アダムとイブの楽園追放(失楽園)の絵画11点。二人は神とミカエルに追い立てられる | メメント・モリ -西洋美術の謎と闇-

アダムとイブの楽園追放(失楽園)の絵画11点。二人は神とミカエルに追い立てられる

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 アダムとイブは旧約聖書の「創世記」に登場する世界最初の男女です。
 二人はエデンで幸せに暮らしていましたが、蛇にそそのかされ、禁じられた知恵の木の果実を食べてしまいました。そのことが見つかり、神は怒りを露わにしたので、アダムは「イブのせいです」と言い、イブは「蛇に騙された」と言いました。そんな言い訳が通用するはずもなく、神は二人と蛇に罰を与えました。蛇は一生腹ばいになって生き、イブは女の産みの苦しみを与えられ、アダムは痩せた土地に作物を育てる為に、汗水たらして働かなければならなくなりました。また、人間は寿命が付きて土に還るという運命を背負ってしまったのです。
 そして、神は天使ミカエルに命じて二人をエデンから追放させ、命の木を守る為にエデンの東側にケルビムと回転する炎の剣を置いたのです。
 楽園追放(失楽園)の絵画、11点をご紹介いたします。

 

「マイスター・ベルトラム(ベルトラムの親方)作  14‐15世紀」
神の怒りに対し、アダムが「この人のせいです」と指をさし、イブは
「蛇のせいです」と指をさしています。元凶は蛇のせいですが、
責任転嫁はあまり褒められたものではありませんね・・・。

「シャルル・ジョセフ・ナトワール作  18世紀半ば」
こちらのアダムは神の怒りに対し手を合わせ、許されるよう懇願して
います。イブは泣いているのか、眠そうにしているのか、
どちらなんでしょうか・・・。左の背後で蛇が脱走中です。

「アレクサンドル・カバネル作  19世紀」
剣を持った天使を引き連れ、ゴゴゴ・・・と効果音がありそうな迫力で
来た神に、アダムとイブは成す術もなくうなだれています。
左下のたくましい蛇はしてやったり、といった表情を。

「ドメニコ・ザンピエーリ作  17世紀前半」
大量なギャラリーを連れて叱りにきた神。上の天使は野次馬の
ように指をさし、喋っています。
この絵画のアダムとイブも責任転嫁の連鎖をしています。

「ボローニャの絵画  14世紀頃」
剣を振り上げて二人を追い立てる、四大天使のミカエル。
二人が隠すために持っている葉っぱが可愛いです。

「マザッチオ作  1427年」
楽園追放の最も有名な絵画。二度と戻れない故郷を想い、
嘆きの表情を見せる二人。ミカエルが「あちらへ行きなさい」と
言った感じに指をさしています。
Masaccio 1427

「ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの工房作  15世紀」
蛇にそそのかされるイブに、禁断の果実を受け取りながら右を向くアダム。
あれ、もうミカエルが追い立てている!ストーリー凝縮しちゃいました!

「ジュゼッペ・チェーザリ作  17世紀前半」
このミカエルはまだ穏やかな対応で二人を追い立てています。
アダムは悲しみのあまり、前を隠すことも忘れてしまっているよう。

「Ottavio Vannini 作  17世紀前半」
斬る気満々ですかミカエル様!?
ぐずぐずしていると真っ二つにされてしまいそうです・・・。

「ベンジャミン・ウエスト作  1791年」
剣こそ持っていないものの、全身で「出ていけ」アピールをしている
ミカエル様。髪のざわめきがお怒りを表しています。
足元では蛇も一緒に追い出されています。

「ジェームズ・ティソ作  19世紀後半」
軽いドヤ顔で二人をけん制するケルビムさん。
この先、楽園はケルビムたちによって堅固に守られるのでした。

 ちなみに、絵画四枚目のドメニコ・ザンピエーリの作品に登場する、顔だけに羽が付いている天使はケルビムだと思います。ケルビムは個人名ではなく、二番目に偉い天使の役職名です。彼等は絵画において4対2枚の青い羽で表されることもありますが、顔に羽がついただけの象徴的な描き方をされる場合もあります。(すぐ上のティソ作のケルビムは、普通の天使の姿をしていますが)
  役職トップのセラフィムも同じように顔に羽根がついた形で描かれることがあり、彼等は赤い羽根で表されることが多いです。他の絵画でそういったお顔を発見したら、ケルビムかセラフィムだと考えて大丈夫だと思います。

→ 禁断の果実を採るアダムとイブについてはこちら

 

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