神曲のルシファー(ルチーフェロ)の絵画9点。地獄の悪魔の主は、人間くわえてます! | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

神曲のルシファー(ルチーフェロ)の絵画9点。地獄の悪魔の主は、人間くわえてます!

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 「魔王ルシファー(ルチーフェロ、ルシフェルなど)はかつて美しい天使であったが、神に反逆した為に醜悪な堕天使となってしまった。ルシファーは半身を氷漬けにされ、地獄の中心に幽閉されてしまった。魔王は三つの顔を持ち、それぞれにイエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダ、カエサルを裏切ったブルートゥスとカッシウスを口で噛み締めている」
 以上が、13‐14世紀のイタリアの詩人、ダンテ・アリギエーリの作品「神曲」に出てくるルシファーの描写です。大ベストセラーとなった神曲は、発表当時から今まで様々な画家に作品を描かれてきました。
 そんな地獄の最奥に住む悪魔の王、ルシファーの絵画9点を集めてみましたので、ご覧ください。

 

「Codex Altonensis作 14世紀」
強面のおっさんか、猿人類を彷彿とさせるルシファー。

「Codice Urbinate Latino作 15世紀」
三色のお顔。正面が顔から食べ、左右が足から食べは決まりですか。
ていうか、ダンテとウェルギリウスよじ登ってる!

「Alessandro Vellutello作  16世紀」
かっと目を見開いて、お前も食ろうてやるか?という感じです。

「ギュスターヴ・ドレ作 19世紀」
一生懸命食べているのか、ふてくされているのか。

「ウィンチェ スター詩篇原稿」
爬虫類のようなルシファーが、やる気なく食べている感じです。
下に横たわる死屍累々がさり気に怖い。

「イタリアのミラノの中世写本」
かっと目を見開いて罪人をもぐもぐと食べています。
ダンテとウェルギリウスはなんだか楽しそうに見物しているような。

「Giovanni Stradano作 16世紀」
他の作品に比べて超でかいルシファー。噛んでいる人間が饅頭レベル。


「Amos Nattini作 20世紀」
近代の作品。右の顔のドヤ顔がいい味出してます。

「ウィリアム・ブレイク 18-19世紀」
ラストはブレイク。ムキムキおじさんがイェイ!って小躍りしている感じです。

 神曲はダンテの自己満で、気に入らない政敵はみんな地獄だぜ!ベアトリーチェ愛!みたいな部分もあるのですが、知己に溢れていて幻想的で、美術的テーマとしては非常に優れていると思います。魔王ルシファーだけでも、多くの画家に描かれているのだなぁと再認識しました。お顔や姿は超個性的ですけど・・・。

→ ユダについて詳しく知りたい方はこちら

【 コメント 】

  1. 管理人:扉園 より:

     >> オバタケイコ様へ
    同感していただけて嬉しいです!
    芸術は人の価値観によって変わりますし、極端かもしれませんが、僅かな人数でも心に刺さる作品であれば、芸術と呼んでも良いように思います。
    芸術は自由であるべきですしね(^^)/
    パウル・クレーいいですね^^
    はじめて見た時「可愛い絵だなぁ」と思った記憶があります。
    現代の作品も素敵ですが、個人的にはどうしても中世ルネサンスに惹かれてしまいます…^^;

  2. オバタケイコ より:

    個人的に「人を感動させたり感心させたり驚かせたりと、心を動かす事ができる作品」が芸術だと思っているので。。。
    全く同感です!だから人によって何が芸術かって変わってきますよね。有名な人でも心動かされない作品もあるし、壁の落書きに心動かされる事もある。アートって面白いですね(^-^)因みに一番好きな画家はパウル・クレーなのです。小学生の頃、図書室で出会ってからずっと一番!

  3. 管理人:扉園 より:

    >> オバタケイコ様へ
    こんばんは^^
    全身じゃなくて下半身だけという中途半端さが逆に嫌ですよね^^;
    お腹を冷やすと直ぐにお腹が痛くなる私もアウトです(笑)
    残酷なテーマでゆるいタッチというアンバランスさが魅力ですよね^^
    個人的に「人を感動させたり感心させたり驚かせたりと、心を動かす事ができる作品」が芸術だと思っているので、中世の作品は実に芸術的だと思います(笑)
    ブレイクさんに「どうしてこのような表情&ポーズに描いたのですか?」とインタビューしてみたいですw

  4. オバタケイコ より:

    面白い話ですね!
    下半身氷漬け、辛いですね~💦冷え性の私は5秒でギブアップです(;´Д`)中世の絵ってヘタウマで味があってとても好き💖残酷なテーマでも何だか可笑しいんですよね。
    ブレイクの絵はユーモア溢れるイラストって感じですね。

  5. 管理人:扉園 より:

     >> 連想してしまう人様へ
    こんばんは^^
    いつもありがとうございます。
    おお!「神曲」と何となく共通点があるとは。
    カーリドは全9章、148,962字の長編なので、よろしければもうしばらくお付き合いください。
    ジャンルこそSFですが、キリスト教や北欧神話の影響を受けまくってます^^;
    唯一神って融通が効かない分恐いですよね。
    私も八百万の神の方がいいなぁと思います。
    地獄で逆立ちしてもキリスト教になれない。
    なぜならキリストの生誕前に生まれてしまったから…。
    なんだか心に響く素敵なフレーズです。
    まだ残暑が続きますし、台風が接近していますね。
    9月も体調に気を付けてお過ごしください^^

  6. 連想してしまう人 より:

    扉園さん、こんにちは。
    『カーリド』は三部作、現在の文字数 14689字
    『神曲』は三部作で総行数は 14233行
    今回は単純に連想ゲームでここへきました。
    自分で選択できない生れながらの運命・・・
    ウェルギリウスはどうしても地獄を出られない運命にあります。
    なぜならばキリストの生誕前にその一生を終えてしまったから。
    地獄で逆立ちしたって「キリスト教」の信者にはなれませんから・・
    八百万神の国も良いものだと思います。
    8月も終わりますね。

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