作  1640年」
劇の一団が馬車で広場を移動中。結構自由に遊んじゃってます。

「Peeter van Bredael  作 部分 17-18世紀」
だいぶ簡易的に作られた上で上演されています。背後ににょこっと
顔が出ているのは、アシスタントさんでしょうか?

「作者不詳 スウェーデンストックホルム美術館 1580年頃」
北方ルネサンスの絵画にみえる作品。パンタローネらしき者が
人の上に乗り、その人がアルレッキーノを掴んでいます。

「16世紀末のフランダースの絵画」
パンタローネがコロンビーナを口説いてる場面でしょうか。
この後パンタローネはこっぴどくやられるパターンのような気がします。

「アントワーヌ・ヴァトー作 1718-19年」
ピエロの元となった、夢想家のペドロリーノを描いた作品。。
ヴァトーは幾つかコンメディア・デラルテの絵画を残しています。

「アントワーヌ・ヴァトー作  18世紀頃」
みんなでそろってハイ・チーズ!皆さん楽しそうな笑顔を浮かべて
いますが、ペドロリーノだけがどこか遠い目をしています・・・。

 コンメディア・デラルテは16世紀から18世紀の間に全国へ広まり、現代まで続けられています。俳優は高度なパフォーマンスや歌、即興的な行動を要求される為、かなりの修練を積まないといけないそうです。基本一人が一つの役を専門的に行います。物語によって人物設定もころころと変わり、コンメディア・デラルテは道化師そのもののような、今を生きている喜劇だと言えそうです。

おまけ。現代で上演されているコンメディア・デラルテ。

→ 2017年のコンメディア・デラルテの情報を知りたい方はこちら (英語)

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